CRMとは|CRM施策におけるリファラルの位置づけ
みなさまはCRMという言葉をご存知でしょうか?
このCRM(Customer Relationship Management)という言葉の意味ですが、一般的には「顧客との関係性を管理すること」と訳されます。
サービスや商品の販売促進を行っていく中で取得した顧客情報を分析することで、顧客一人ひとりに最適なアプローチを行うことができ、収益増加につなげることも可能になる、というのがCRMの基本的な考え方になります。
顧客のニーズが多様化したことに伴い、全顧客に対して共通のマーケティング手法でアプローチすることがあまり効果的ではなくなってきたため、今のビジネスでは顧客ファーストな視点で考え、顧客が欲しているサービスや体験を提供し続けることが常に求められています。
今回の記事では、CRM施策がなぜ事業にとって重要なのか?についてお伝えしていきます。
CRM施策におけるリファラルマーケティングの位置づけなどCRMとリファラルの交わりが生み出す効果についてもご紹介していきますので、リファラルマーケティングを取り入れたいとお考えの方はぜひ最後までご覧ください。
この記事でわかること
1.そもそも、CRMとは?
近年、CRMに力を入れる企業が増えてきました。
CRM施策強化によって既存顧客との良好な関係性を構築している企業が増えてきており、良好な顧客との関係づくりが企業を大きく成長させるキーとして日本国内をはじめ、世界全体でも広く認識されています。
日本企業でも昔から、顧客との対話を中心にそれぞれの顧客に合わせたサービスや商品の提供が行われていましたが、インターネットやスマートフォン普及によってその状況は大きく変化しています。
ユーザーは欲しい情報を好きな時にその場ですぐに入手できるようになり、コミュニケーションの速度や質、量が比べものにならないくらいにまで高速化したことで、これまで主流であった企業視点の顧客関係づくり手法が通用しづらくなり、顧客ファーストな視点がより重要視されるようになりました。
例えば、インターネットショッピング市場の拡大があげられます。
顧客は、ありとあらゆる商品を好きな時にすぐ、簡単に購入が可能性になり、サービスを運営する企業側も顧客情報をもとに会員情報の管理やメール配信による顧客接点の活用、顧客ニーズや趣向に合った商品をレコメンドする機能など顧客ファーストな仕組みが多くの企業の成長を支えています。
1.1 施策としてのCRM
CRMには、大きく分けて2つの意味があり、その1つが前段でご紹介した顧客との関係性構築です。
特に、顧客の連絡先や商品・サービスの購入履歴の管理、SNSを通じた情報の発信・やりとりなどより多くのデジタル接点を活用している企業が顧客との良好な関係を構築している傾向にあります。
ここで得た顧客情報の一元化により、顧客理解をさらに深めることができ、その結果として営業活動の効率化のみならず、サービス品質の向上、マーケティング施策、経営戦略の活性化を促していくことができるのです。
例えば、過去の商品購入履歴をもとに顧客セグメントを分けて新商品の告知を行ったり、自社のロイヤルな顧客とその企業とが共創で商品を企画するイベントを開催したりするケースは、業種業態に関わらず増えてきている事例となります。
1.2 ツール・システムとしてのCRM
現在CRMは、ITツールとして認識されるケースも多くなっています。
顧客管理を行う中では、企業の規模が大きくなるほど、顧客数が増えるため、すべての顧客管理情報を正確に管理することは難しくなります。ツール・システムとしてのCRMが登場したことによって、膨大な顧客情報を管理することが可能になり、顧客情報管理や、顧客解析、自社への問い合わせ管理、メールでのイベント告知配信など、業務における無駄や漏れを大幅に削減できるようになりました。
しかし、ツール・システムとしてのCRMは顧客を管理するための仕組みであり、事業目的を達成するための手段の1つにすぎません。
「顧客に合った商品やサービスを提供」して、事業としての成果を上げていくためには、ツール・システムとしてのCRMを導入し、質の高いCRMをどのように最大限活用できるかが重要になります。
2.なぜいまCRM施策に力を入れる必要があるのか?
