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Dropboxが実現した驚異の成長:リファラルプログラムの秘訣

清水大輔

クラウドストレージサービスのDropboxは、2007年の創業以来、革新的なリファラルプログラムによって驚異的な成長を遂げました。2008年9月から2010年末までのわずか27ヶ月で、ユーザー数が10万人から400万人へと3900%増加したのです。

この急成長の背景には、当時激しい競争下にあったクラウドストレージ市場で、Dropboxが採用したのは高額な広告費を投じる代わりに、リファラルマーケティングを採用しました。

このアプローチは、費用をあまりかけることなく、かつ信頼性のある口コミを通じてユーザーベースを拡大する効果的な手段となりました。

本記事では、このDropboxのリファラルプログラムの仕組み、特徴、そして驚くべき成果について詳しく見ていきます。

 

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1. Dropboxのリファラルプログラムとは?

Dropboxのリファラルプログラムは、「Get more space」(より多くの容量を獲得しよう)というシンプルな呼びかけで知られています。このプログラムの核心は、既存ユーザーが新規ユーザーを紹介すると、両者に追加のストレージ容量を提供するという仕組みです。

 紹介者:1件の成功紹介につき500MBの追加容量を獲得
お友達:紹介経由での登録で500MBの追加容量を獲得

このアプローチは、PayPalの紹介プログラムからヒントを得たものでした。PayPalが現金報酬を提供したのに対し、Dropboxは自社サービスの核心である追加ストレージ容量を報酬として選択しました。

これにより、ユーザーにとって直接的な価値を提供しつつ、Dropbox自体の追加コストを最小限に抑えることに成功したのです。さらに、この報酬システムは、ユーザーにDropboxの価値をより深く理解させ、長期的な利用を促進する効果もありました。

 

2. プログラムの成功要因

Dropboxのリファラルプログラムの成功は、以下のような重要な要因によって支えられていました

1.  具体的で価値ある紹介報酬

追加ストレージ容量を報酬として提供しました。基本プランで最大16GB(32件の紹介)、Plusプランで最大32GB(64件の紹介)の追加容量を獲得可能としました。この報酬は、ユーザーにとって直接的かつ明確な価値を持ち、紹介へのモチベーションを高めました。

 

2.  明確な利点の説明

「友達を招待する」ではなく「最大16GBの追加容量を獲得」というフレーズを使用し、具体的な数字で利点を示しました。

 

3.  多様な招待方法

  • メール招待:プリセットされたメッセージで簡単に送信可能
  • 固有のリファラルリンク:任意の場所で共有可能
  • アドレス帳連携:Gmail、Yahoo!などのメールサービスと連携し、一括招待が可能

これらの多様な方法により、ユーザーは自分に最も適した方法で友人を招待することができ、紹介の障壁を大きく下げることができました。

 

4.  詳細な紹介状況の確認機能

ダッシュボードで以下の情報をリアルタイムで確認可能:

  • 成功した紹介件数
  • 獲得した追加容量の合計
  • 各紹介の状態(招待送信済み、メール開封済み、登録完了など)

この機能により、ユーザーは自身の紹介活動の成果を常に把握でき、さらなる紹介へのモチベーションを維持することができました。

 

5.  戦略的なメール活用

紹介成功時に送信されるメールには以下の要素を含めました:

  • 獲得した追加容量の明示(例:「500MBの追加容量を獲得しました!」)
  • さらなる紹介を促す文言(例:「さらに容量を増やすには、もっと友達を招待しましょう」)
  • 紹介ページへの直接リンク

これらの要素により、ユーザーは紹介の成果を実感しつつ、継続的な紹介活動へと導かれました。

 

3. プログラムの成果

Dropboxのリファラルプログラムは、以下のような具体的かつ驚異的な成果を上げました:

  • 2008年9月:10万人の登録ユーザー

  • 2009年9月:220万人の登録ユーザー(22倍の成長)

  • 2010年4月:単月で280万件の招待が送信される

  • 2010年末:400万人の登録ユーザー(27ヶ月で40倍の成長)

  • 2017年9月:3390万人の登録ユーザー、100億ドルの評価額、10億ドルの収益

  • 2020年:7億人の登録ユーザー(うち1548万人が有料ユーザー)

特に注目すべきは、2010年4月の単月で280万件もの招待が送信されたという事実です。これは、プログラムが「雪だるま式に急速に広がる状態」に達したことを示しています。

また、2020年時点で7億人もの登録ユーザーを抱え、そのうち1548万人が有料ユーザーとなっているという事実は、このプログラムが長期的な事業成功にも大きく貢献したことを示しています。

 

4. Dropboxのリファラルプログラムにおける改善の余地

Dropboxのリファラルプログラムは大きな成功を収めましたが、以下のような改善の余地も考えられます:

長期的な利用促進と報酬の多様化

紹介による追加容量の上限(16GBまたは32GB)に達した後も、ユーザーのモチベーションを維持し、さらなる紹介を促すための新たな報酬システムが必要でした。これには以下のような方法が考えられます

  • 段階的な報酬システム:紹介数に応じて、ストレージ容量以外の特典を提供する。
    • 高度なセキュリティ機能の一時利用権
    • プレミアム機能へのアクセス権
    • 優先サポートの提供
  • 報酬の選択制:ユーザーの利用パターンやニーズに応じて、複数の報酬オプションから選択できるようにする。
    • 追加のストレージ容量
    • プレミアム機能の利用権
    • クラウドバックアップの拡張機能
  • 非金銭的な報酬の導入:コミュニティ内での特別な地位や称号の付与など、ユーザーの帰属意識を高める報酬を提供する。

 これらの方策により、上限に達したユーザーも含めて、より幅広いユーザーのニーズに対応し、継続的な紹介活動を促すことができる可能性があります。

 

企業向けプログラムの強化

個人ユーザー向けに非常に効果的でしたが、企業ユーザー向けの特化したリファラルプログラムが不足していました。

企業のニーズに合わせた報酬体系(例:チーム全体でのストレージ容量増加、高度なセキュリティ機能の無料提供など)を設計することで、B2B市場でのさらなる成長を促進できる可能性がありました。

 

5. まとめ

Dropboxのリファラルプログラムは、ユーザーの本質的なニーズ(ストレージ容量)に応える報酬、シンプルな参加方法、そして明確な進捗可視化を組み合わせることで、驚異的な成長を実現しました。この成功は、効果的なリファラルプログラムが持つ潜在的な力を示しています。

適切に設計されたリファラルプログラムが、コスト効率の高いユーザー獲得手段であるだけでなく、ブランドの信頼性を高め、長期的な顧客関係を構築する強力なツールとなり得ることを証明したのではないでしょうか。

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