2023.07.06 ファンマーケティング
松屋フーズのファンマーケティング:SNS、公式アプリ、noteの活用法を徹底解説
松屋フーズが実施する「ファンマーケティング」
松屋フーズ(以下松屋)は、創業は1966年の中華飯店で、1968年に焼肉定食屋として開業、そして1980年に設立された牛丼チェーン店です。2020年には売上高1000億円を達成、2022年の時点では1200もの店舗をかまえています。
読者の皆様方にも一度は来店し、実食した方も多いのではないでしょうか。
そんな松屋の経営理念を見ると、徹底して「お客様第一」であることがわかります。例えば、「お店(会社)は常にお客様に満足していただくことを念頭において仕事をしていきます」や、「私達の仕事は、その来店されたお客様が期待する以上のおもてなしをすることで、満足していただくことです」、さらには「私達は自信を持ってそれぞれのお客様にサービスして、お客様の満足した、喜ぶ顔を見ることが、最大の喜びです」などの文言が、経営理念の欄には並んでいます。
また、「お客様によろこばれる店づくりをめざして、お客様に奉仕する。そのためには、どんな努力も惜しまない」との記載もあります。
このようなことからも、松屋がいかに自社のロイヤル顧客を大切にしているのかが、よくわかるかと思います。
そんな松屋のファンマーケティングを見ていきましょう。
≫リファラルマーケティングとは?30の成功ポイントと13の成功事例
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松屋のSNS活用
1-1.松屋の女性を意識したInstagram運用
引用:松屋インスタグラム
松屋は一般的に持たれる「牛丼チェーン店」のイメージとは裏腹に、インスタグラムで「バズる」写真を多数掲載して話題になっています。こちらは、完全に「女性向け」であることを、松屋フーズの販売企画グループである田中英介氏が認めています。
松屋には男性ばかりで、女性には入りにくい雰囲気や、印象が当時はあったそうです。そこで、女性のユーザーが多いインスタグラムでの投稿をはじめました。そして、インスタグラムでの投稿方針について、田中氏は以下のように語っています。
インスタを立ち上げる際に、女性受けを狙うからといって、インスタ映えする写真を投稿するだけでは、全く面白くないし、なにより松屋っぽくないという話になったんです。他社と差別化するためにも、そういうインスタはオシャレさを売りにしているお店に任せようと。女性をターゲットにしてはいるものの、あくまで松屋テイストであり、主導権は松屋が握っているインスタにすることで方向性を決めました
引用:松屋のインスタが攻めすぎ
1-2.松屋のTwitter運用
一方、松屋はTwitterも運用しています。こちらは下記のように語っています。
ツイッターでは、松屋をいつもご利用いただいている方にむけて、情報をきちんと提供するべく、わかりやすい投稿を心がけています
このように、インスタグラムと、ツイッターでの投稿やターゲット層を切り分けながら、SNSを運用することによって、ファンに拡散され、また認知されやすいような取り組みを行っていると言えるでしょう。また、面白い投稿は、ある意味で目立ち、そうした部分から興味を持ち、ファンになる、ということも期待できます。
1-3.松屋フーズ公式アプリ
引用:松屋フーズ
松屋は公式アプリ、「松屋フーズ公式アプリ」を運用しています。登録ユーザーはなんと、200万人以上。このアプリを活用することで、券売機を使わず、並ばないで商品を受け取ることができるようになります。
また、アプリにはクーポンやお得な情報が頻繁に届きます。松屋に頻繁に通うロイヤル顧客としてはお店をリピートして使いたいわけですから、こうしたサービスは嬉しいものです。また、会員にはランクアップ制度があり、これは一ヶ月の合計支払い金額によってランクが上がっていきます。
ランクが高ければ高いほど、ポイントの付与率が上がり、貯まったポイントで割引等のサービスが受けられます。「常連さん」に対してお店側がサービスをするといえば、わかりやすいかもしれません。