2.1 既存顧客を大事にすると事業コストが5倍も削減できる
事業効率を上げるうえで知っておくべき重要な法則をご紹介します。
まず1つ目は、1:5の法則です。
新規顧客の獲得には、既存顧客維持の5倍のコストがかかるといわれており、時間やお金を含めた事業全体のコスト削減をするためには、既存顧客の維持が重要となります。
2つ目が、5:25の法則です。
顧客のサービス解約など離反を5%改善することができれば、25%の利益率改善につながるといわれています。この離反率を最小限に抑えるためにもオンライン、オフラインの双方で顧客とのつながりを持ち、対話を実行していくことが重要です。
前の章では、DtoCサービスやサブスク事業を例に挙げましたが、店舗系企業様などオフラインでの顧客接点が多い企業様にとっても既存顧客を大事にすることが事業の安定につながります。
自社のお客様はサービスや商品のどこに満足しているのか?を的確に理解することが既存顧客の離反を防ぐことにつながりますし、CRMの強化なくして自社の顧客満足度ポイントを知ることは難しいでしょう。
大事なポイントとしては、初回購入していただいた顧客に対して、継続購入・2回目の購買行動を促すF2転換を図ることが重要です。
2.2 CRMが弱いと顧客はどんどん離れていく
みなさんの中にもご経験がある方がいらっしゃるかもしれませんが、過去に購入したカバンやくつなど身の回りアイテム、申込をしたサブスクサービスなど商品・サービスを手に入れたときはすごく満足度が高かったのに、いまはそうでもないといった経験はございませんか?
それは、その方がサービスから離れてしまっていることを意味します。
多くの方は契約時や購入時にサービス・商品への期待値や満足度が最も高くなりますが、その後定期的な情報の発信やフォロー連絡などアクションがなければ、時間の経過とともに期待値や満足度は低下していくことはみなさん周知のとおりです。
月額のサブスクサービスであれば毎月顧客との接点があるから問題ないということではありません。
単に公式SNSアカウントがつながっているということ、メルマガを配信していることは顧客接点を活用しているとは言い難いです。
例えば食料品を扱う事業の場合、その食材を使用したアレンジレシピを隔週でお届けするメルマガの配信やユーザー同士がその食材を活用して作った料理を共有できるようなSNSの活用など、また次に手にしたくなるような仕掛けが有効です。
2.3 中長期的な事業成長を支えるベースになる
これまでご紹介した内容からもCRM強化がいかに事業成長において重要であることはご理解いただけたと思います。
しかし、企業内でCRM強化の概念的な重要性を理解していても、実際のどのような準備・マインドセットが必要であるのかや何から始めればよいのかについては、まだ明確でない方も多いはずです。
以下でCRMが強化されている企業とそうでない企業の違いについてご紹介します。
チェックリスト形式でご紹介しておりので、ぜひみなさまの事業のCRM強化レベルをご確認ください。
みなさまの事業はいくつの項目が当てはまったでしょうか?
