はじめに...
HubSpot×LINEで既存顧客とのコミュニケーションチャネル不足を改善、自社ECサイトでのアップセル促進により売り上げ430%増
既存の販売チャネルでは売り上げが頭打ち、新規チャネル創出を目指す
今回は住宅設備機器メーカーのカスタマーサクセス領域での成功事例をご紹介します。
クリエイティブホープは同メーカー約5年前から同社に対してさまざまなご支援を行ってまいりました。今回は、「既存の販売チャネルの売り上げが頭打ちである」とのご相談に際し、新しい売り上げ創出チャネルを作るために取り組んだデジタルマーケティング施策についてご紹介します。
課題:実際に製品を使う顧客との接点がなく、アップセルを促しにくい
2018年から2020年にかけて、こちらのメーカー様の売上高を見ると横ばいであり、既存の販売方法では限界があることが分かっていました。
これまでの同社の主な顧客はハウスメーカーや工務店で、BtoBtoCモデルとなっています。
実際にキッチンを使う消費者との接点はあまりなく、ハウスメーカーなどが同社製品をおすすめしない限りは、消費者に選ばれることはありません。また、消費者との接点がないということは、アップセルを促す機会もありませんでした。
そこで着目したのがLTV(Life Time Value/顧客生涯価値)です。すでにこちらのメーカー様の製品を使っている一般消費者や、市場にいるまだ使っていない消費者と、デジタルマーケティングで直接的なコミュニケーションをとり、この部分での売り上げを伸ばすことに狙いを定めました。BtoCビジネスへの変化と推進とも言えます。
解決策:顧客と直接コミュニケーションがとれるコミュニケーションフローを作り、LTVの向上をねらう
まず、「既存顧客の売り上げを創出する」というねらいのもと、KPIツリーを活用しました。
「どの変数が影響しているのか」「どの施策がどのような変化をもたらすのか」「ボトルネックはどこにあり、改善のために必要なアクションは何か」など、課題と解決策を細かく分解しました。
こちらのメーカー様の場合、アクティブ会員数、つまり施策に反応するユーザーの数が少なく、その反応率も低かったので、この改善に焦点を絞ることにしました。そして、問題に即して三つの施策を実施しました。
施策1:顧客のメールアドレスやLINE IDの取得推進
KPIツリーを分析する中で分かったことの一つが、これまで顧客のメールアドレスあまり取得できていなかったということでした。
こちらのメーカー様では基本的にショールームでの商談が常だったことがあり、顧客のメールアドレスなどの取得は重要視されていませんでした。
そこで、まず、同社のLINE公式アカウントを立ち上げ、メールマガジンなどで会員のためのさまざまな販促を打ち出すとともに、さまざまなチャネルを通じて会員登録のメリットを訴求し、メールアドレスやLINE IDの登録を促しました。
商品受注後や購入後だけでなく、顧客がショールームを訪れた際、あるいは資料請求の段階で、さらにウェブサイトでのお役立ち情報発信時などでも、顧客のメールアドレスやLINE IDを登録してもらえるような施策を実施しました。
例えば、製品を検討している方に向けた「診断コンテンツ」は、ユーザーが診断結果を得るためにメールアドレスを登録するフローになっています。この診断にはHubSpotを使用しており、CRMと連動もしています。
こういった取り組みの結果、2年間でメールアドレスの取得数は約500%伸びました。
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施策2 オウンドメディアの構築
このメーカー様はこれまでも、商談創出などに向けた販促用のwebサイトはたくさん作られていました。しかしながら、既存顧客のロイヤルティ向上に向けたWebサイトやページはなく、会員誌での情報提供が主となっていました。
そこで、既存顧客のためのお役立ち情報など、顧客のロイヤル化を目的にした既存顧客集客施策の受け皿としてのオウンドメディアを新たに作成しました。このメディアは製品を使う人のための様々な情報を掲載しており、メールマガジンやLINEでは顧客を同サイトへ誘導しています。
施策3 ステップメール・ステップLINEメッセージの配信
コミュニケーションがとれる連絡先(メールアドレス、LINE ID)を取得でき、情報提供の受け皿であるオウンドメディアが構築できた後、実際のCRM施策の実行を行いました。
これまでもメルマガを配信していましたが、ハウスリストに対する一斉配信でした。そのため、それぞれの顧客ニーズに即していたとはいえず、開封率やクリック率も10%ぐらいで頭打ちとなっていました。
必要としていない情報が必要としていないタイミングで届けられても、開封せずにスルーされてしまう状況は、すぐにイメージできると思います。
一方で、ちょうど欲しいと思っていた情報が届けられれば、顧客は「なんだろう?」と反応するでしょう。
そこで、HubSpotと当社独自サービスBeeelineを使って、顧客の欲しいタイミングで欲しい情報が届けられる仕組みを構築しました。
マイページも併せて構築し、メールとLINE、または両方で情報を受け取りたいというユーザーからの意思表示に合わせて情報の受け取り方を選べるようにもしています。
現在、九つのシナリオから200種類のLINEメッセージと100種類のメールが、高い精度で該当ユーザーに送られています。
そのシナリオ分岐についても、購入した製品だけでなく、ショールームでのアンケート記入内容やWeb上での行動アクティビティーデータなども踏まえ、様々な情報を基に条件付けをしています。
配信されているLINEメッセージはオウンドメディアやECサイトへの導線も設けられており、誘導力が強化されています。
このようにして、顧客が欲しい情報を欲しいタイミングで出せるコミュニケーションフローが構築し、情報に反応してくれる会員を増やし、ECサイトに誘導することでECの売り上げ増加が達成できています。
成果:施策にアクティブな会員数は215%増、売り上げは430%増を達成
これらの施策によって、まず、アクティブ会員、つまりメールアドレスをこちらのメーカー様に登録することで施策に反応してもらえる会員数が、2年間で215%増加しました。そしてメルマガやLINE施策への反応率も改善し、自社の製品を購入する既存顧客が増え、結果的に2020年から2022年の2年間で既存顧客からの自社ECの売り上げは430%伸びています。
まず売り上げの横ばいというビジネス課題があり、そこで既存顧客からの売り上げ増加に着目、LTVを向上させるデジタルマーケティングを実施してきました。具体的には、(1)取り組みの土台となるメールアドレスやLINE IDをさまざまな方法で顧客から取得、(2)ユーザーの欲しい情報を欲しいタイミングで提供するための受け皿としてウェブサイトを整える、(3)このサイトに誘導するためのメールやLINEを、HubSpotおよび当社オリジナルのBeeelineを使って、高い精度で顧客のニーズに即して送るを行いました。
これらの取り組みに成果があったことで、全社横断型のデジタルマーケティング推進部署が作られ、社を上げて施策を推進していくという流れも生まれています。
既存の顧客との直接的なコミュニケーションの中でアップセルを促し、そこで売り上げに対するインパクトを与えていく取り組みは、現在進行形で行われています。
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クリエイティブホープは多くの企業様のHubSpotの活用を支援してきました。LINEとの連携や運用代行、アドバイザリーなどの他、ビジネスやマーケティング戦略面の観点からHubSpotでどう目標達成するのか?の支援まで行っています。
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