本記事では、日本企業がBtoBデジタルマーケティングで遅れを取っている背景と、その改善策について探ります。特に、マーケティングオートメーション(MA)ツールの普及やSaaSの導入が遅れている理由に焦点を当て、今後のマーケティング戦略の指針を提供します。
日本企業の多くがBtoB企業であるにも関わらず、BtoBマーケティングの普及が遅れている理由の一つに、MAツールの導入が挙げられます。
米国では2000年から、Eloquaを皮切りにMarketoやHubSpot、SilverpopなどのMAツールが次々と登場し普及しました。しかし、日本国内でこれらのツールを活用したのは主に外資系企業で、日本企業への普及は進みませんでした。
MAは、見込み客を育成するためのツールであり、主にマーケティング部門が利用するものです。
しかし、日本のBtoB企業では、長年にわたり営業部門がマーケティングからカスタマーサービスまで一貫して担当してきました。このため、マーケティング組織が未成熟であり、MAツールの導入が進まなかったのです。
マーケティングの分野において、高度成長期の成功体験が現在の足かせとなっています。
終身雇用や年功序列が一般的であり、営業パーソンがマーケティングからカスタマーサービスまでを一気通貫で担当する方式が続いてきました。しかし、現代のビジネス環境では、マーケティング、インサイドセールス、フィールドセールス、カスタマーサービスの各フェーズが専門性を持って対応することが求められています。
日本企業ではフィールドセールスに関しては優秀な人材が豊富ですが、それ以外のフェーズについては経験が浅く、マーケティングツールの普及が進まない一因となっています。
もう一つの理由として、SaaSの利用が進まなかった背景にはセキュリティの懸念があります。
多くの企業がクラウドをセキュリティが弱いと考え、オンプレミスでのシステム運用にこだわっていました。この結果、SaaSの導入が進まず、BtoBマーケティングツールの普及が遅れる要因となりました。
日本企業では、自社の複雑な要件に合わせたシステムの作り込みが一般的であり、SaaSでは自社の要件を満たせないと考える企業が多かったのです。しかし、SaaSは開発や保守の手間が不要であり、迅速な導入が可能です。『DXレポート』や新型コロナウイルスの感染拡大によって、クラウドやSaaSの重要性が再認識され、普及が進んできています。
日本企業がBtoBデジタルマーケティングで遅れを取っている背景には、組織文化や歴史的背景、セキュリティの懸念、カスタマイズの習慣など複数の要因が存在します。しかし、クラウドやSaaSの普及が進む現在、これらの課題を克服することで、競争力を高めることが可能です。
マーケティング担当者や部署の責任者は、最新のツールとプロセスを理解し、適切に導入することで、より効率的で成果の出るマーケティング活動を展開できるでしょう。
本記事は、本メディアを運営する株式会社クリエイティブホープが出版した書籍「HubSpotワンストップマーケティング」を参考にし作られています。書籍ではこの他にもBtoBデジタルマーケティングやHubSpotに関する様々な情報が載っています。
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