2022.09.15 紹介ノウハウ
リファラルマーケティング6つのプログラムタイプ:④紹介営業
紹介営業とは単純にいえば、紹介者への告知を企業(マーケティング本部等)から直接ではなく、営業パーソンを介して行うというものです。紹介者が営業担当に対して信頼と好意を抱いており、ゲストに対して「××を買うなら○○さんに任せれば間違いないよ」と言ってもらえるということです。つまり営業パーソン個人の信頼度が鍵になるプログラムです。
紹介営業で大切なのは、営業パーソンのモチベーションです。
精神的な満足感ももちろん大事ですが、より重要なものがあります。それは、自身の紹介営業に「正当な人事評価がされ、給与・賞与と結びつく」こと。したがって営業パーソン単位での実績が客観的(数値的)に評価できる仕組みが整っていることがプログラム成功の肝となります。
一方で営業パーソンにとって紹介営業が大きな負担になると、モチベーションが下がってしまいます。したがって紹介依頼活動をサポートする仕組みも必要となります。
※このブログ記事の内容についてより詳しく知りたい方は、『リファラルマーケティング大全』(フォレスト出版、2022年9月17日発売)をご覧ください。
リファラルプログラムの企画・設計等は本部が担うのが一般的で、それら以外の人間関係にかかわるフロント部分は営業パーソンが担うことになります。
本部の役割として、営業パーソンが担う部分の評価とサポートが増えることになります。
紹介営業が必要な業界
紹介営業が有効な商材の特徴は、下記です。
1 購入までの意思決定が複雑である
2 購入・契約までのリードタイムが長い
3 高額である
4 人生に何度もない低頻度の買い物である
5 商品選択に専門知識を必要とする商品である
たとえば自動車や住宅、不動産、保険、冠婚葬祭などでは、本部だけが動くプログラムよりも、現場がノルマを追って動く「紹介営業」の要素があった方が成功しやすいでしょう。
顧客の相談を受けてコンサルタントやエージェント的な動きをする営業、すなわち顧客の意思決定を大きくサポートする営業の場合、紹介も営業に任せるほうがうまくいくのです。
(弊社では「紹介営業」がハマるビジネスモデルを「エージェントモデル」と呼んでいます。
エージェントモデルの顧客の紹介集客事例を掲載した資料は、こちらよりダウンロードいただけます。)
同じ紹介営業でも「ブランド優位」か「営業優位」かでコミュニケーションが変わる
同じように顧客の意思決定に大きくかかわるといっても、ブランド優位なのか営業優位なのかで顧客とのコミュニケーションの仕方が変わってきます。
ブランド優位の場合は、営業パーソンがあまり前面に出る必要はなく、ブランドイメージを棄損しないような心がけが必要になります。強いブランドは、社内でブランドイメージが浸透しているはずなので、リファラルプログラムもブランドの戦略や規範に従えばいいはずです。
ブランド力というより営業パーソンの顔が表に出る、という場合は、営業個人の個性を生かせるプログラムを考えるべきです。
例えば営業の顔が見える紹介告知ページをつくるといった施策がおすすめです(図65)。名刺にQR コードを印刷して、スマホから営業パーソン専用の紹介告知ページに飛ぶようにしておくのです。
営業パーソンの顧客満足度評価ページに飛び、評価点が高いときには紹介告知ページに飛ぶ、などの方法も考えられます。
企業規模によって紹介営業のメリットや評価ポイントが変わる
全国に展開している大企業と地域に密着している中小企業では、紹介営業のメリットも評価ポイントも違うことに注意が必要です。
全国展開している企業の場合は、紹介者とゲストが全然違うエリアに住んでいて、ゲストの担当営業が自分とは違う人になる可能性があります。したがって大企業の場合は、営業パーソン経由の新規獲得数だけでなく、そもそもの紹介数(告知成功数)が成果として評価されるような評価制度を導入する必要があります。
一方、地域密着の企業では、紹介者とゲストが同じエリアに住んでいることが多く、担当営業が変わる可能性は少ないでしょう。
したがって、紹介営業で獲得したゲストについて、告知した元の営業担当者が担当営業になれる、と保証することが有効です。
例えばゲスト宛の照会状に、紹介元の担当営業の顔と名前が自動的に掲載されるなどの仕組みがあると、営業担当だけでなく、紹介者やゲストも「ちゃんと○○さんが担当についてくれるんだ」と安心できるでしょう。
紹介営業、いつ声をかけるのがベスト?
