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金融・保険業界のリファラルマーケティング事例|検討すべきポイントとキャンペーンメリット

様々な業界で活発に用いられ始めているリファラルマーケティング。
これまでクライアント様の相談に乗らせていただいてきた知見から、今回は金融・保険業界のリファラル施策の注意点と成功事例について解説します。


金融・保険業界の「お友達紹介」は一般的。だからこそ注意すべきポイント

金融系サービスでの「お友達紹介キャンペーン」は様々な分野で一般的であり、自社や競合他社でも一度は実施したことがあるかもしれません。しかし一般的だからといって、「とりあえず実施すればいい」わけではありません。

単なるお得訴求になりがち

金融系のサービスですと、例えば化粧品や食品などオリジナリティの強い商品・サービスに比べ、他社との差別化が「ポイント還元率」等お得訴求になりがちです。
紹介キャンペーン成功のキーとなるのは「顧客体験」ですが、この「顧客体験」のみで目立った差別化を図ることは、金融系サービスですとなかなか難しいでしょう。だからこそ、顧客が紹介行動を起こす「動機づけ」がないキャンペーンだと、成果も伸び悩んで終わってしまいます

ターゲットが分散しがち

金融系サービスの中でも、「学生向け」「主婦向け」などターゲティングがはっきりしているものは良いのですが、「口座開設」「通帳アプリダウンロード」など誰にでも適用される商品・サービスだと、かえって注意が必要です。
間口が広い方が成果が上がりやすいのでは?と思われるかもしれませんが、「誰でもいい」とうことは「具体的な紹介相手のイメージがわきにくい」、ということでもあります。その結果、母数の割に期待したほど顧客行動が起こらないケースもあります。

 

保険業界での特典NGの判断

保険業者様では、お客様に金券を渡すことが法律的に禁じられています。その前提で特典をどういったものにするか各社様の判断はまちまちです。まず、保険会社様および保険代理店様が気にされる第一条件として、資金決済法における「前払い式支払い手段」への該当有無かどうかで判断されることが多くなっています。該当例として、Amazonギフト券などになります。

次に選定基準になるのが用途(=引き換えできるもの・使い先)が絞られるかどうかという観点です。

特典の例としては、特定の商品と交換できる=商品交換タイプ(例)コンビニコーヒー)や利用メニューの限られたカフェチェーンのチケットなどです。踏まえたうえでアイスクリームなどがお子様のことを考えて、利用される企業が多くなっています。

金融・保険業界におけるリファラル施策のメリット

家族や企業など「面」で顧客接点を増やせる

金融系サービスの場合、他業界に比べても特に家族間の紹介が発生しやすいです。
理由として、金融系商品・サービスはそもそもサービス自体での差別化が比較的難しい商材なので、サービス選択の動機自体が「身近な人が使っていて信頼できそう」になりやすいです。そのため多くの人にとって最も身近で、かつ紹介をしあうことに対して心理的抵抗の少ない「家族」が、リファラルの相手になるケースが特に多いのです。
つまり金融業界の紹介キャンペーンでは、「狭いコミュニティ内でのパイを確実にとりにいく」ことが可能になります。家族同士、企業内などの「面」をすべてカバーできるので、窓口での告知だけでは漏れてしまう層に対して確実に働きかけることができ、年代関係なく顧客を獲得しやすいこともポイントです。

現場の業務負担が比較的少ないキャンペーンにできる

リファラルは既存顧客が自社の営業さんや窓口の代わりに告知を行ってくれることが大きなメリットです。
特に紹介キャンペーンをデジタル上で告知し、顧客がデジタル上で参加できる仕組みを用意すれば、現場の工数をかけず本部だけでキャンペーンを完結させることができるので、特別な現場へのレクチャーや運用工数が発生する程度をかなり抑えられるでしょう。
在庫管理の工数も圧縮したいなら、キャッシュバックやポイント付与のほか、デジタルギフトなども活用し、特典の受け渡しまでデジタル上で完結させる仕組みをつくるのがおすすめです。

 

