2020.05.25
【アンケート調査】何かを紹介するとき・されるときの「本音」とは
何かを紹介するとき・されるとき、人は何を考えるのか
知人や家族に何かを紹介する・されるシーンは日常生活でも頻繁に経験するでしょう。また身近な人からの「紹介」は、時には人の気持ちや購買意欲を動かす大きなパワーになるものです。
この「紹介」をマーケティングに生かす動向は近年のトレンド。「口コミマーケティング」「リファラルマーケティング」「バズマーケティング」などの言葉は、一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。
しかし残念ながら、「紹介」が起こるときに当事者が「どういう心理なのか」調査した例はあまり多くありません。
この記事では「紹介」の実態を解明するため「何かを紹介するとき・されるとき」の心理状態について行ったアンケート調査結果をご紹介します(取材協力:ミルトーク )。
この記事でわかること
1. 何かを「紹介されるとき」の心理とは
1.1「ポジティブ」か「ネガティブ」か?
今回は、友達や家族から商品やサービスを「紹介されたとき」の気持ちについて自由回答形式で聞いてみました。
内容を大まかに「ポジティブなのか」「ネガティブなのか」で分けると、次のような結果になりました。
ちなみに上のグラフでは、以下のように区分しています。
・「うれしい」:ポジティブ |
グラフを見ると、ポジティブであれネガティブであれ、何かを紹介されて嬉しいかどうかに「具体的な条件」をつけている人が約半数でした。
では、実際にどのような声があったのかいくつかピックアップしてみましょう。
1.2 実際の声 (ポジティブな意見)
「友人の紹介なら間違い無いので、素直に嬉しい。」(50代女性) 「自分が使ってみて良かったものを教えてくれたり、普段の私のこだわりや悩みをよく知っている人から「こんなのあるよ」というようなこちらの事を考えてくれた上でのオススメは嬉しいです。」(50代女性) |
ポジティブな意見は全体の約3割。「ありがたい」「友人や家族の紹介なら素直に嬉しい」という声も聞かれましたが、ポジティブな意見でも「サービスの内容による」「こちらの事を考えた上で」など、何らかの条件付きである場合も見られます。
1.3 実際の声 (ポジティブ・ネガティブ混合)
「興味があるものなら嬉しいけど、興味がないものだったらちょっとウザいと思う」(30代女性) 「自分が興味ある事柄ならいいけど興味がなかったり、宗教っぽいものはうんざりするしめんどくさい」(20代女性) 「知らないことを教えてもらえるのはうれしい。でもお金がかかったり誰でも出来ることじゃないことを勧められると、負担に感じるし、配慮のなさに嫌気がさす」(30代女性) |
紹介されたものへの興味に加えて、「宗教じみているとき」「配慮がないとき」など相手の接し方に関する意見も見られます。
1.4 実際の声 (ネガティブな意見)
「興味のないものをのらりくらりかわすのがあまり得意でないので対応に困る。」(30代女性) 「強く勧められると非常に面倒に思う。」(50代男性) 「相手の利益が目的のときは少し警戒するようになった。」(50代女性) |
ネガティブな意見では「めんどくさい」「ウザい」などが見られた一方、過去の経験から「利益目的」「強く勧められる」ことに抵抗を示す声もあるようです。
2. 紹介「するとき」「されるとき」の違い
2.1 紹介されることが「ポジティブ/ネガティブ」になる条件
以上のように、いろんな理由で「紹介されること」にポジティブだったりネガティブだったりする皆さんですが、
実際に紹介されることがポジティブ/ネガティブになる条件の数的な内訳はどうなっているのでしょうか?
まず「ポジティブ」になる条件の内訳として、「条件付ポジティブ」「ポジネガ」の回答者について見てみましょう。
結果は以下の通りでした。
グラフの通り、「興味がある」「内容が好き」が大半であることがわかります。
次に「ネガティブ」になる条件の内訳として、「ポジネガ」「条件付ネガティブ」の回答者について見てみましょう。
こちらも「興味がない」が圧倒的に多い数字となっています。
これらの結果を見る限り、紹介される時にポジティブ/ネガティブな感情を抱く理由の多くは「紹介された商品・サービスの内容」にだと言えそうです。
2.2 当たり前の結果、ではありません!
ここまでの結果を受けてわかることは、「紹介されるとき」は、紹介されるものの「内容」が一番大事ということ。
一見当たり前のようですが、実は一概にそうとも言えません。
実はこの結果、「紹介するとき」の心理状態と比べると少しギャップがあるのです。
2.3 比較:商品・サービスを「紹介するとき」心配になることは?
