2024.09.19 紹介の基本
OIDEAS(おいでやす)とは?リファラルマーケティングを成功へと導くフレームワーク
皆さん、リファラルマーケティングに特化したフレームワークはご存知でしょうか?
マーケティング分野では、「3C分析」「PEST分析」など、マーケティング戦略を立てるうえで、物事を体系的に理解し、効果的に実行するための枠組みとして使用されています。リファラルマーケティングにおいても、そのようなフレームワークが存在します。
それは、弊社invyが提唱する「OIDEAS(おいでやす)」です。
「OIDEAS(おいでやす)」は、複雑なリファラルマーケティングを体系化し、可視化するためのフレームワークです。このモデルを活用することで、効果的なリファラルプログラムの設計と実施につながります。
この記事では、そんな「OIDEAS」の概要から具体的な活用方法まで詳しく解説していきます。
1. OIDEAS(おいでやす)とは
OIDEASはリファラルプログラムにおける紹介フローにかかわる業務、顧客の導線、データの流れを可視化し、言語化するためのフレームワークです。
このフレームワークを使うことで、リファラルプログラムの曖昧な部分をなくし、より明確な設計が可能になります。
1.1 OIDEASの6つのステップ
OIDEASには6つのステップが存在します。
・Offer(告知オファー)
プログラムを認知してもらう段階。
・Interst(愛着・興味の向上)
告知した相手が実際に紹介をしてくれるように働きかける段階。
・Direct(紹介誘発)
顧客に紹介行動を促す段階。
・Encourage&Empathy(後押し・共感)
被紹介者に対して意思決定するように働きかける段階。
・Action(行動)
被紹介者が意思決定をし、データとして結果を記録する段階。
・Send Gift(特典付与)
特典を付与する段階。
1.2 なぜOIDEASが必要なのか?OIDEASの4つのメリット
では、なぜOIDEASを使用する必要があるのでしょうか?
それは、リファラルプログラムをより効果的に設計し、実施するためです。
リファラルプログラムは通常のマーケティングより関係者が多いという特徴があります。そのため、準備すべきコンテンツや機能も複数あり、プログラムの作成に不慣れな場合、重要な要素を見落としてしまう可能性があります。
OIDEASを活用することで、4つのメリットがあります。
・プログラムの無駄を省き、シンプルで効率的なフローの作成
・必要なコンテンツや機能を漏れなく洗い出せる
・プログラムの各段階で必要な要素を体系的に検討し、一貫性のある設計の実現
・関係者がプログラムの構造や流れを共有しやすくなる
これらのメリットにより、効果的かつ効率的なリファラルプログラムの設計と実施が実現し、プログラムの成功率を高めることができます。
OIDEASの概要を理解したところで、次の章から、実際にOIDEASをどのように活用するのか、「フロー設計編」と「紹介コミュニケーション設計編」に分けてそれぞれ解説していきます。
2. 【プログラムフロー設計編】OIDEASの活用方法
ここでは、リファラルプログラムのフロー設計におけるOIDEASの活用方法について解説します。
2.1 OIDEASを使用する前に…
OIDEASを使用する前に、まずはリファラルプログラムの関与者(紹介者、被紹介者、現場スタッフ等)とそれぞれのステップで検討すべきポイントを確認しましょう。
業界やビジネスモデル、そしてプログラムタイプによって関与者は異なります。これを明確にすることで、それぞれの関与者の役割や必要な行動が明確になります。
OIDEASを使用する際は、関与者がそれぞれの段階でどのような作業が生じるのかを検討していくことが重要になります。
2.2 必要なコンテンツを洗い出す
次に、OIDEASフレームワークを使って各ステップで必要なコンテンツを洗い出します。
リファラルプログラムで必要なコンテンツは、キャンペーンページだけではありません。
Offer段階では告知メールやチラシ、Encourage& Empathy段階では店舗スタッフ向けのマニュアルなど、関係者が多いほど用意すべきコンテンツも多岐にわたります。
フレームワークを活用することで、コンテンツの漏れを防ぎ、さらにそれぞれの繋がり等も整理ができます。
2.3 無駄がないか検討する
既存のリファラルプログラムでは、体系的な設計がされていないため無駄が生じているのも散見されます。
そこで、OIDEASを使って現状のフロー内の無駄を洗い出し、改善を図りましょう。そうすることで、コスト削減や費用対効果の向上が期待でき、現場を介するプログラムの場合、現場の負荷を削減し、モチベーションの向上にもつながります。
