2023.06.08 紹介キャンペーン事例 ファンマーケティング
カゴメに学ぶ、低単価商品でも熱狂的なファンを育成する方法|ファンマーケティング事例を紹介
カゴメのファンマーケティングはなぜ注目されるのか?
カゴメは、トマトジュースなどの野菜ジュースやケチャップを中心とした調味料など、トマトを中心にした食品を提供する企業です。読者の皆様の中にも、カゴメの商品を手にとり、実際にお口にした方もいるのではないでしょうか。また、カゴメは、ファンマーケティングにいち早く着目し、先駆的に取り入れ業績を伸ばした企業としても知られています。
それでは、具体的にカゴメはどのようにしてファンマーケティングを展開したのか。そうしたカゴメのファンマーケティングの実践例を、見ていくことにしましょう。
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ファンマーケティング事例1:会員制コミュニティサイト「&KAGOME」
カゴメの広告部宣伝グループ課長の水野慎也は、2014年に行なった調査によると、2.5%の顧客が、売り上げ全体の30%を占めていたことが明らかになったと述べています。そこで、そうしたコアなユーザー、すなわちファンをターゲットにし、ファンを手放さないということを重視するようになりました。その代表的な取り組みが「&KAGOME」です。
これは、「ファンを知る」、「ファンに伝える」、「ファンと一緒に体験する」という三つのファンを中心にした考え方から成るものです。
「& KAGOME」では様々なコンテンツが用意されています。
「&KAGOME」のファン育成コンテンツ
引用:カゴメ便り
例えば「カゴメ便り」では、プレゼントやキャンペーンの情報、さらにはカゴメが行っている取り組みなどが紹介されています。最近ではラブレという商品がストローレスになったことのファンへの優先情報解禁等があります。たったこの情報にファンは約100近くものいいねや30件近くものコメントをしています。
引用:レシピのーと
また「レシピのーと」では、様々なレシピが掲載されています。こうしたレシピは利用者自身が投稿したものであり、それを他の利用者は閲覧することができます。こうした取り組みによって、ファンの間のコミュニティは高まり、また逆輸入的にそのレシピを公式が取り上げることもあるでしょう。
引用:おいしいレビュー
さらに「おいしいレビュー」では、利用者によってカゴメの商品についてのレビューが行われています。会員制サイトという、ファンが集まる場所でのレビューだからこそ、同じファン同士で共感しあい、またそれらの情報にも信憑性があるため、利用者はこうしたレビューを参考にしながら商品を購入しやすくなるでしょう。
引用:どれにしようかな
他には「どれにしようかな」ではユーザーアンケートをとることができます。ではこれらの施策はファン(ロイヤルティ)の育成以外にどんな効果があり、どのような結果が出ているのか見てみましょう。
「&KAGOME」によるマーケティング効果
ユーザーアンケートにおいて、ユーザーは自らの情報を発信しながら、トレンドや他の利用者の嗜好を知ることができ、カゴメ側は今後のマーケティングに役立つ情報を収集できます。こうしたアンケートやコミュニティサイト運営によって、カゴメは会員の情報を得ることができ、それによれば7割が会社員の女性、というデータがとれたとしています。
更にファンの要望に応えてできた商品もあります。
それが、「カゴメ 濃厚仕立てのトマトソース」です。「&KAGOME」会員との座談会を設け、意見を聴取し、従来、使いづらいという意見が多かった缶タイプの容器ではなく手軽で使いやすいチューブタイプの商品にしました。
こうした座談会やファンミーティングの場を定期的に設けながら、商品開発や改良に着手しているということからも、ファンの声を重視していることがよくわかります。さらには、CMソングなども、いくつかのパターンを用意した後でユーザーによる人気投票を行い、実際に使用する曲を決定しています。その場合には、ファンと共にまさしくブランドイメージを作り上げているということにもなるでしょう。加えて実際にはお金のかかる定性調査も無料で行えることから経費の削減にもなります。
またこうした「&KAGOME」の特筆すべき点は、「アクション率」だと言われています。すなわち、アンケートやレシピの投稿などをする確率が10~15%と高いそうです。それだけ多くのユーザーが、積極的に投稿をしているということは、ファンが中心になって広告塔になっている、ということでもあります。ファンの多くが、投稿し、別のファンがそうした投稿を読むことによってファンコミュニティは醸成されていくと考えられるでしょう。
ファンマーケティング事例2:カゴメファクトリーツアー
カゴメは、自社のファンへ向けて、「カゴメファクトリーツアー」と題した工場見学を実施しています。その内容は、季節に応じて若干変わる部分もありますが、カゴメの取り組みや製品ができあがる工程、歴史などを知ることができます。しかも基本料金は100円!(2023年2月時点)お土産もついてきます。
春から秋にかけて実施されている「野菜の収穫体験」では、その季節にあわせた野菜を収穫することができ、持ち帰れます。また畑で働くスタッフが、栽培している野菜について説明や解説、うんちくなどを語ってくれるツアーもあるそう。関連して、「生物多様性ガイドツアー」や「畑の生き物クイズラリー」といった、畑の周辺情報や環境の取り組みを紹介するということも行なっています。
さらには、カゴメの人気商品である「野菜生活100」ができるまでのVRでの工場見学ツアーや、夏にはひまわり畑で作られた迷路で遊ぶこともできます。
そして、カゴメの食材や商品を大いに使用し、料理を提供しているイタリアン・レストランも併設された施設として利用できます。
このように、カゴメの工場見学をしたい!と思うような熱心なファンにむけて、力を入れた取り組みをしていると言えるでしょう。
ファンマーケティング事例3:ブランドごとのサイト運営
引用:ブランドサイト一覧
カゴメの特徴として、ブランドごとにサイトを区分けしている、というものが挙げられます。
「野菜生活100」や「野菜一日これ一本」、あるいは「トマトケチャップ」などなど、様々な商品を提供しているカゴメですが、その一つ一つに用意されたホームページがあり、そこではそのブランドの特徴やおすすめレシピや活用法、歴史や生産者の思いなどが事細かに記されています。
時として、その商品のファンにとっては、会社の取り組み自体というよりも、商品に込められた思いや活用法が気になるもの。
すなわち、カゴメという会社はもちろんのこと、そうした一つ一つの「商品についたファン」を大切にしていると言い表すことができます。
まとめ:ファンマーケティング最大のポイントは「顧客体験」を中心に考えること
以上のように、カゴメはコアなユーザーを重視しながら、マーケティングをしていることがわかります。
「&KAGOME」の取り組みで見たように、ファンコミュニティを作り、既存のファンによる投稿などを盛り上げ、またそれを他のファンが見る、という構造にすることによって、すでにカゴメの商品を愛用している方々が、より商品を購入するような仕組みになっていると言えるでしょう。
さらには、ファンと共にブランドを作り上げ、ファンの声を重視しながら商品開発を進めています。そうした考えの延長線に、「ファクトリーツアー」のような工場見学によってブランドや自社製品の魅力を伝える取り組みや、ブランドごとにサイトをわけることによってファンに商品への愛着をより持ってもらえるような工夫を丁寧に行っていることが、カゴメに多くのファンがつく要因であることは疑いようがありません。
トピック: 紹介キャンペーン事例, ファンマーケティング
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