今回はクリエイティブホープが支援した、デジタルマーケティングを推進する上で欠かせない企業のDX推進をHubSpotを用いて成功した大手メーカー企業A社の事例を、ご担当者様の声も交えてご紹介します。
A社について簡単にご紹介します。
A社はグローバル展開する大手メーカーで、役割が縦割りの組織となっており、部署間連携がなかなかうまくいかない企業体質でした。営業が足で稼ぐ手法に限界を感じ、デジタルを活用して見込客の開拓をはじめるところから、デジタルマーケティングがスタートしました。
ただマーケティングを開始した当初、やはり営業との軋轢があったとのことで、この改善に苦労がありました。田所さんの言葉を借りて対処をまとめると以下のようになります。
BtoBビジネスにおいては、商談から成約まで、主な顧客接点は営業が担います。
また、顧客接点が多いということは、見込客のニーズや自社の強みといった、マーケティングに欠かせないノウハウを多くもっているのも、実はマーケティング部署ではなく営業部署なのです。そのため、マーケティング部署は「営業の意見を尊重し、アイデアを出してもらう」ことがとても重要な業務の一つとなるのです。
A社がHubSpotを導入したのは2015年。かなり昔から導入をしており、クリエイティブホープはその頃から支援をしてきました。
最初はMarketing Hubという、MA機能やCRM機能を用いたマーケティング施策の推進を行っていました。
HubSpotは、特に営業出身のマーケターであればあるほど活用しやすいツールだと考えます。見込客の欲する情報やニーズをイメージでき、それをそのまま自分で形にできるという点で、施策実行までのスピードが非常に早くできるためです。
営業経験が無い方でも、営業の意見を取り込みながら施策を実行していくことで同様のスピード感で施策の実行が可能です。
担当の田所さんに聞いたところ、HubSpotを楽しみながら施策を継続的に実施できたそうです。
この「楽しむ」というのは非常に大きなポイントで、長続きするためにも必須ですね。自分自身の手で試せる→試した結果がすぐ分かる、というのはマーケティングの醍醐味ではないでしょうか。
またHubSpotはSaaSツールなので、日々アップデートが実施されます。追加契約無しで活用できる機能も多く、新しい武器をHubSpot側から提供してもらい、その武器をもとに戦況を良くしていくというのは一種のゲーム感覚に近かったようです。
結果として、マーケティング部署は多くの施策を実行し、評価分析を繰り返し改善を推し進めました。結果、A社はデジタルマーケティングを効果的に推進し、デジタルを活用して見込客を営業にパスするというミッションを安定的に達成できる環境の構築に成功しました。
デジタルマーケティングだけでなく、DXについてもお話していきます。
ここで言う「DX」とは、「デジタルマーケティングを推進するためのデジタル基盤構築」を指し、私たちは「マーケティングDX」「営業DX」と呼んでいます。
田所さんがHubSpotを用いてデジタルマーケティング推進している中、A社では2025年の崖を回避しないといけない、と全社でDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進する動きがはじまりました。全社統一システムの導入が決まり、そのツールとしてHubSpotが選ばれました。
全社DXに向けてクリエイティブホープもさらに支援の領域が広がったのですが、ここで一点、弊社が支援している中で注意すべきポイントだと感じたことがあります。
この注意ポイント解消にあたり、HubSpotで功を奏したことがあります。
それは、HubSpotはマーケティングだけでなく、営業も利用することでさらに効果が出るツールだということです。
Marketing Hubと併せてSales Hubも導入すると、マーケティング部署と営業チームが同じCRMデータを基に部署間連携ができるようになります。例えば、経営会議や営業会議での報告資料は、マーケティング部署も営業部署も同じデータを参照しているので乖離が起きにくく、「どの施策がどれほどの売上創出に貢献したのか」といったデータも断然出しやすくなります。
今まで事業部ごとに別々のツールを導入していたA社は、HubSpotという新しいツールに対する抵抗もありましたが、適切なサポートと説明をプロジェクトメンバーが丁寧に行うことで、多くの営業パーソンからの理解を得ることができました。
結果としてA社は、全社統一システムとしてHubSpotの導入と社内定着化に成功しました。HubSpotに合わせて業務フローを見直し、デジタルを活用した業務効率化を実現することで、営業は受注率の改善や円滑な社内情報共有ができるようになり、マーケティング部署は、ROASやROIベースでの施策の改善をさらにスピーディーにできるようになりました。
A社のDX成功事例は以上となります。ここからデジタルマーケティングやDXの推進に向けて、役立つお話をもう少しさせていただければと思います。
せっかくなので、HubSpotを長く活用している田所さんに、HubSpotをどうやって活用をはじめると良いか聞いてみました。
メルマガは主にリードナーチャリング(見込客をフォローし商談化に向けて育成する活動)に活用されます。リードナーチャリングではメルマガだけではなく、様々なコンテンツを活用し、ユーザーの興味関心を高めたり検討状況をキャッチアップしたりなど、中長期的に見込客を追い続けることが重要です。
上記はBtoBデジタルマーケティングで私たちがよく使うチャネル図です。この「見込み客をフォローするしくみ」をどう整えるのか、また新規リード獲得から受注までの検討プロセスをデジタルでどう実施し、どう管理するかにおいてHubSpotは有効なツールと言えます。
A社の事例紹介で登場した田所さんは、いわゆる「DX人材」と呼べる方です。デジタルマーケティングやDXを推進するにあたり、社内にこの「DX人材」がいるかどうかが成否を大きく分けると言っても過言ではないでしょう。
では、田所さんはどうしてDX人材になれたのか? DX人材として成長できた理由は何なのか?
