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CPM分析とは?B2B商談創出につなげる顧客分析の基礎知識 その2

CPM分析とは?B2B商談創出につなげる顧客分析の基礎知識 その2-1

顧客対応の優先度、なんとなくで決めていませんか?
CPM分析が限られた営業リソースの“最適分配”への鍵

「誰に・いつアプローチすべきか」の判断を、経験や勘に頼っていませんか?

限られた時間や人員で営業成果を最大化するには、顧客ごとの関係性や将来性をふまえた優先順位付けが不可欠です。
そこで注目されるのがCPM分析です。

CPM分析は売上額だけでなく、収益性や成長性といった視点から、戦略的なアプローチ先を見極めて判断するための分析手法としてB2Bの営業やマーケティングの現場で有効です。
とはいえ、CPM分析は“使えば成果が出る「万能な手法」ではありません。
データ整備や業務への落とし込みが不十分だと、期待した効果が得られないケースもあります。

本記事では、CPM分析の基本や活用法、現場での課題とその解決策を紹介します。
属人化を脱し、戦略的に営業活動を進めたいとお考えの方は、ぜひご覧ください。

CPM分析とは?

CPM分析とは、Customer Portfolio Management(顧客ポートフォリオ管理)の略です。
顧客を「購入回数」「購入金額」「最終購入日からの経過日数」の3つの基準で分類・評価し、顧客育成(ナーチャリング)や営業・マーケティング施策に役立てる分析手法です。
分析にあたっては、先に挙げた3つの基準で顧客を分類する必要があります。

顧客の状況を可視化することで、ロイヤル顧客の発見・育成、離脱顧客の呼び戻し、低収益顧客への対応最適化など、限られた営業リソースの最適な配分が可能になります。

RFM分析との違い

前回記事のRFM分析は「過去の購買行動」をもとにスコアリングする手法で、短期的な優良顧客の抽出に適しています。
一方でCPM分析は、「将来の成長性」や「戦略的な重要度」などを含めた中長期的な視点で顧客価値を評価します。

内容 RFM分析 CPM分析
要素 最終購入(接触)日/購入頻度/購入金額 購入回数/購入日からの経過日数/購入金額
目的 短期的に成果を上げる 成長性など将来への投資判断/中長期的
特徴 定量的な数値入力で導入しやすい 成長性や収益性など定性要素が多く多面的

B2BビジネスにCPM分析を活用し商談につなげるステップ

B2B営業において、成長性や収益性が異なる顧客ごとに最適な戦略を立てることは重要です。
とはいえ、「実際にどう使えばよいのか」と感じる方も多いのではないでしょうか。
ここでは、CPM分析を営業やマーケティング活動に取り入れる際の具体的な活用イメージを紹介します。

ステップ1:企業を「重要度×成長性」のマトリクスに分類し投資配分の最適化を図る

まずは、既存顧客や、過去に何らかの接点があった見込み企業をリストアップします。
そして、それぞれの企業を「重要度(現在の売上や利益貢献度、戦略的な価値)」「成長性(将来的な売上拡大の可能性)」といった軸で評価し、マトリクス(2軸のグラフ)上にプロットします。
この2軸評価により、顧客の現在地と将来性を俯瞰的に把握できます。
また、売上が大きくてもサポート工数や個別対応により実質的な利益が出ていない赤字顧客を可視化することも、B2Bにおける重要な観点です。

              重要度と成長性マトリクス

例えば以下のように分類します。

  • 重要度:高 & 成長性:高 → 売上や利益貢献度が高く、成長性も期待でき戦略的に最も重要な顧客
  • 重要度:高 & 成長性:低 → 売上や利益貢献が高く、現在は重要だが成長性が低く今後の動向を注視する顧客
  • 重要度:低 & 成長性:高 → 現在の売上や利益は少ないが、業界自体が発展途上で将来性に期待できる顧客
  • 重要度:低 & 成長性:低 → 売上や利益が低く、成長性も期待しにくく優先度が低い顧客

こういった分類をし、重要度と成長性の高い企業を特定することで、アップセルやクロスセルに注力する優先順位付けが可能になります。どこに人的リソースやコストを掛けることがふさわしいか判断することに役立ちます。
また、重要度や成長性が低く、売上維持において人的リソースが工数が発生している顧客への対応効率化や撤退の判断も取りやすくなります。

一般的にCPM分析では10個のグループに分類する必要がありますが、ここではB2Bのビジネスを想定し、まずは4個のグループに分類する方法を紹介しております。

ステップ2:営業・マーケティング活動の優先順位をつけてアプローチ方法を変える

先に挙げたマトリクスによって分類された顧客群を、例えば以下のようにA〜Dランクに分け、それぞれの優先度に応じて最適なアプローチ戦略を定義します。

ランク・顧客層 アプローチ

Aランク(戦略顧客):
 最も重要な顧客層

・深い課題ヒアリングに基づいたソリューション提案
・決裁者へのアプローチ
・定期的な訪問・ミーティングによる関係強化 など
▶マンパワーを集中して深い関係性を構築

Bランク(準戦略顧客):
 将来性がある、または現状維持が重要な顧客層

・定期的な情報提供とニーズのヒアリング
・課題解決のための提案
・セミナーや展示会への招待 など
▶関係を維持・強化
Cランク(育成顧客):
 現在の取引は少ないものの、将来的な成長が見込まれる顧客層
・ウェビナーへの誘導
・メールマガジンによる情報提供、ナーチャリング
・同一業界での事例紹介 など
▶潜在ニーズの掘り起こしや関係性の構築を目指す