無駄を減らすためには、現場の意見を聞くことも重要です。
・現場のフロー
・オペレーションの
・現場目線で見た懸念や改善点
以上の3点のヒアリングを行い、各段階で無駄がないかしっかり検討してきましょう。
この作業は、現場の人たちがプログラムの実施を知る機会としても機能します。
2.4 実施すべき内容を洗い出す
紹介フローが決定したら、各ステップで実施すべき内容や紹介者・ゲストに伝えるべき内容を洗い出します。
この段階で、プログラムの具体的な実施内容が徐々に見えてきます。
2.5 フローを図式化する
ここまでOIDEASフレームワークを使って、関係者、検討ポイント、必要コンテンツ、実施内容を洗い出してきました。
最終的に、これらの内容を1枚のフロー図に統合します。
ポイントは以下の点を時系列で表現することです。
・社内の誰が何をして
・どんな情報を取得して
・何を伝えるか
・それによって紹介者やゲストがどういう行動を取るか
・成果ポイントはどこか
このフロー図は、プログラム実施時の指針となります。
関与者全員が理解できるよう、必要な情報を簡潔に盛り込むことが大切です。また、関係者を巻き込んで何度もレビューを重ね、精度を高めていきましょう。
3. 【コミュニケーション設計編】OIDEASの活用方法
コミュニケーション設計とは、OIDEASの各ステップでどのようなコミュニケーションを取るかを明確にすることを指します。
その際、コミュニケーションが重複せず、スムーズに流れていくようにすることが重要です。無駄をできるだけ省いて、シンプルで簡単なフローになるようにすることで、エンドユーザーの体験が向上し、コンバージョン率の向上が実現します。
3.1 Offer(告知オファー)
リファラルコミュニケーションにおいて、告知オファーの投げかけ方は非常に重要です。プログラムの存在を知らなければ、そもそも紹介は発生しません。ここでの失敗は、紹介LPへの流入を大きく減少させる原因となります。
そのため、既存顧客とのタッチポイントやターゲットを理解したうえで、適切な告知方法を考える必要があります。有効な告知のタイミングは主に2つあります。
①固定的な告知導線
固定的な告知導線は、リファラルプログラムの存在を認知し、ふとした時に思い出してもらえるような役割を持っています。
ウェブの場合は、ウェブサイトのバナー、LINEのリッチメニュー。店舗の場合は、チラシ、ポスター、POPなどが挙げられます。
②商品・サービスの購入直後
商品・サービスの購入直後は、顧客が商品・サービスに対する熱量が最も高いタイミングであり、紹介が最も起きやすいタイミングでもあります。そのため、このタイミングを逃さずアプローチをすることが大切です。
ウェブの場合は、アプリ内通知や個別メール、購入後のフォローアップメッセージ等。店舗の場合は、商品購入後に店舗スタッフによる告知が有効です。
告知方法に加えて、告知の投げかけ方も重要です。自社の既存顧客に合わせてメッセージを考えましょう。
ポイントは、過剰な情報は避け、「引き」を作ることです。顧客が興味を持つための要素を巧みに配置することで、より効果的な告知が可能となります。
3.2 Interst(愛着・興味の向上)
OIDEASのI(愛着・興味の向上)からは、紹介者向けLPの話に入っていきます。
紹介者向けLPの設計では、基本情報(特典内容、応募方法、応募ボタン)に加え、紹介者の愛着や興味を引き出す要素(例:紹介のメリット、商品の魅力等)を取り入れることが重要です。
その際、ターゲット層に応じた情報量の調整を意識しましょう。若年層は簡潔な要点を好む一方、年配層はより詳細な説明を求める傾向があります。意識をすることで、紹介者の参加意欲を高めることにつながります。
また、改めて、以下の3点の言語化も必要です。
・なぜ今このサービス・商品が必要なのか
・自社の商品・サービスを選ぶべき理由
・顧客が特に評価しているポイント
言葉選びも重要です。専門用語ではなく、親しみやすい表現を使用することで、より効果的にメッセージを伝えられます。
また、紹介者に「おすすめメッセージ」を書いてもらうこともおすすめです。これを通して紹介者の商品への愛着を深めることができ、企業も自社の強みを顧客の言葉で把握することができます。企業にとって、「おすすめメッセージ」の内容は商品改善やマーケティング戦略にとっても有益なデータとなります。
3.3 Direct(紹介誘発)
次に、顧客に紹介行動を促す段階であるDirectについて解説します。ここでは紹介ツールの選定が重要です。
