では、彼らは消費や行動において一体何を最重要視しているのか?その答えの一つが「流行」です。
Z世代にとって、流行とはただのブームではありません。
自己表現や仲間との共感、そして“語れる体験”のきっかけとなる重要な行動指針です。本記事ではZ世代の流行行動を読み解きながら、企業が取り入れるべきアプローチ──特に「紹介施策」との相性──について具体的に考察します。
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Z世代が流行に飛びつく背景には、FOMO(Fear of Missing Out/取り残される不安)という心理があります。他者の情報体験を見逃すことに対する不安は、SNS時代において極めて強力な動機です。
調査でもFOMOがZ世代のSNS常時接続と強く関連し、高頻度でSNSを確認する行動が不安・自尊心・ライフサティスファクションにも影響を与えていることが示されました。(出典:Indian Journal of Mass Communication and Journalism (IJMCJ))
このように、「常につながっていないと不安になる」という気持ちは、流行への即応性や、トレンドを追う消費行動につながっているのです。
Z世代はSNS上で常に他人と自分を比較する環境に置かれています。特にTikTokやInstagramでは、「誰が先に流行に乗ったか」「どんな投稿でどれだけ反応があったか」が可視化されるため、“乗り遅れないようにする”という欲求が刺激されます。
その結果、流行に参加することは、単に「楽しい」以上の意味を持ちます。それは仲間意識を確認する手段であり、自分の存在を社会に提示する行為になっているのです。
SNSでの“映え”や“リアクション”が自己価値の指標となる今、「流行に乗っている自分」を可視化することは、Z世代にとって重要な行動です。
「友人が使っているから」「人気インフルエンサーがやっているから」ではなく、「それをやっている自分がどう見えるか」が消費動機になるのが、Z世代らしさのひとつです。
流行はもはやモノではありません。Z世代にとっては“参加するための共通言語”です。実際、Yahoo!ニュースでも話題になるようなY2Kファッションや地雷メイクなど、新しいトレンドはすぐに会話に消費されます。
「流行を知っている=話題に参加できる」「流行に飛びついた=共感される」という、自己表現と所属の欲求が裏で連動しています。投稿への共感コメントやリミックス(エフェクトを変えて投稿すること)は、自己表現を仲間と共有するコミュニケーションの形でもあるのです。
流行が生まれるプロセスは、共感の連鎖による拡散構造です。TikTokでは、共感できる短尺の動画が再生・共有されやすく、そのフォーマット自体が流行の形式になっています。
実際、心理学の研究でも「エモ系」「ユーモア」「共通体験」など、感情ベースの共感がバズの原動力であることが示されています。共感が生まれると、「真似して作る」「キャプションで自分を表現する」など、自発的なUGC発信を促します。
Z世代の流行に対する姿勢は、「誰よりも早く」「自分らしく」がキーワードです。もはやトレンドは“与えられるもの”ではなく、“自分で選び、自分で表現するもの”となっています。
Z世代の多くが「時間を無駄にしたくない」「買い物に失敗したくない」という意識を強く持ち、商品やサービス選択においても「短時間で成果が得られる」ものを選ぶ傾向があるとされています。
バズるグルメ、1分で完結するエンタメ動画など、短命だが高効率な体験は彼らにとって「今を共有する手段」なのです。
(出典:TBS CROSS DIG)
Z世代はトレンドを“そのまま”受け入れるのではなく、自分の感性で加工し、表現し直す傾向があります。
TikTokのフィルター、Instagramのリール編集、YouTubeショートのテンプレ模倣——どれも「同じ流行に、違う自分で参加する」文化の一部です。
こうして、流行は「個」と「集合」の間を行き来しながら再解釈され、消費されていきます。
Z世代が流行に参加するには、「誰が言っているか」「それが本物か」が重要です。企業が発信するトレンドはすぐに“仕掛け”と見抜かれ、逆効果になることさえあります。
Z世代はSNS上で「広告っぽい」と感じる投稿を見た際に、「購買意欲が少し下がる」「購買意欲が完全になくなる」と回答したZ世代は43.4%に上ります。また、「購買意欲が高まる」と答えたのはわずか14.6%にとどまっています。(出典:僕と私と株式会社)
この結果からもわかるように彼らは、「企業主導のトレンド」ではなく、「リアルな共感から自然発生した流行」を支持する傾向があります。
信頼の起点となるのは、ナノインフルエンサー(フォロワー1,000〜5,000人程度)や、自分の周囲のユーザーによる発信です。
実際、AppBrew「LIPS」などのコスメプラットフォームでも、口コミの拡散力がプロモーション効果を超える場面が多く見られます。
このように、Z世代に届く“火種”は、「共感できる体験」「信頼できる人」から生まれるのです。
それはまさに“紹介”が生まれる文脈でもあります。
Z世代マーケティングにおいては、流行を“追いかける”のではなく、ユーザーと“共に作る”視点が欠かせません。企業が流行の「火種」を無理につくるよりも、ユーザーが自然に共感・参加したくなる文脈を設計することが重要です。
このとき鍵になるのが、「共感」「自己表現」「拡散性」の3要素。これらを満たす仕掛けがあれば、Z世代自身が流行の担い手として動き始めます。拡散の主役は企業ではなくユーザーなのです。
それらを満たすマーケティング戦略にはどのようなものがあるのでしょうか?