こうしたアプリの利用には、ユーザーの個人情報を入力して使う必要があります。松屋側としては、そうしたユーザーの情報を活用して、商品開発やマネジメントに力を入れることができるのです。
noteでのコラム展開
2-1.食生活を伝える場としての活用
引用:松屋note
様々な企業がホームページを設け、そこでコラム等を掲載しています。しかし、松屋はこうしたコラムを公式ホームページで運用するのではなく、noteという外部サイトを使って掲載しています。
松屋のnoteには、かなり読み応えのある記事が並んでいます。それが「みんなの食卓2021」や「みんなの食卓2022」というものです。これらの投稿は、様々な食卓に取材を行い、食文化を伝えるものです。例えば、僧侶の食生活や、ビーガンの食生活、あるいは「こども食堂」を経営する方の食の考えなどを伝えています。
このように、「牛めし」や「松屋」というところから離れて、多様な食文化や食の価値観を伝えています。直接的な広告というよりは、そうした食文化を伝え、また理解していることをアピールする重要な場になっています。
2-2.鳥羽周作さんとのコラボnote
引用:鳥羽周作さんnote
松屋は、公式アンバサダーとして、ミシュランで星をとったこともあり、松屋への愛を語ってやまない鳥羽周作氏を起用しました。ファンである鳥羽氏を起用したこと自体が、ある意味でファンマーケティングの象徴的な出来事と言えるでしょう。
また、鳥羽氏は、松屋のアレンジレシピを多数投稿し、そうした意味でも話題になりました。
公式ホームページは、基本的にその企業や商品に深い興味と関心をもつ人のみが閲覧しますが、noteのような形であれば、「少しだけ興味がある」というような人も読者になりえ、広告としての機能はもちろんのこと、自らの企業をアピールするきっかけにもなります。また、「少しだけ興味がある」というような人が、ファンになる、というような構造もあるかもしれません。
松屋の「復刻メニュー総選挙」
引用:シュクメルリ
松屋は、稀に「復刻メニュー総選挙」というイベントを行います。これは、過去に出た期間限定メニューの中から、ユーザーが投票を行い、投票率が高かった商品が再販されるというものです。
中でも、話題となったのは「シュクメルリ」です。実際に再販された際にも多くのファンが、買い求めたそうです。あまりに反響が多かったため、シュクメルリのレシピをクックパッドにて公開するに至りました。
更には、投票をした方の中から抽選でクーポンやTシャツをプレゼントするなどもしており、この企画自体を盛り上げようとしていたことがわかります。
このように、期間限定商品のなかから、人気のあるものをファンの投票によって復刻すること、そしてその商品を自宅でも食べられるようにし、ロイヤル顧客には更に愛着を深め、あまり松屋に行ったことない層・一度も行ったことない層にとっては、一般顧客化への足掛かりになると思います。
まとめ
以上のように、松屋は、その経営理念からしても、ファンを大切にしている企業と言えます。
そうした経営理念をもとにしながら、SNSにおいては、各メディアにあわせて、新規のファン層を開拓しながら、そうした方々にもファンになってもらえるよう「面白い」、「バズる」投稿を繰り返しています。そうした投稿は同時に、拡散されやすいものでもあり、SNSを用いた広報活動の成功例と言えそうです。
公式ホームページではなく、noteにおいてコラム等を投稿し続けることもまた、SNSでの活動の一環と捉えることもできるでしょう。
また、公式アプリなどでは、ユーザーの利便性を第一に考えながら、クーポンをたびたび発行するなどして、お店に何度も足を運んでもらおうという姿勢が見て取れます。
さらには、アンバサダーには、実際の有名店のシェフでありながら、松屋の「ファン」を公言する人物を起用するなど、ファンと一体になって施策を進めていると評価することができます。
そして、「復刻メニュー総選挙」のような投票企画をたびたび行い、ファンに楽しんでもらいながら、再度来店してもらう、あるいは、ファンを離さないような取り組みをしているとまとめることができそうです。
トピック: ファンマーケティング
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