紹介ツールには、LINE、Instagram、Facebookなど様々なものがありますが、いつでもLINEが最適というわけではありません。ターゲットの年齢や関係性によってツールを変更することで、効果を高めることができます。
例えば、LINEはスマホを使う世代全般に適していますが、家族や特に親しい友達への紹介に効果的です。一方で、不特定多数に拡散してほしい場合には、TwitterやInstagramの活用が適しています。
各ツールの特性を理解し、リファラルプログラムに最適なツールを選択することが重要です。
3.4 Encourage&Empathy(後押し・共感)
OIDEASのEからは、被紹介者向けLPを中心としたステップになります。
被紹介者向けLPはゲストにとって初めて訪れる企業のページであるため、不安を解消し、安心感や信頼感を持ってもらうことが必要です。ただし、紹介経由での流入となるため、ある程度の情報は既に持っていることを前提とした情報の設計が必要です。
また、ターゲットの年齢層に応じて情報量を調整することも忘れずに行いましょう。
3.5 Action(行動)
Actionの段階は、被紹介者をコンバージョンへと導くための段階です。
多くのLPを見ると、「訪問者に何をしてほしいのかがよくわからない」と感じるものが意外と多く存在します。被紹介者が次のアクションにスムーズに進めるよう、やってほしいこと(ゴール)をはっきりと記載し、目立つアクションのポイント(例:ボタン等)を設置することが必要です。
そして、特に意識すべきなのが、CTA(行動喚起のためのバナー画像やボタンなど)から申し込みページまでの間で、極力情報が重複しないようにフローを設計することです。LPの情報と遷移先の情報が重複しないようにすることで、スムーズな体験を提供できます。
LPから申し込みページまでの間でスムーズな流れを作ることを意識しましょう。
3.6 Send Gift(特典付与)
最後のステップのSend giftは特典付与の段階です。
リファラルプログラムは「特典を渡して終わり」ではありません。被紹介者との今後の長期的なお付き合いはここが出発点となります。
最後の対応が不十分だと、せっかくの努力が台無しになってしまいます。被紹介者に「また利用したい」「紹介したい」と感じてもらえるような対応を心がけましょう。
特典を渡す際に感謝の気持ちを伝えることが効果的です。
4. OIDEASを使用した成功事例
ここまで、OIDEASの活用方法について解説してきました。では、実際にOIDEASを活用した結果、どのような効果が得られたのでしょうか?今回は、プリモ・ジャパン株式会社様の事例を紹介します。
【プリモ・ジャパン株式会社】
プリモ・ジャパン株式会社は、国内最大規模の店舗数を誇るセレクトオーダー形式のブライダルジュエリー専門ブランドです。OIDEASを活用して紹介フローを整理することで、全店舗での成果確認から特典配布までの効率化を実現しました。
同社は、OIDEASの6つの段階のうち、特にOffer(告知オファー)とInterest(愛着・興味の向上)の2つの段階に注力しました。
Offer(告知オファー)
Offer段階では、LINE公式アカウントやメール、店舗でのご成約後のお声がけを徹底しています。それに加え、購入者へ翌日自動的にLINEメッセージを送信するシステムも導入しています。
これにより、案内漏れを防ぐことと同時に、店舗スタッフの負担軽減にも繋がりました。
Interest(愛着・興味の向上)
Interestの段階では、指輪の受け取り時など感動のタイミングで紹介プログラムを案内し、顧客の紹介意欲を引き出しています。
ご成約の翌日には感謝の言葉とともに、友人紹介のお願いメッセージを送信しています。
これらの、安心・信頼できる体験を提供することにより、店舗スタッフとお客様との間に強い信頼関係が構築され、「この担当者を紹介したい」という思いから紹介が発生することもあります。
以上のように、プリモ・ジャパン株式会社は、商品の特徴やターゲットを深く理解したうえでアプローチを行うことで、リファラルプログラムの効率化を実現しました。
5.さいごに
ここまで、リファラルプログラムにおける紹介フローを分かりやすくするためのワークフローOIDEASについて詳しく解説をしました。
OIDEASを活用する際に重要なのは、
・各段階で無駄を省き、ターゲットに合わせた適切な情報提供を行うこと
・プログラムの最後まで丁寧な対応を心がけ、長期的な関係構築につなげること
以上の2点を意識することで、より効果的なリファラルプログラムの展開が実現します。
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