ナレッジを「事業」と「業務」で分けて設計する ― 活用されるナレッジに必要な「2つのレイヤー」とは ―

※本記事は、第2回「ナレッジを整理する4つの問い」の続編です。
前回は、ナレッジを機能させるための基本フレームとして「なぜ・何から・どうやって・何を」という思考の流れを紹介しました。しかし、このフレームだけでは、まだ不十分なケースがあります。なぜなら、ナレッジには扱うべき“レイヤーの違い”が存在するためです。

なぜナレッジは「噛み合わない」のか
現場でよく起きるのが、「ナレッジを読んでも自分の業務に当てはまらない」という問題です。
たとえば、戦略や方針について書かれたドキュメントを読んでも、「で、現場では何をすればいいのか分からない」と感じることがあります。
逆に、具体的な手順書を見ても、「なぜそのやり方なのか」が理解できず、応用が効かないというケースもあります。このような“ズレ”が起きる原因は、異なるレイヤーの情報が混在していることにあります。
ナレッジは2つのレイヤーに分けて考える
ナレッジは大きく分けて、次の2つのレイヤーで構成されます。事業レイヤー(Why)と、業務レイヤー(How / What)です。
事業レイヤーでは、「なぜそれをやるのか」「どのような価値を提供するのか」といった、意思決定の前提となる考え方を扱います。一方、業務レイヤーでは、「どのように実行するのか」「具体的に何をするのか」といった、現場のアクションに直結する情報を扱います。
この2つはどちらも重要ですが、役割はまったく異なります。
事業レイヤーは「判断基準」をつくる
事業レイヤーのナレッジは、いわば“考え方の土台”です。
ここが整理されていないと、現場は常に個別判断に頼ることになり、意思決定に一貫性がなくなります。
たとえば、どの顧客を優先すべきか、どの施策に投資すべきかといった判断は、本来このレイヤーのナレッジに基づいて行われるべきです。
つまり事業レイヤーは、単なる説明資料ではなく、意思決定の基準を共有するためのナレッジと言えます。

業務レイヤーは「再現性」をつくる
一方で、業務レイヤーのナレッジは、現場での再現性を担保する役割を持ちます。
具体的な手順やテンプレート、ツールの使い方などがこれにあたります。このレイヤーが整備されていれば、担当者が変わっても一定の品質で業務を遂行することができます。
ただし、ここで重要なのは、業務レイヤー単体では機能しないという点です。なぜなら、「なぜその手順なのか」が理解されていなければ、状況が変わったときに適切な判断ができないためです。

2つのレイヤーは「つながって初めて機能する」
ナレッジ設計で最も重要なのは、この2つのレイヤーを分けることではなく、正しくつなぐことです。
事業レイヤーだけでは抽象的すぎて動けず、業務レイヤーだけでは応用が効きません。「なぜこの方針なのか」が理解でき、そのうえで「だからこのやり方を採用している」とつながっている状態ではじめて、ナレッジは実務で機能します。
この構造があることで、現場は単に指示を実行するだけでなく、自律的に判断しながら動けるようになります。
「4つの問い」とレイヤーを組み合わせる
第2回で紹介した「4つの問い」は、このレイヤー構造と組み合わせることでさらに効果を発揮します。
事業レイヤーでは主に「なぜ」を中心に整理し、業務レイヤーでは「何から」「どうやって」「何をする」を具体化していきます。このように整理することで、抽象と具体が自然につながり、ナレッジ全体に一貫した構造が生まれます。
ナレッジ設計は「組織設計」でもある
ここまで見てきたように、ナレッジは単なる情報管理ではなく、組織の意思決定と実行を支える基盤です。
事業レイヤーが意思決定の軸をつくり、業務レイヤーが実行の再現性を担保する。この2つが連動している状態は、そのまま「強い組織」の構造とも言えます。逆に言えば、ナレッジが機能していない組織は、戦略と現場が分断されている状態にあるとも考えられます。
まとめ
ナレッジを活用される状態にするためには、「4つの問い」による思考の流れに加えて、事業レイヤーと業務レイヤーという構造的な整理が不可欠です。
この2つを分けて捉え、適切につなぐことで、ナレッジは単なる情報の蓄積から、意思決定と実行を支える仕組みへと変わります。
次回予告
次回は、ここまで解説してきたフレームを実際の業務に落とし込み、ナレッジをどのように運用し、定着させていくかについて解説します。
もっと詳しくお知りになりたい方へ
「Beyond’s Skills Training」はDX推進と経営課題の解決に必要なスキルを身につけるための教育プログラムを提供します。具体的なナレッジマネジメントの在り方は個社毎のご事情もあります。採用や外部リソースに頼らず、内製で安定的なDX推進の基盤を確立したいとお考えの企業様におすすめです。
デジタルナレッジ人材が"今"必要ならご相談ください
株式会社クリエイティブホープは20年以上、業種業態を問わないDX・デジタルマーケティングのコンサルティング・伴走支援を行って参りました。
各企業様の特性に合わせたナレッジ分析や方針策定の他、具体的な企業様への研修なども得意領域としております。
・具体的な実務が属人化しており、担当者以外誰も把握していない
・分からないことがあった際、誰に聞いていいか分からない
・どこを探してもマニュアルが見当たらない
などの状況は、どの企業様にもよくある事象です。
何から手をつけるべきか分からない、という状態でもお気兼ねなく、以下のボタンよりお問い合わせ・ご相談ください。
HubSpotの導入・活用支援ならクリエイティブホープ
プラチナパートナー
HubSpotのプラチナパートナーとして多くの実績があります。HubSpot CRMの実装・移行、営業とマーケティングの連携、カスタマー サクセス トレーニング、ナレッジベース・ヘルプデスクの実装・カスタムAPI連携など多数の実績がございます。
所有メンバー多数
導入や運用は30名を超えるHubSpotの有資格社員の中から、ご要望やプロジェクトに合わせて適切なメンバーをアサイン。豊富な知識や経験に対してこれまでHubSpot社から「Customer First in Japan 2021」の表彰やコミュニティでの活動を表彰されています。
複雑な案件支援
社内にはエンジニアがおり、HubSpotと他システムとの連携やUI改善開発など、よりHubSpotを活用できる環境構築を支援できます。HubSpotのUIエクステンションやAPI活用だけでなく、他システムの連携を多数ご支援実績がございます。





