2024.04.17 紹介キャンペーン事例 アンバサダーマーケティング
ワークマンのアンバサダーマーケティングはなぜ成功しているのかを徹底解説
アンバサダーマーケティングで成功しているワークマン
アンバサダーマーケティングが気になりながらも、実際に自社で取り入れたら成功するのか不安を感じている企業も多いでしょう。
上手に取り入れて、成功している企業も多数あります。中でもワークマンは、報酬を渡さず独自のアンバサダーマーケティングを行い、成功を収めているのです。一体どのようにしてアンバサダーマーケティングを取り入れているのか、こちらで詳しく解説していきます。
1.アンバサダーマーケティングとは
顧客を見渡してみると、特に自社の商品が好きで、個人で自由に積極的なSNS投稿や口コミをしてくれている方はいないでしょうか。そのような熱烈なファンと一緒に、自社の商品を発信していくマーケティングをアンバサダーマーケティングと呼んでいます。
今まで知らなかった商品を急に紹介してほしいと言われてするのではなく、自発的に好きで行っています。もともと大好きだからこそ、アンバサダーに頼めば深く濃い内容の発信を行ってくれるのです。
消費者の中にはヤラセのような宣伝には、敏感に嫌悪感を示す人もいます。しかし、アンバサダーは好きな商品を自分の目線でPRしてくれるため、ヤラセ感もなく消費者の心にもフィットしやすいのが特徴です。
さらに、好きだからこそ、お願いした後の活動では積極的で熱心にアピールしてくれます。アンバサダーは、ファンの間での口コミやレビューの拡散も行ってくれます。その結果、よりブランドへのロイヤルティが増し、熱心なファンも増えていきやすい手法です。
もっと詳しくアンバサダーマーケティングについて知りたい方は下記からどうぞ。
アンバサダーマーケティングとは?成功事例から学ぶ成功ポイントとメリット・デメリット詳しく見る>>
2.なぜアンバサダーマーケティングに取り組んでいるのか
売上を上げるためにはさまざまな手法がありますが、ワークマンはアンバサダーマーケティングに力を入れています。ここからは、なぜワークマンがアンバサダーマーケティングに取り組もうと思ったのかに焦点を当てて紹介していきます。
2-1.客層拡大
株式会社ワークマンの専務取締役である土屋哲雄氏は、戦略目標は客層拡大の一つでしかないと言っているほど、この一点を大切にしています。
売上を上げるためにはある1ヶ所の客層だけを狙うよりも、さまざま視野を広げて拡大したほうがより多くの人に購入してもらえます。その分売上も増えていくのです。
アンバサダーマーケティングに関しても、客層拡大の戦略目標を達成するための一つにしか過ぎないと語っています。
もともとワークマンといえば土方系の作業員がメインでしたが、今は一般の女性客も売上に貢献しています。たとえば、有名なイージスシリーズはもともと過酷な気象条件で作業をする方向けで作成しましたが、今ではライダーに愛用されているブランドになっており、女性ライダーが購入しているのです。また、男性の作業員だけでなく女性も気軽に店舗に入りやすいように、ワークマン女子という女性用アウトドアウェアを充実させた店舗づくりを行っています。
アンバサダーマーケティングでは、ワーク業界アドバイザーの山下さんと共同開発したプロコアシリーズが良い例です。業界のことを知り尽くしている方がアンバサダーとなることで、客層拡大を狙っています。
このように、アンバサダーマーケティングは、ワークマンの客層拡大に大きく貢献しているのです。
2-2.広告宣伝費の削減
株式会社ワークマンが登壇した2021年6月2日に開催されたセミナーでも「目指すは広告費0円」と発言しています。通常であればアンバサダーをお願いするために報酬を支払うことが多いですが、ワークマンではあえて現金での報酬はゼロにしています。
単純に広告宣伝費をカットできれば、お客様に提供する品物にお金をかけられて安く提供も可能です。広告費がかかってしまうと、商品の代金にも広告費を上乗せしないと赤字になります。すると、必然的に商品の価格も上がり、「ワークマンは高くなった」というイメージを与えかねません。
そこでワークマンでは、アンバサダーに対して現金では報酬を支払わない代わりに、別の待遇を設けています。
別の待遇とは「どこよりも早い情報解禁」です。CMでは宣伝せずにあえてアンバサダーに行ってもらうことにより、誰よりも情報を早く発信してもらっています。他にも、アンバサダーの宣伝を店舗の中のpopなどで行い、認知度を上げています。
