先日、少し体調を崩して病院に行った。
診察室に入り、医師に「頭が痛いんです」と伝えた。
もしその医師が、私の話を遮ってこう言ったらどうだろう。
「じゃあ、この強い痛み止めを飲んでください」
きっと、少し不安になるはずだ。
なぜなら、頭痛の原因は人それぞれだからだ。
寝不足かもしれない。
肩こりかもしれない。
あるいは、もっと別の重い病気が隠れているかもしれない。
優れた医師は、まずじっくりと話を聞く。
「いつから痛いですか?」
「どんな痛みですか?」
そうやって、痛みの背景にある「原因」を探ろうとする。
この病院でのやり取りを思い出しながら、ふと思った。
ビジネスの現場でも、これと全く同じことが起きていないだろうか。
メンバーやマネージャーと会話をしていると、あることに気づく。
役職や経験に関係なく、多くの人が同じ罠にハマっているのだ。
それは、「問題」と「課題」と「打ち手」の切り分けができていないことだ。
ビジネスにおけるこの3つは、グラデーションでつながっている。
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問題(事実・要因):理想と現実のギャップ(何がダメなのか?)
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課題(目標・テーマ):問題を解決するために取り組むべきこと(何をどう変えるべきか?)
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打ち手(アクション):課題を解決するための具体的な行動(具体的に何をするか?)
優れた医師のように、この3つを鮮やかに切り分けることが大切なのだ。
例えば、あるお店の売上が伸び悩んでいるとする。
「看板を見てたくさんのお客さんが入ってくるのに、誰も商品を買わずに帰ってしまう」
これは、起きている「問題(事実)」だ。 病院で言えば「頭が痛い」という状態にすぎない。
しかし、多くの人はこれをそのまま「課題」だと思い込んでしまう。 実態を見ずに、「とりあえず看板のデザインを変えよう」といった「打ち手」に飛びつく。
本来の「課題」はどこにあるのだろうか。 お客さんが入ってくるのに買わないということは、看板の期待と店内の品揃えにズレがあるはずだ。
つまり、本当の課題は「入店したお客さんの期待を裏切らずに、購入へつなげるための店内環境の改善」になる。
これが整理できないと、周囲からは「頭がごっちゃな人だな」と思われてしまう。 あるいは、言われた事実だけを処理する「いわれ仕事」の人に見えてしまう。
それは、とてももったいないことだ。
逆に、クライアントや上長が混乱しているときこそ、チャンスでもある。
「今起きている問題はこれで、本質的な課題はここです。だからこの打ち手を提案します」
そう切り分けて話すだけで、相手は驚くほど納得する。 ツボを得た、深いディスカッションができるようになるのだ。 問題と課題が明確になれば、自ずと打ち手の精度も上がっていく。
もし、自分の頭の中で整理がつかなくなったら、最近ならAIを良き相談相手にするのもいい。 「この問題、課題、打ち手を整理して」と壁打ちしてみる。 それだけで、驚くほど視界がクリアになるはずだ。
大切なのは、形式に溺れず、目の前の「実態」を正しく診察すること。
今日、あなたが取り組もうとしているその仕事。
それは「問題」だろうか、「課題」だろうか、それとも「打ち手」だろうか。
一歩立ち止まって、切り分けてみる。
それだけで、明日からの歩みが少し軽くなるかもしれない。
日々、アップデート。
自分の歩幅で、進んでいこう。