Dランク(低優先顧客):
関係性が薄く、すぐにアプローチする必要のない顧客

・ウェビナーやセミナー案内
・メールマガジンによる情報提供、ナーチャリング
・製品アップデート情報の一斉メール配信 など
▶最小限のリソースで関係を維持・状況の変化を待つ

ステップ3:商談機会を逃さず関係性を構築する仕組み作りへ

顧客の重要度と成長性を整理し、優先顧客の順位やアプローチが明確した後は、継続的な関係構築に落とし込む仕組み作りが必要です。営業任せの属人的な運用では、機会損失や対応の抜け漏れが起きやすくなります。

例えば、A・Bランク顧客には営業やカスタマーサクセス部門が担当し、顧客状況や優先度に応じてプランの設計や専任チームの構築を行い、重点的にフォロー。
C・Dランク顧客には、カスタマーサポートやCRM・MAといったツールを活用しスコアに応じたメール配信やウェビナー誘導などを自動化し、効率的に接点を維持する。とった形で限りあるリソースを有効活用する意識を持ちましょう。

💡POINT:CRMやMAツールを活用すれば、ランクに応じた顧客管理やフォローがスムーズに
CRMやMAを使えば、顧客ごとのセグメントやランクに応じて効率のよいフォローが可能です。
・商談の停滞や次のアクションが未設定の状態をトリガーとして営業へアラート通知
・ランクや属性に応じたタスクを事前に設定しておくことで、対応漏れ防止
ランクに応じてCRMやMAといったツールでのフォローを組み合わせることで、効率化を図り継続的な商談創出につながります。

👉CPM分析におけるセグメント設計や成果へ繋がる仕組み構築にお困りの方へ無料相談会も承っています。
ぜひご活用ください。

B2BにおけるCPM分析の課題

CPM分析は、顧客を定量的に評価し営業・マーケティングのリソース配分を最適化できる一方で、実践するにはいくつかのハードルがあります。特にB2B領域では、以下のような課題が顕著です。

1.データ整備・連携のハードルが高い
  • CPM分析には売上や利益だけでなく、商談工数やサポート対応履歴、顧客満足度など多面的なデータが必要
  • 分析に必要なデータは営業・マーケティング・カスタマーサポートなどの部門でバラバラに管理されているケースが多く、データの収集・統合が大きな負担
  • SFAやCRM、各種システムやツールが連携していない場合、分析の前段階でつまずくケースも

2.戦略的な関係性の見落としリスク

  • CPMは「数字に基づく分析」だが、定量データだけでは顧客の将来的な価値戦略的意義を見落としてしまうリスク
  • 現時点では「利益が薄いが、将来的に拡大が見込まれる新興市場の顧客」などは、分類上は低評価になりやすく、適切なフォローがされない可能性がある
  • 数字や顧客ランクだけで判断すると、優先度が下がったことによる“フォロー不足”が発生し、中長期的な商機を逃すケース

3.評価指標の設計が難しい

  • 単純な売上や利益貢献だけでなく、ビジネスモデルに応じて「紹介の多さ(リファラル)」、「パートナーとしての貢献度」なども加味すべきだが、共通スコアに落とし込む設計が難しい
  • SaaSビジネスでは、契約外の活用状況や定着率、利用満足度など、目に見えにくいファクターを反映させる必要があるが定義しにくい。

こうした課題を踏まえると、B2BにおけるCPM分析では「どの情報を評価に使うか」「どう分類するか」といった
分析設計が極めて重要です。

定量・定性の両面から評価軸を設計し、部門間でのデータ連携やスコアの定義づけを事前に行う必要があります。
また、数値だけにらず、将来性や関係性といった定性的な視点も併せて判断する姿勢が求められます。

💡HubSpotでの実装例
CPM分析の実践には、CRMやMAツールとの連携は重要です。
たとえばHubSpotでは、以下のようなプロパティタイプを用いて、顧客の分類や優先度評価を「仕組み」として実現できます。

例1:初回訪問や最終訪問日から今日までの経過日数を算出し、顧客との接点状況を数値化するカスタムプロパティ。

例2:訪問回数、反応率、購買データなどに応じて定期的にランクやスコアを付与するワークフローを構築し、その値が変動するカスタムプロパティ。

CPM分析やRFM分析の行動軸に加えて、会社データに対して業界・重点ターゲットや直近の売上データというプロパティ項目を設けることでマトリクスでの「重要度と成長性」の分類が可能です。
分類に用いるしきい値や指標は企業のビジネスモデルによって異なりますが、適切な設定を行うことで、顧客の優先度だけでなく、行動傾向に基づいた戦略的なセグメント分けや分析が実現できます。

まとめ:CPM分析で商談の芽を逃さない戦略的な顧客評価・分析を

CPM分析は、顧客を評価・分類し、営業活動の優先順位を見直し、属人的な判断から脱却した“戦略的な営業体制”をつくるためのフレームワークです。
RFMのような即効性を求める手法とは異なり、中長期的に顧客の価値を見極め、段階的にアプローチを最適化していく点が特長です。

初めは評価軸の設計やデータ整備に戸惑うこともありますが、営業・マーケのリソースを有効活用し持続的な成果向上を目指すなら、今こそ見直す価値があります。
まずは、顧客リストを見直し、「誰に・何を・いつすべきか」の判断基準を整えることから始めてみませんか?

 


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