さらにフォロワー数を上げて影響力のあるインフルエンサーになるように手助けし、SNS内の広告収入で稼げるようにサポートもしています。
3.アンバサダーの選定方法
ワークマンでは、誰でもアンバサダーになれるわけではありません。しっかりと自社の商品を発信してくれる人かどうか、選定には時間をかけています。
3-1.ワークマン製品に熱心なファン
まず、ワークマンの製品が大好きでよく愛用している、熱心だという面は重視されています。なんとなくワークマンの製品を買ってみたような人ではなく、強烈なファンであることが重要です。
アンバサダーは、その企業の代表的な存在になるといっても過言ではありません。そのため、ワークマンではファン度の熱量をしっかりと見ています。
もし報酬目的だと、適当な謳い文句や言葉で宣伝することで、ブランドの毀損となるかもしれません。
報酬が貰えるからアンバサダーをする人ではなく、「良いものを使ってほしい」という熱心かつブランドへの愛着度を持つ人を選んでいます。実際にSNSでDMをしたり、ワークマンプラスの新店ができた時、足を運び熱心な顧客を待ち伏せして探したりなどして、本当にワークマンを熱心に好きなファンを選んでいます。
3-2.人となりの良さ
熱心にワークマンが好きでも、簡単にアンバサダーへは任命しません。どんな人柄かも見ていかないと、長期的に良好な付き合いをするのは難しいとワークマンでは考えているからです。
そのため、何でワークマンの製品が好きなのか、どんな風に使っているのかなど、あらゆる質問をしながら受け応えを見ながら人となりをチェックしています。どんな人か探ったうえで、「この人なら安心だ」と思える人にだけアンバサダーの正式任命を行っているのです。
数日でオファーすることはなく、しっかりと人となりをチェックするため、任命に2~3ヶ月かけて行っています。任命した後も製品に対する勉強会やイベントにも呼ぶ、製品を開発した責任者とコミュニケーションを取るなどの工夫をしています。そのため、実際アンバサダーの発言から、炎上する事態もないそうです。
3-3.何かの分野に優れている
漠然とワークマンが好きなだけでなく、何かの分野に優れている人にアンバサダーとして積極的に活躍してもらっています。注力しているキャンプやバイクなどシーンに応じて、そのジャンルの発信をしている専門の方にお願いしているのです。
顧客にワークマンの製品の良さが伝わりやすいように、実際猟師の方と狩猟・釣り・キャンプで動きやすいように「ミキシングレインパーカー」を開発したり、バイクジャーナリストの方と「バイクウェア」を共同開発したりなど、その分野の専門家をアンバサダーに任命し、顧客のために尽力している例もあります。
4.なぜアンバサダーへの報酬は無償なのか
企業によってはある程度予算をかけて、アンバサダーを募る際に報酬を渡している場合もあります。また、クーポンや割引券などを配って、少しでも安く商品を購入してもらえるように工夫しているケースもあるでしょう。
しかし、ワークマンでは現金での報酬がありません。なぜワークマンではアンバサダーへ現金などでの報酬を渡していないのか、こちらで理由を紹介していきます。
4-1.SNSによる広告収入
既存のワークマンのアンバサダーに選ばれている人たちは、もともとブログやYouTube、SNSを利用している方が多く、その中でワークマンの製品について紹介しています。そのため、再生回数やpageviewを増やすために、読み取るとその人たちの運営しているブログやYouTube動画を見られる店内popを用意し、より多くの人に見てもらえるようにしています。もっとワークマンの商品について詳しく知りたい、新しい情報が知りたいと思った人が店内のpopなどからチャンネル登録やフォロワーとなりチェックしてくれるのです。
たとえば、YouTubeではチャンネル登録数と再生回数などで報酬が決まってきますので、どちらも数が増えれば広告収入が上がります。直接ワークマンからは報酬が発生しませんが、YouTubeを中心としたSNSから報酬を得られるようになります。
ワークマンから直接報酬を貰わないということで、ヤラセ感がなくなりやすいのも特徴です。お金がかかっているから宣伝するとなると、変に意識をしてしまう可能性もあります。報酬が高い時は頑張って安い時には熱心さが失われる可能性もあるため、直接的な報酬のやりとりはしません。