金融・保険業界におけるリファラルの成功ポイントと事例

アプローチする層を明確にする

自社の顧客のなかでも「紹介者」と「お友達」をどこに設定するかでキャンペーン設計は大きく変わります。

・どの層にアプローチすれば紹介が起きやすいか
・その層に新しくお客様にになってほしいか
・自社で新たに顧客になってくれそうなのはどの層か

上記の3点を考えながら、キャンペーンを通したアプローチ先を考えましょう。

例1:ロイヤル顧客へのアプローチ

img-01画像引用元:https://www.smbc-card.com/mem/addcard/vto.jsp

カード入会系の紹介キャンペーンでは、ロイヤルな顧客への特典を高くすることで、優良な顧客からの紹介を起こす施策がよく見られます。
例えば三井住友VISAカードの紹介キャンペーンでは、通常のカード会員に比べてプラチナカード会員が3倍以上の特典額となる10,000ポイントを獲得できます。このように顧客に応じたグレードを設けることは、上位カードへの切り替えや保持の動機づくりになり、顧客のロイヤル度向上につながります。

例2:家族間へのアプローチ

img-02画像引用元:https://www.resonabank.co.jp/kojin/hiraku/cam/2102_shokai.html

例えばりそな銀行アプリのキャンペーンでは、サービス全体として家族ぐるみでの銀行利用に狙いを定めています。
「紹介してくれた家族のステータスが高いと、紹介された家族のステータスも高くなる」という制度をもとに、紹介キャンペーンページでも「家族」「父から娘」を想定したイラストや訴求内容が中心に置かれています。
もともと家族同士での紹介が多い銀行様だからこその振り切った設計ではないでしょうか。

 

キャンペーンのコンバージョンポイントを適切に設計する

例3:窓口来店促進

紹介キャンペーンといっても、漫然と「金銭が発生するポイント」をコンバージョンポイントに置いてしまい、かえって費用対効果が期待できなくなってしまうケースがあります。
例えばもし金融商品の窓口来店後CVRがもともと7、8割レベルまで高いのであれば、コンバージョンポイントは「契約」ではなく「窓口相談」にするべきです。
もし特典目当てでの来店が多発した場合は別ですが、多くの場合紹介経由で来店した顧客の来店後CVRは通常より高くなる傾向にあります(例えば、7割超など)。
「いきなり契約しなければいけない」という心理的障壁をつくるよりは、まずは来店のタイミングでお礼を渡すなど工夫し、来店後の期待CVRをもとに費用対効果を算出しましょう。(たとえば伊予銀行「いよぎん ほけんの窓口」紹介キャンペーンは、窓口へのご来店の時点でアイスクリームのデジタルギフトをプレゼントしていらっしゃいます。)

例4:口座開設

img-03画像引用元:https://www.minna-no-ginko.com/campaign/permanent-program/referral/

同様に、口座開設さえしてもらえばこっちのもの!」というサービスであれば、「口座開設」というアクションのみでインセンティブを発生させるのも1つの方法です。みんなの銀行のお友だち紹介プログラムでは、なんと口座開設で確実に1,000円がもらえるという破格のキャンペーンにしていらっしゃいますが、これは「口座開設」まで進んだお客様の利用率が高くほぼ確実に利益が発生すること、月額600円で入会できるプレミアム制度への入会率が高いことが背景にあるのでは、と推測されます。
単なるバラマキにならないよう、費用対効果を考えながら「お客様にどのステップまで進んでほしいのか、どこまで進めば利益が見込めるか」をもとにキャンペーン設計をしましょう

 

自社の特色を生かす

例5:コミュニティがありそうな商品に特化する

img-04画像引用元:https://mgm.ipet-ins.com/fan/issue/index/

対象者が限られているサービスは、紹介キャンペーンではかえって狙い目です。
たとえばお子さん向け、動物と暮らしている人向け、自営業の人向け・・・など。
ポイントなのは、そのときに特典を「とりあえず金券」にするのではなく、ターゲットが喜びそうな特典にすることです。
アイペット損保の紹介キャンペーンでは、「うちの子」のオリジナルマグカップがもらえる!というかなり凝った特典を採用されていらっしゃいます。家族など身近な人以外にも紹介しやすく、かつお客様の喜ぶ素敵な特典ですね(マグカップなら、何個あっても困りませんし)。

 

まとめ: 金融業界のリファラル活用では目的とキャンペーン設計がポイント

紹介キャンペーンは多くの企業様が行っており、一般的に費用対効果も高いため「とりあえず導入すれば成果が出るのでは?」と期待してしまう企業様も多いかもしれません。
しかし、最大限に効果を発揮するには「目標設計」「ターゲット設計」の部分が非常に重要です。お客様がアクションしやすく、かつ貴社の利益につながるキャンペーンを今一度考えてみてはいかがでしょうか。

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