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パタゴニアに学ぶ、熱狂的なファンを作るブランディングの秘訣|ファンマーケティング事例を紹介

パタゴニアのファンマーケティングはなぜ注目されるのか?

パタゴニアはアウトドア用品や衣料品を取り扱うメーカーです。元々はアメリカの企業で1965年に設立、日本では1988年から展開されています。パタゴニアは熱心なファンが多いことでも知られており、ファンマーケティングという観点からも注目すべき取り組みを行っています。

もちろん商品自体の品質や魅力、品質に裏打ちされたカスタマーサポートは、ファンマーケティングの土台となる重要な要素です(パタゴニアは製品保証を行なっており、購入した商品に満足ができない、機能が十分ではないと判断した場合には、返品・交換修理や返金対応をしています)。
しかしさらに着目すべきなのは、商品自体の品質という土台のもとに、いかにパタゴニアが熱心なファンとともに成長してきたかという「ファン作り戦略」です。

この記事では、世界的に展開するパタゴニアがグローバルな規模でファンを獲得するためのファンマーケティング戦略の事例をご紹介します。

 

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ファンマーケティング事例1:パタゴニアが手掛ける「ストーリー」戦略

パタゴニア最新のストーリー

引用: https://www.patagonia.jp/home/

パタゴニアの商品が、なぜファンから愛されるのか。そのキーワードの一つが「ストーリー」です。
実際に、パタゴニアのホームページを見れば、新商品の紹介のすぐ下には、「最新のストーリー」という項目があります。この「ストーリー」ページが非常に充実しています。

例えば「ストーリー」には、著名なサーファーやクライマーの投稿が見られます。それらの投稿には必ずしもパタゴニアの製品が紹介されているわけではなく、彼らプロフェッショナルのライフスタイルそれ自体が投稿されています。
パタゴニアが「ストーリー」で発信しているのは、単なる商品の宣伝ではなく、ユーザーの生活や、パタゴニアのブランドの延長線上にある理想的な姿やライフスタイルそれ自体なのです。

他方で、「アクティビズム・ストーリー」では、世界各国の活動家の投稿が文章や動画という形で掲載されています。
アクティビズム・ストーリーでは、人権問題や環境保全の重要性、さらには精神世界の話や限界集落の話など、一見するとパタゴニアの製品とは直接的に関係のなさそうなものが多いです。

アクティビズム・ストーリーの意義は、パタゴニアというブランドがそれらの活動を積極的にシェアしている、あるいは、そうした活動の一環を様々なかたちでサポートしている企業である、というメッセージの発信です。
それらの活動の理念に共感する人々がパタゴニアのコアターゲットである場合、彼らはパタゴニアの発信をうけ、パタゴニアというブランドの方針自体にも共感するでしょう。

コアターゲットの共感を集め、ブランドを好きになってもらうためには、商品の宣伝以外にどういった内容を発信するかが問われます。自社の商品そのものを無理にねじ込むのではなく、あくまでブランドメッセージを伝えるために最も効果的な発信であることが重要です。

 

ファンマーケティング事例2:ファンにとって便利な自社製アプリ

パタゴニアは、自社アプリを公開しています。アプリを使用することで、ユーザがより便利に情報取得や購買できる仕組みを整えているのです。

例えば、紙媒体でのカタログやWEB上で気に入った商品があった場合、実際に試着するためにどの店舗に当該商品があるのかを確認することができます。
修理をしてもらいたい時なども、アプリ上に情報を登録しておけば、申し込み用紙やフォームへの記入の手間を省くことができます。
もちろんアプリを使用していれば、様々なサービスや商品の情報、商品のストーリーなどを便利に見ることもできます。
アプリの使い勝手がよく、優れた顧客体験を提供できる場合、ユーザが何度も自社ブランドに触れるきっかけをつくることができ、ファンを育成するうえで格好のプラットフォームとなります。

 

ファンマーケティング事例3:環境問題への取り組み

パタゴニアの企業理念は、「地球を救うためにビジネスを営む」です。パタゴニアは環境問題に取り組むべく、SDGsへの取り組みを公式的に打ち出しています。

パタゴニアが抱える目標は、環境問題の先端を行く先鋭的な内容です。2023年現在では、「2025年までに石油を原料とするバージン繊維をパタゴニア製品から排除し、環境に望ましい素材のみを使用する」、「2025年までにパタゴニアのパッケージすべてを、再利用可能なもの、家庭内コンポストで分解できるもの、再生可能なもの、容易にリサイクルできるものにする」、「2030年までにパタゴニアのビジネス全体においてネットゼロを達成する」という目標を掲げています。

これらの目標を掲げつつ、実際に環境問題に対処するためのいくつもの施策が実施されています。

3-1. SDGsへの配慮

商品の修理、リペアなどは、SDGsの一環として行われています。また、衣料品などに使っているすべての素材を公表し、それらがどういった素材であり、素材の性質や、環境にどのような影響を与えているのか、環境問題を考えた際に影響の少ないものなのか、さらには、そうした素材と現在の環境問題に対してどのように取り組んでいるのかを説明しています。

 

