今回クリエイティブホープの支援事例としてご紹介する企業は通信会社のC社です。デジタルマーケティングにおけるマーケティング部署の推進について、参考となれば幸いです。
BtoB事業への転換C社はもともとBtoC事業がメインでしたが、トップからの指令でBtoB事業を拡大することになりました。BtoC事業が急拡大しており、非常に勢いがある会社だったため、そのままの勢いでBtoB事業も拡大を、となったわけです。
「1年で数字目標を達成するように」担当者は頭を抱えつつも、不可能ではないその目標数字を達成するために、まずはデマンドジェネレーションの戦略見直しを行いました。
BtoC事業に加えBtoB事業の拡大という点では別の記事で紹介した法人向け研修会社のB社の事例と似ているかもしれませんが、抱えている課題は大きく異なっていました。
B社はリード獲得に課題があったのに対し、C社の場合、社名の認知度はかなり高くブランド力もありましたので、リード獲得にはさほど困っていませんでした。
C社は1年という短期間での売上創出が目的のため、成約に近しいスピード感のあるリード獲得が求められていました。デマンドジェネレーションにおける「リードクオリフィケーション」が必要だったのです。
そこで、私たちはコンセプトダイアグラムというフレームワークを用いて、マーケティングと営業との連携戦略と役割分担を定義することからはじめました。売上目標を達成するためには、マーケティング部署と営業部署との連携が必要不可欠であり、どのように連携するかがポイントだったからです。
コンセプトダイアグラムは、カスタマージャーニーマップに似ており、中長期的なアプローチに向いています。これを使って、現状の問題点を洗い出し、全体戦略を再定義しました。C社では特にホットリードの発見と営業への引き渡しを強化する必要がありました。そこで、リードクオリフィケーションのプロセスを見直し、スピード感のあるリードを迅速に営業へ引き渡す体制を構築しました。
この図で重要なことは、必要なタスクが時系列で並んでいること、ステークホルダーが全てコンセプトダイヤグラム上に登場していることです。
このことにより、それぞれの役割分担が明確になり、取るべき行動が分かるようになるため、組織間の連携強化に非常に有効です。
その後、マーケティング(4、5人)およびインサイドセールス(5〜10人)向けに、リード獲得施策やリード選別の設計についてレクチャーしました。同時にフィールドセールス(5〜20人)にも、ホットリードを見つける方法についてレクチャーを行いました。
コンセプトダイヤグラムで連携戦略と役割分担を明確化した後、アクションの促進を支援しました。
C社は私たちの支援の前からすでにCRM/MA/SFAツールである「HubSpot」を導入・活用していましたが、まず、HubSpotの導入や活用をするミーティングに、マーケティングと営業とをどちらも必ず同席してもらうようにしました。
C社は営業力が強く、ハイタッチ営業が中心でした。ハイタッチ営業とは、顧客の悩みや課題と向き合い一緒に解決策を探りながら、最終的には顧客と営業がハイタッチして「やったね!」と笑顔で言える関係を築く手法です。
営業パーソンはハイタッチ営業に強いメンバーが多く、前職から付き合いのある顧客へのアプローチをしていましたがリストが枯渇し、ホットリードの獲得が急務でした。
ホットリードの獲得に向けた作戦会議の中で、マーケティングと営業とでそれぞれ得意・不得意領域が異なり、またそれを共有する場がこれまで無かったので、同じミーティングの中でお互いの悩みや課題を単刀直入に話し合う機会を設けました。ホットリードの獲得も、この単刀直入の意見の中から出てきたものです。
会議を経てコンセプトダイヤグラムを策定した後、アクションに繋げるためにHubSpotの現状を確認し、求めるデータを収集できるよう、プロパティやパイプライン、ワークフローなど様々な設定の見直しを行いました。
現状利用しているシステムを、見える化されたフローに則り行動するための設定変更やデータ収集・分析環境を整える程度で済んだため、描いたフローの実行や評価をスピーディーに行うことができました。
また、HubSpotの設定が完了した後はホットリード獲得に向け、マーケティング部署にてHubSpotに蓄積されたデータを用いた施策を実行することにしました。
まずはホットリードであることの条件(BANT、行動・属性情報など)や営業にパスする際に必要な情報をヒアリングし、ホットリードとなる情報収集をするための施策を行いました。そして、保有するリードをホットリード化するための施策を実行していきました。
大小様々な課題がありましたが、優先順位をつけ、一つずつプロジェクト化して推進する流れを築きました。現在は、年度売上目標に向けてチャレンジ中ですが、目標に向けて着実に成果を挙げています。
C社のデジタルマーケティング事例は以上となります。ここからデジタルマーケティング推進に向けて、役立つお話をもう少しさせていただければと思います。
日本企業は営業が強く、マーケティング部門の立場はまだまだ弱い状態です。もちろん、BtoBビジネスは主な顧客接点は営業となり、営業の意見をマーケティングがしっかり耳を傾けることは重要です。
デジタルマーケティングを推進するためには、マーケティングと営業とが対等な立場で連携を図ることが重要で、健全な状態であると言えます。どのようにしたら健全な状態になるのでしょうか。そのポイントをマーケティング部署に向けて紹介します。
マーケティング部署の役割や、どれくらい営業に貢献できるのか、を営業パーソンにしっかり理解してもらうことに努めましょう。
営業のミッションに加えて、そのミッションを達成するための支援であるはずなのに「余計な仕事」と営業パーソンが感じてしまうと部署間連携ができないばかりか、マーケティング部署のミッションを達成することが困難になってしまうこともあります。
営業の意見を傾聴し、マーケティングの意見を押しつけない、無理強いしないことが大切です。
円滑にコミュニケーションをするために、定量的な評価基準を定めましょう。定性的な評価ではお互いに認識の齟齬が生まれやすく、適切なやりとりが難しくなる場合があります。また定量的な評価基準を定めるために、しっかりとデータを取得し、ファクトデータに基づき話ができるようにしましょう。
ファクトデータに関する内容はB社の事例も併せてご覧ください。
営業とマーケティングとでコミュニケーションツールを活用するとなお良いです。上記のコンセプトダイアグラムはその一例で、商談全体の流れと役割分担を「見える化」し、連携をスムーズにすることができます。
またHubSpotは最適なコミュニケーションツールです。同じCRMデータを基に両部署が会話できますので、スムーズな会話が可能になります。
何よりも大切なことは、営業に対してホットリードというキラーパスを数多く送れるようになることです。マーケティング部門と営業とが対等になるために、上記のコミュニケーションに加え、成果を出し、「マーケティング部門なしでは営業が始まらない」という状態になるのがベストです。
HubSpotで施策を実施する前に、現在のマーケティングリソースや目的、目標達成時期などを見据えて、今取るべきアクションを整理し、優先順位をつけて行いましょう。C社の場合は、マーケティング部署と営業部署の連携が必須で、コンセプトダイヤグラムを策定し、連携戦略と役割分担をまとめることが必要でした。そしてそこから導き出されるタスクや施策をHubSpotを用いて実行していきました。
C社の事例を参考に、マーケティングと営業の連携を深め、効果的なデジタルマーケティングを実現していただければと思います。
本記事は、本メディアを運営する株式会社クリエイティブホープが出版した書籍「HubSpotワンストップマーケティング」を参考にし作られています。書籍ではこの他にもBtoBデジタルマーケティングやHubSpotに関する様々な情報が載っています。
詳しくお読みになりたい方はぜひ書籍をお求めください。