リード(見込み客)の獲得から契約に至るまでに、営業パーソンと顧客のタッチポイントはいくつもあります。
特に紹介営業が有効とされる商品においては、多数のタッチポイントがあって、行きつ戻りつの複雑な経路(カスタマージャーニー)をたどることが普通です。
定期接点のどこで紹介を誘発するかは、紹介告知成功のとても重要なポイントであり、熟慮が必要です。
例えば不動産の場合ですと、
・モデルルームに来場して担当営業が付く段階
・契約締結
・建築完了時の引き渡し
・その後の定期メンテナンス訪問
などが代表的な定期接点です。
これらのどこで紹介告知をすれば良いか。最初の紹介告知のタイミングとしては「顧客が最初に関係性の深まりを実感するタイミング」がベストですが、それをどうやって捉えるかが課題です。
それは営業パーソンの個人的な資質でも違ってきますし、会社が決める業務職掌(どこから営業が深くかかわり始めるのか)によっても変わってきます。一概にどのタイミングとは決められませんが、本部がサポートできることとして、定期接点ごとに顧客満足度を調査する手があります。簡単にアンケートで顧客満足度を測定し、一定の得点以上であれば紹介告知をするのです。
人間は一貫した行動を取りたがる性質がありますので、一般的には高く評価した営業パーソンの頼みはなかなか断れないものです。逆に低く評価した営業パーソンの頼みは聞きたくないでしょう。日頃から顧客満足度がどうすれば高まるかを意識した営業活動を心がけることは、紹介営業の成果を出す上でも肝心です。
紹介営業とCRMを組み合わせる
顧客の行動やステータスに応じたコミュニケーションを取るには、CRMが有効です。
CRM(Customer Relationship Management、顧客関係管理)とは、既存顧客との関係性を踏まえた最善のアクションを導き出すためのツールです。CRM を導入している企業は、もはや一般的ではないでしょうか。
CRM には通常、配信機能が含まれており、設定したタイミングで自動的に紹介告知を行うことができます。その機能を使えば、定期接点でメールやLINE メッセージなどを送ることができ、自動的・効率的に紹介告知を行えます。
LINE公式アカウントに顧客情報を集める、という形ですと、営業様の個別連絡が重要になる企業様でも、比較的導入しやすいのではないでしょうか。
例えば、実際のお客様の具体例を挙げましょう。
【例】不動産エージェントL 社(地方拠点 数店舗)
・来店顧客に店舗一律のLINE公式アカウントを案内し、LINE を活用して契約までの流れをサポート
・LINE 登録へのお礼メッセージ、およびリッチメニューに紹介キャンペーンへの導線を設置
・営業パーソンはカウンターでLINE お友だち登録を促し、その流れで紹介プログラムの案内を実施
・定期的に本部からLINE メッセージを自動配信し、そこから紹介キャンペーンへ誘導
こと紹介施策に関しては、先にも述べたとおり、営業担当や店舗ごとの成果計測が必要となります。紹介データを管理するのにExcel 等を使うのは、入力が面倒で営業パーソンや営業アシスタントへの負担になります。特に、紹介率などの途中経過のデータをいちいち記録するのは現実的ではありません。入力漏れ発生のリスクもあります。
蓄積したデータを分析し、レポート化できるツールがあれば、成果データの把握から評価、本人や上司・本部へのレポーティングに至るまで、すべて自動で行うことができます。
まとめ:紹介営業は、現場を動かす「可視化」と「仕組み化」が大事
紹介営業では現場が対顧客のフロントに立つ以上、営業現場の協力が必須となります。
一方で営業担当者や現場店舗は様々な業務で忙殺されています。自分の成果に繋がらない業務や煩雑な業務を依頼しても、後回しとなって成果は出づらくなるでしょう。
営業個々人が大事になり、属人的要素と切り離せない「営業」だからこそ、可視化と仕組み化によって現場のモチベーションを上げることが大切です。
紹介営業についてもっと詳しく知りたい方は、こちらのブログ記事もご覧ください。
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トピック: 紹介ノウハウ
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