UGC(User Generated Content=ユーザー生成コンテンツ)は、Z世代に対する最も自然で信頼性のある情報伝播手段の一つです。「流行の文脈」をユーザーが自ら作ってくれる仕掛けは、マーケティング戦略として再現性のある手法です。
無印良品
株式会社良品計画が運営する、シンプルで品質の良い生活雑貨、食品、衣料品などを扱うブランドです。
無印良品は、UGC施策の代表的成功事例として知られています。
Instagramの「#無印良品のある生活」キャンペーンでは、ユーザーが商品を取り入れた暮らしの様子を投稿。企業はその投稿をリポストすることで、「共感→発信→共有」の好循環を形成しました。
このようなオーセンティックな投稿は、企業が広告として発信するよりも自然で信頼性が高く、Z世代の感性とマッチします。
また、ECサイト内の「みんなの口コミ」セクションでは、実際に商品を購入・利用した顧客の正直なレビューが掲載されています。これにより、購入を検討しているユーザーは、第三者の客観的な評価や使用感を参考にでき、購買への心理的なハードルが下がります。
これらのUGC施策は、広告費を抑えつつ、顧客エンゲージメントとブランドロイヤルティを高め、持続的な成長を支える効果的なマーケティング戦略として、現代において見習うべき成功事例と言えるでしょう。
UGCが“共感”を起点に拡散されるならば、紹介(リファラル)はその“共感の出口”です。Z世代は「自分が良いと思ったものを、誰かに教えたい」というシェア欲求を強く持っています。
たとえば、UGC投稿のあとに「お友達に紹介しよう」導線を設ければ、「共感→投稿→紹介」という自然な流れが生まれます。このように紹介施策をUGC文脈の中に設計することが、Z世代に響く最も合理的かつ再現性のある施策となるのです。
ルシアクリニック
医療脱毛、美肌治療、美容整形など、美容医療全般を専門とする美容皮膚科クリニックです。全国に15院以上を展開しており、メンズ専用クリニックも構えています。
医療脱毛/美容皮膚科を関西中心に展開するルシアクリニック様は、紹介施策の実施で介件数が従来の約10倍に増加。契約率は紹介経由で90〜100%という高水準を維持しています。また、スタッフ向けにマニュアルを整備し、毎月の成果共有を行うことで、現場のモチベーションと運用精度を高めています。
紹介施策は、Z世代の「共感したらシェアしたい」という心理と非常に親和性が高く、単なる販促手法ではなく、“信頼とつながり”をベースにしたマーケティングとして高い成果を上げています。
Z世代は“熱しやすく冷めやすい”という特徴を持ちます。だからこそ、一過性のバズに終わらず、継続的に関与してもらうためには、「誰かに紹介したくなる体験設計」が必要です。
「その商品やブランドに共感した理由を語りたくなる仕掛け」が必要であり、それをSNSで気軽に発信できるようにしておくことが、流行の継続・定着につながります。
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Z世代にとって、流行は「流行っているから買う」のではなく、「誰かと共有したいから参加する」ものです。重要なのは、トレンドそのものよりも、それを通じて生まれる共感やつながりのプロセスです。
この“共有体験”の最終形が、自分の言葉で誰かにすすめる=紹介です。
企業に求められるのは、流行をつくることではなく、「共感から紹介へとつながる設計」をどれだけ丁寧に構築できるか。Z世代は、広告では動きません。彼ら自身が語りたくなる物語、参加したくなる文脈、誰かに伝えたくなる体験——そのすべてが、紹介というアクションに結実するのです。
Z世代マーケティングにおいては、「紹介される」こと自体がゴールではなく、「紹介したくなる」仕掛けを生むことが真の戦略です。共感・体験・信頼を積み上げ、紹介という自然なゴールに導く。これこそが、いま企業に求められているマーケティングの新常識です。
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