3-2. 1% for the planet

1% for the Planet」は、売り上げの1%を自然環境の保護や回復、保全のために利用することに誓約をするというものです。パタゴニアでは、現金や現物で、これまで総額1億4000万ドルを寄付してきました。当然、そうした売り上げは顧客からもらったもの。つまりパタゴニアで商品を購入することは、こうした取り組みへ貢献することにもつながっています。
商品の購買や利用の中に、環境問題への貢献や理解という要素をちりばめることで、顧客はパタゴニアの環境問題への姿勢を徐々に体験することができます。
パタゴニアの商品を購入し、使い続けるということは、こうした環境への取り組みに賛成しながら、企業とともに貢献しているということにほかなりません。協同的な関係である、とファンが思いやすい構造を作り出しているのです。

さらにファンマーケティングの文脈から注目すべき点として、パタゴニアはユーザを巻き込んだSDGsの取組を実施しています。

 

3-3. エコバッグ・シェアリング

エコバッグ・シェアリング

引用: https://www.patagonia.jp/stories/eco-bag-sharing/story-117753.html

エコバッグ・シェアリング」という取り組みでは、レジ袋のような「持ち帰り袋」を完全廃止したうえで、ユーザーから不要になったエコバッグを回収しています。回収されたエコバッグは、レジ袋が必要な方に対して使ってもらうということによって、不要なものを活用しながら新しいゴミを出ないようにしたのです。

これによって、もともとのレジ袋が必要だった方の割合が83.4%だったのに対し、97.3%の方が、新たなエコバッグ等を不要とするように至ったそうです。
さて、こうした取り組みは一見すると、「エコバッグ等」を新たに購入することが減る、レジ袋が不要になる、という世界線を目指しているようにも見えます。もちろん、そうした一面もあるでしょう。
しかしパタゴニアがこの試みによって最大の目標とするのは、「お持ち帰り袋の辞退率97.3%を100%にすることではなくお客様と共に問題の根本原因となっている既成概念を再考し、インパクトを拡げること」です。
つまり、レジ袋が店に用意されているということが当たり前ではなく、むしろエコバッグを常に携帯するということが当たり前な世界に変えようとした、と言えるでしょう。
自社の取組によってユーザの意識の根本を改革し、ユーザの協力を取り付ける、そうした取り組みはパタゴニアから発信され、ファンに伝播し、またファンによってパタゴニアユーザー以外の方へも広がる、という構造になる可能性を秘めています

パタゴニアがエコバッグ・シェアリングを通して、ファンの行動変容やファンからの再発信のきっかけづくりを行っています。自社の理念をただ伝えるだけでなく、自社の理念に対してファンが積極的に賛同しやすいような仕掛けをつくっている、とも言えるでしょう。

 

3-4. Won Wear(新品よりもずっといい)

ブランドメッセージを届けるという文脈からは、「Won Wear(新品よりもずっといい)」という取り組みにも注目すべきでしょう。
Won Wearは、限られた資源を有効に使うために修理(リペア)を推奨するもので、インスタグラム等でハッシュタグをつけてファンに投稿することによって、キャッチコピー的に認知されやすくなっています。

「Won Wear」の取り組みの中には、リペアトラック「つぎはぎ」というプロジェクトもあります。
こちらは、パタゴニアがアウトレットモールなどにトラックで赴き、パタゴニア以外の製品の修理を行うものです。加えて補修の体験などもでき、自らリペアすることもできます。修理に使う電力は、トラックに備え付けられたソーラーパネルによって発電された電力でまかなわれています。

この取り組みでもパタゴニアは、自社製品のサポートの範疇を超え、「リペア」という考え方への賛同自体を発信しています。自社製品の宣伝やサポートという枠を超えることで、パタゴニアが環境問題に本気で対応しようとしている姿勢をファンに伝えることができます。かつ、まだパタゴニア製品のファンではない潜在層にも、パタゴニアのブランドとしての姿勢を認知させることができます。
こうした一見遠回りだけれども真摯な取り組みが、ファンへのメッセージ発信やファンの育成を支えているのです。

 

まとめ:ファンマーケティング最大のポイントは「顧客体験」を中心に考えること

以上のように、パタゴニアではまず魅力ある商品だけでなく、その背後にあるストーリーや価値観、思想といったものをファンに周知することを徹底しています。そうした商品の直接的な宣伝以外の発信のほうが、時には商品以上の熱量で発信されているように思えるほどです。
つまりパタゴニアにとって、商品はあくまでも、パタゴニアの思想が反映された一つの「かたち」であると言えます。お客様はそうした思いがこめられた「かたち」を通し、パタゴニアの思想を応援するために、パタゴニアの商品を継続して買い求めます。

特に環境問題に関する取り組みは、様々な形でユーザへと周知され、自発的な関わりを促しています。そこでは「環境問題」とパタゴニアの取り組みとその成果が一つの「ストーリー」に仕立てられています。
そして、そうした「ストーリー」や取り組みに積極的にユーザを巻き込むことで、ブランドのストーリーはユーザに明示的に共有されていきます。

そうしたストーリーに共感するファンは、情報収集や購買を重ねる中で、ブランドの理念である環境問題の解決に協力し、ブランドとのつながりを深めます。
ファンが誇れるような商品と企業であり続けること。パタゴニアのファンマーケティングでは、そうした点に特化しているとまとめることができるのではないでしょうか。


トピック: 紹介キャンペーン事例, ファンマーケティング

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