その原点についてこう語ってくれました。
コンテンツを単発で終わらせるのではなく、例えばカスタマージャーニー全体で活用するのはどうしたらよいかといった「キャンペーンマーケティング」の概念で設計をしたのが良かったとお話いただきました。
MAのシナリオ作りなどは、まさにこの考え方が必要です。
田所さんのこの「人の役に立ちたい気持ち」と「全体像をイメージする力」は特に重要な考え方です。
人の役に立ちたい気持ちがあれば、A社のように営業パーソンが多かったり、デジタルリテラシーが低い方がいる会社でも、協力してもらいやすくなります。
また、田所さんの上司も、田所さんの取り組みをサポートし、彼が自由に動ける環境を提供してくれたのですが、これもこの気持ちがあったからこそでしょう。長期的な視点でDXを推進するためには、上長やチームのサポートも必要なのです。
またDXは個別最適では進みません。全体最適という観点を基に改革をしていくリーダーシップが必要となります。田所さんはその資質を十分に持っていました。
DX人材の定義については先ほど記載した通りです。「田所さんみたいな優秀なDX人材が欲しい!」と思った方も多いのでないでしょうか。
しかし、今の人材流動性が高い時代には、優秀な人ほど転職してしまうという悩みを抱えている企業も多いのは事実です。本来、転職は非常にパワーを使うことなので、できれば転職せずにいられる方が良いという方も多いでしょう。それでも、ということにならないよう、DX人材を育て、企業に定着させることが重要です。
どうすればいいか。まずはDX人材たる従業員が誰かを見分けることからスタートしましょう。もちろんDX人材は最近になって出てきた概念ですので、誰がDX人材なのかを見分けるのは大変です。
先ほどの「人の役に立ちたい気持ち」と「全体像をイメージする力」を持っている、というのは一つの指標にしても良いでしょう。また「積極性があるかどうか」も勘案してみると分かりやすいかもしれません。
さらに、田所さんは頼れる上司がいました。人材だけ突出していても、サポートする組織や企業文化がないと、心が離れていってします。(これはDX人材に限らない話ではありますが)
また、DXに成功している企業の傾向を見ると、長い目で見るということができているような気がします。DXやデジタルマーケティングは1年で大きな結果を出すことは難しいです。それを分からず「1年で結果を出せ」というのはモチベーションもあがらず、無駄な1年に終わってしまう可能性も高いです。
また、スモールサクセスを積み重ねることも重要です。小さな成功が次の成功を導き、その連鎖で大きな成果を生むというのは、これまで多くの支援先で見受けられた傾向です。
これらのことからも、長い目で見ることが重要であることが分かると思います。
デジタルマーケティングを推進するには、営業の意見を尊重し、楽しみながら続けられることが重要です。また営業DXの観点では、DX人材を育て、定着化させることが重要です。また、デジタルマーケティングやDXには、現場が使いやすいツールを活用することが重要になります。企業がDXを推進する際には、こうしたポイントを押さえつつ、全社的な協力体制を築くことが求められます。
本記事は、本メディアを運営する株式会社クリエイティブホープが出版した書籍「HubSpotワンストップマーケティング」を参考にし作られています。書籍ではこの他にもBtoBデジタルマーケティングやHubSpotに関する様々な情報が載っています。
詳しくお読みになりたい方はぜひ書籍をお求めください。