4-2.製品情報の優先提供
商品を紹介したいと思った時に、ワークマンの企業からテレビなどのCMで伝えるのではなく、アンバサダーに優先して紹介してもらうようにしています。優先提供を行うことで、ブログやYouTubeの視聴回数が増えるようにしています。
新商品が出て消費者が気になった時、情報はアンバサダーのYouTubeなどのSNSでしかチェックできないため、必然的に見られるようになるのです。人によっては、商品について詳しく知りたいと何回も同じ動画をチェックしてくれるような場合も考えられます。商品について情報をアンバサダーにお願いしていて公式よりも早く紹介してくれていると印象付け、収益化にも貢献しているのです。
わかりやすく消費者目線で話がされていれば、購入しようと考えている人の共感も得られます。
4-3.共同で製品開発
ワークマンの中で話し合い商品化していくのではなく、アンバサダーの意見も大いに取り入れながら商品の開発を共同で行っています。何かの専門家が多いので、3-3でも述べたように多くの専門家のアンバサダーの方々とともに顧客が本当に求める商品を開発しているのです。
ワークマンの人材の中で、これから開発を考えている専門分野をあまり知らない人だけで開発してしまうと、細かい点まで目が行き届かず、機能が充実しない商品にしかなりません。専門家も一緒に開発を行うことで、より消費者目線で細かい部分にも手が加えられた商品が仕上がります。それは、実際に利用する消費者にとっても良いことであり、ワークマン全体としての売上にもつながるのです。
共同で開発することで、アンバサダーの名前の認知度を高め、さらにフォロワーやブログや動画を見てもらう回数を増やす相乗効果もあります。
5.ワークマンのアンバサダーマーケティング事例
ここからは、実際にアンバサダーとして活躍している方を紹介していきます。ワークマンでは、さまざまな専門分野を持った魅力的なアンバサダーが活躍しています。
5-1.【ブロガー】サリーさん
サリーさんは、毎週キャンプに行くほどのキャンプ好きな方です。焚火でワークマンの綿かぶりヤッケを着ていた写真をきっかけに、アンバサダーとして活躍しています。
職人だけでなく、さまざまな人が着やすいように、共同開発で綿かぶりヤッケを作り成功しました。
5-2.【ブロガー】米田昌平さん
バイクが好きでワークマンの目に留まり、アンバサダーとして活躍しています。「ライダー」という専門分野があることに加え、ワークマン製品が好きということもあり、アンバサダーとなりました。要望をTwitterで募集し、さまざまな方からの意見を開発者に伝えるなどして活躍しています。
職人だけでなくバイク好きな方の中でもワークマンの商品は人気が高いです。
5-3.【Youtuber】コスケさん
引用元:youtube「コスケの北海道でドライブを楽しむチャンネル」
ドライブや車中泊が大好きな方で、ワークマンのアンバサダーとして活躍しています。YouTubeの中でわかりやすく、ワークマン製品の良さを紹介しています。
「ワークマンのダウン寝袋!1200フュージョンダウン+シュラフを外気温7℃の車中泊でテスト」や「ワークマン2022年秋冬展示会を見に東京へ!まさかのモデリスタ車中泊仕様のハイエースや超進化したイージス」など、魅力的な動画が多数ありファンから人気です。
6.まとめ:工夫を凝らしたワークマンのアンバサダーマーケティング
ワークマンがアンバサダーマーケティングで成功している理由の中でも、報酬だけのつながりではない部分が大きいです。純粋にワークマンの製品が好きで愛用し、何か専門分野を持っていて消費者から受け入れられやすいのもポイントです。本当に好きで消費者目線で考えてくれている商品だからこそ、売上もアップします。
直接的に報酬を渡さない代わりに、SNSなどの報酬制度へ貢献できる手伝いをしているのも学びたいところです。アンバサダーを選ぶ時にしっかりと人となりを見てじっくり検討している点も、成功の秘訣と言えるでしょう。
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トピック: 紹介キャンペーン事例, アンバサダーマーケティング
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