ここで比較のために、さらに行ったアンケートの結果を見てみましょう。
質問内容は「友達や家族に商品やサービスを紹介するとき、心配になることは何ですか?」というものです。
結果は以下のグラフのようになりました。
一見すると、こちらも「興味を持ってもらえるか・気に入ってもらえるか」という「内容面」が一番に来ています。
しかし、それ以上に注目なのはグラフの赤丸で示した回答内容。
実に全体の5割が、他の「相手が嫌な気持ちにならないか」「押し付けていないか」など、相手とのコミュニケーションや関係性=商品の内容以外の面に注目した回答をしているのです。
この結果は、「紹介される」側が紹介するものの「内容面」をとりわけ重視していたのとは対照的なものです。
2.4「紹介するとき」と「紹介されるとき」の心理にはギャップがある
これまでの結果と併せて考えると、一連のアンケート結果からは次のようなことがわかります。
・「紹介されるとき」は、紹介される商品・サービスの中身=「内容面」が気になる ・「紹介するとき」は、相手とのコミュニケーション=「内容以外の面」が気になる |
言い換えると、紹介される側は「良いものなら紹介してほしい」のに対し、紹介する側は「良いものだからといって紹介するとは限らない」ということです。
3. 紹介する側とされる側の「ギャップ」を埋めるには?
以上のようなアンケートを見れば、商品の品質だけを磨けば紹介が起こる・・・とは必ずしも言えなさそうです。
そんな顧客心理に対して、「紹介」をぜひ起こしたいマーケターや担当者はいったい何ができるでしょうか?
ポイントになるのは3つ、紹介するお客様が「堂々と」かつ「気軽に」紹介できること、そして「紹介したい」と思わせるキャンペーンを行うことです。
3.1 商品・サービスのブランディングを徹底する
商品の顧客になるかどうかには、品質・利便性・価格など様々な要因があります。一方で、商品の「ファン」になるかどうかを決める大きな要因は「ブランド」など心情に関わるものでしょう。
品質や性能、価格といった理性的な要因だけでは、他社との競合によって追い越され、結果的にお客様が他社商品に流れてしまう危険性があります。これに対し、「この商品が一番」というオンリーワンの立ち位置を持てれば、お客様が定着しLTVが向上するだけでなく、あなたの商品・サービス(を使っていること)を周囲に共有したいという気持ちがより生まれやすくなります。
ブランディングは奥深く、一朝一夕でできるわけではありません。しかし、多様なサービスが溢れるこれからのビジネスでブランディングに真剣に取り組むことは、ほとんど必須の課題でもあります。
3.2 LINEなどのSNSアカウントやシェアボタンを用意する
多くの人の手元にスマートフォンがあるのが当たり前になった今、手軽に情報をやり取りできるSNSツールを利用すれば、より手軽に「紹介」を起こすチャンスをお客様に提供できます。
理想的なのは、LINEなどでSNSアカウントを有効活用し、お客様とコンタクトを取ることでしょう。
例えばクーポンや最新情報を発行すればあなたの商品・サービスの存在を常に思い出してもらえます。またSNSアカウントでお客様からコメントを受け付ければ、サービス向上に加え、お客様や見込み顧客からの親近感を高める効果も狙えます。
アカウントを運用する時間がない方も、WebサイトにLINEなどSNSシェアのボタンを設置しておくことは手軽な方法です。「良い」と思った人がその場であなたのページをシェアすることができ、「紹介」あるいは口コミが起こりやすくなるからです。
LINEやSNSを活用した集客の方法については、現在記事を企画しております。更新を楽しみにお待ちください。
3.3 紹介促進のためにキャンペーンを実施する
とはいえ、以上2点の施策を行ったとしても、紹介がコンバージョンに繋がるかは別問題。紹介から成果を得るためには、効果的なキャンペーンを活用することで、「紹介」を次の購入へとつなげる必要があります。
キャンペーンとして口コミ投稿を誘ったり新規顧客用にクーポンを発行することもできますが、有効な手法としては、例えば「紹介キャンペーン(リファラルキャンペーン)」と呼ばれる方法が挙げられます。
紹介キャンペーンは、知人や友人を紹介してくれたお客様に特典などをプレゼントして「紹介」を促進するキャンペーンです。
特典は一般に、紹介する側とされる側の両方に与えられる場合が多いです。これによって「紹介する」側と「紹介されて利用する」側との両方に同時に働きかけができ、キャンペーン手法としてのコストパフォーマンスも良好です。
また紹介キャンペーンでは、知り合い同士など「人対人」に紹介が行われますので、コンバージョン率もその後の顧客定着率も高い傾向にあります。効果的にキャンペーンを行えば、質の高いお客様を獲得することにつながるでしょう。
4. まとめ:紹介を起こすには顧客心理を理解した仕掛けとアクションを
この記事の要点は大きく2つです。
・紹介する側とされる側の心理にはギャップがあります。紹介を促すには「紹介する側」の心理的負荷を減らすことが必要です ・紹介への心理的負荷を減らすには、ブランディングに加え、SNS利用やキャンペーンでお客様の行動を促すことも必要です |
紹介をビジネスに活用するためには戦略が必須です。そしてその戦略は、いかにお客様の「紹介」に向けたハードルを低くしていくかに向けられなくてはなりません。ターゲットとなるお客様の「本音」に寄り添いつつ、実際の行動を促すことでこそ、「紹介」をうまく活用して成果を上げることができるのです。
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