2023.06.27 ファンマーケティング
チロルチョコのファンマーケティングとSNS戦略: あなたを笑顔にするために
チロルチョコが実施する「ファンマーケティング」
チロルチョコ株式会社は、松尾製菓という会社からチロルチョコを専門として2004年に独立、分離した会社です。メインの商品は、もちろんチロルチョコ。10円タイプのチロルチョコは1979年に登場して以降、愛されてきました。
そんなチロルチョコ株式会社の企業理念は「あなたを笑顔にする」です。この理念からわかることは、一人一人のユーザーを大切にしていることです。
チロルは「ファンマーケティング」を軸にマーケティング戦略を行っており、その戦略は特徴的です。
この記事ではそんなチロルの取り組みを、紹介していきます。
≫リファラルマーケティングとは?30の成功ポイントと13の成功事例
≫ファンマーケティングとは?熱狂的なコアなファンを探す方法を事例とともに徹底解説!
ファンミーティング「チロルフェス」
1-1. オフラインイベント「チロルフェス」
2022年10月15日と16日に100人以上のファンが来場した「チロルフェス」が行われました。内容は下記の写真の通りです。
引用:チロルフェス公式サイト
このように、イベントでのみ見ること・作ることが可能な催しは、ファンにとっては、更にロイヤルティを深めるに値する嬉しいイベントだったのではないでしょうか。
他にも新商品として、「アップルパイ味」のチロルチョコの味やデザインを社員がプレゼンし、ファンが意見を出し合いました。
ファンならではの意見も多くあり、包装紙等をコレクションするのであればこちらほうが良いという意見や、単品のチョコで味わうのか、それとも袋詰めされた商品として味わうのか、そうした違いなどの意見が出されました。
こうした商品開発は、ツイッターでのアンケート機能などを利用し、実際に発売されるに至ります。このように直接ファンと議論しながら、アイデアを鋭くさせるのは企業にとってもファンにとっても良いイベントです。
株式会社チロルの社長である松尾裕二氏は、チロルチョコの本質について以下のように語っています。
「おいしさはもちろんのこと、何よりも『楽しさ』と『面白さ』です。商品開発で重視するのも、『そこに楽しさはあるのか?』。チロルって最近、順当なものしか出さないよね、と思われてはいけません。楽しさを追求する姿勢が根底にあれば、顧客が大きく離れることはないと思っています」
引用:Xトレンド
このような思想のもと、チロルチョコは「攻めた」チョコを開発していると言えるでしょう。
1-2. オンラインイベント「チロルMTG」
こちらは、2023年3月時点で、4回開催されており、クイズや食べ比べ、利きチロルなどの催しがなされています。さらには、新商品のプレゼンや紹介などもあり、ファンの満足度が非常に高いイベントとなっております。
これは、ファンから意見を徴収する場にもなっています。
チロルのSNS運用
2-1. SNS運用きっかけの想い
チロルは、SNSとしてTwitterやインスタグラムを運用しています。社長である松尾氏は、「従来のホームページのような一方通行のコミュニケーションだけでなく、お客様と双方向のコミュニケ―ションが取れるツール」としてSNSを運用しようと思ったと語っています。
SNS投稿によって、チロルチョコに触れていただく機会をたくさん作り、またユーザーさんからコメントをいただいたり、それに返したりすることで、チロルチョコのコアなファン/ライトなファンが増えていったらいいなという想いがありました
とも述べています。社長自身で、リプライ等を行うことも、当時はあったそうです。
それ以降、SNSを頻繁に活用できなくなった時期もあったそうですが、若手社員をSNS担当に抜擢したことによって、チロルの「中の人」というようなポジションを築くようになります。その結果として、親しみをもたれるアカウントに成長した、と語っています。
ファンにとっても、親しみのもてるアカウントは共有がしやすい面もあるでしょう。SNSにおいて共有、すなわちリツイートなどされることは、同時に広告として拡散されるという意味をもちます。
2-2. SNSごとの役割
他方で、チロルは他のSNSの運用を行なっていますが、Twitterでは「ライトな関係」を、インスタグラムでは、画像制作に力を入れて投稿を行い、またFacebookではTwitterやインスタグラムで用いた素材を活かしながら運用している、とのことです。
このように、各SNSによる特色を理解し、それにあわせて発信することは、当該SNSの利用者やファンにとって親やすくなるもの、あるいは拡散しやすい投稿になっていると言えるでしょう。
また、松尾氏は以下のようにも語っています。
SNSの価値はファンコミュニケーションができるところだと考えているので、コメント欄を開いて、どういうコミュニケーションができているかはたまにチェックするようにしています。「SNSで買ってほしい」というよりは、「SNSでチロルチョコを知ってほしい」「SNSでチロルチョコを好きになってほしい」という気持ちの方が強いですね。また、そもそも売上はまずは「商品そのものの魅力」で作るべきものだと考えています。
引用:インタビュー記事
すなわち、直接的なマーケティングをSNSを通して行なっている、というよりもむしろ、チロルチョコの商品としての魅力を伝え、ファンをつくることを念頭においている、と換言することができるのではないでしょうか。
このようにチロルは、SNSにおいて、企業とファン、この両者の相互関係を重要視しながら、それぞれのSNSにおいて親しみをもたれやすい工夫をしながら、拡散されやすい投稿を行っているとも、まとめることができそうです。
まとめ
以上、チロルの行なっているファンマーケティング施策を、この記事ではみてきました。
ファンミーティングや、SNSでの運用からもわかるように、商品についたファンを大切にしながら、意見を時には聴取し、商品の魅力を伝えています。
社長が語るように、その本質には『楽しさ』と『面白さ』があるのでしょう。
SNSにおいても、こうした「楽しさ」や「面白さ」を中心に展開することによってファンがより面白く、楽しいと思える構造にしていると言えます。
その商品を買ってもらわなければ、商売としては成り立たないですが、それを度外視した「楽しさ」を提供しながらファンを増やす。チロルはそのようにしてファンを増やし、ファンに支えられているとまとめることができそうです。
トピック: ファンマーケティング
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