チェックリストリストでも示されている通り、事業の成長はCRMの強度と密接にかかわっていることに加えて、いかに顧客ファーストなサービスを提供しているかが重要です。
これは紹介施策を行う際にも当てはまることであり、良好な顧客との関係構築が顧客に「このサービスは友達・家族に紹介したい!」と思わせるきっかけとなります。
3.CRMメリット・デメリット
ここで一度、CRMのメリットとデメリットをおさらいしていきましょう。
CRMのメリットは下記3つが代表的です。
CRMのメリット3つ
3.1 自社にとってのロイヤルな顧客が増える
自社のファンとなるロイヤルな顧客を増やすためには、顧客満足度の高い商品・サービスの体験を提供し続けることが大切です。また、それに加えて大事なことは、顧客ファーストな視点で自社サービスを見直しを図り、その体験を絶えず改善することです。
顧客満足度が高いという事業にとって理想的な状態をつくるためには、前提としてCRMの質が問われます。
顧客自身が感じる商品・サービスへの満足度が高いほど紹介や口コミなどによってもサービス認知が自然と広がっていきやすいです。
まずは、自社のファンが新たなファンを呼ぶ仕組みづくりをCRMの強化によって構築していきましょう。
3.2 顧客の声に応えた商品・サービスづくりができる
顧客との関係性が良好であるほど相互的なコミュニケーションが生まれやすい傾向にあります。
相互的な顧客とのコミュニケーションの中では、顧客の商品・サービスに対する満足度や期待度、改善すべき点など商品・サービスづくりを行う上で非常に価値のあるリアルな顧客の声に触れることができます。
例えば満足度アンケートは最適な施策です。
顧客の声を吸い上げる目的として多くの企業ですでに利用されている施策ですが、意外と活用しきれていない企業様も中にはいらっしゃいます。
満足度アンケートで効果的かつ質の高い声を抽出するためには、アンケートを投げかけるタイミングも非常に重要です。顧客が商品・サービスの利用を開始してから数日後のフォローアップ、美容サロンなどの場合は施術終了後すぐでのお声掛けなど企業様によって最適なタイミングは異なりますが、CRMを強化されている企業様はこのようなコミュニケーションを徹底されています。
3.3 事業全体のPDCAサイクルが加速する
CRM強化によって蓄積されたこれまでの顧客情報から、顧客の好みや効果が高かった施策の内容を分析して、事業プロセス全体を改善するPDCAサイクルを生み出すことができます。
取得できたデータを効果的に活用することで、以前よりも顧客ファーストなアイデアが生まれたり、事業成長に直結するマーケティング施策とそうではない施策の切り分けが容易になったりと事業活動が効率化することもCRM強化における大事なポイントです。
CRMのデメリット3つ
CRMは万能ではないためデメリットも中には存在します。
CRMのメリットは下記3つが代表的です。
3.4 成果が見えてくるまで時間がかかる
CRM強化の目的として、顧客満足度の向上や顧客ロイヤルティの醸成・維持といった点があるため、施策効果がすぐに現れにくいという面もあります。
CRMは、事業の中で定着することで初めて効果が表れてくるものですが、CRM施策を開始してすぐは業務プロセスや事業体制のの見直しなど各方面での調整期間が必要です。
効果が表れるという面での即効性が低いため、施策強化にためらってしまうご担当者様も少なくありませんが、目的に沿った施策運用や外部からのノウハウ提供を活用することで施策定着までのスピードを速めることも可能です。
時間はかかりますが、目的としては中長期的な事業の安定といったところになりますので、自社に合った施策の下で体制を構築していくことが重要です。
3.5 定期的に施策をアップデートする必要がある
施策を継続している中では、次第に効果が表れ始めるものもあればそうでないもの、手が回らず運用しきれないものなど企業様それぞれの課題が見えてきます。
そのため、施策成果の比較を行うことが必要ですが、施策を運用できるだけの体制が整備されていない場合、施策のアップデートやメンテナンスに対応しきれず、CRM施策が社内で端っこの施策へと移動してしまうことも多々ありますし、成果として見え始めてもその施策をどのように評価すべきかが指標として分からないと画一的な施策となり、結果的には施策が機能しなくなってしまいます。
顧客との良好な関係を維持するためには、施策成果をどのように評価し、次の施策へとつなげていけるかがポイントになります。より精度を上げた施策をやるためにはSTP(セグメント、ターゲティング、ポジショニング)を考えたうえで、顧客全体に対する施策ではなく、より細かいグループに対する施策を実行するのがおススメです。
3.6 CRMツールの導入、運用にはコストがかかる
社内での運用負荷や工数を懸念し、CRMツールの導入を検討される企業様もいらっしゃるかと思いますが、サービスによってかかるコストは異なるものの、高機能で高速処理、データ容量が大きいシステムサービスほどコストがかかります。
また、CRMツール導入によってデータの整理や格納に幅が出ますが、CRM施策は運用が肝であることを忘れてはいけません。
まずは、自社での運用で顧客情報をインプットし、情報を活用したアウトプット(顧客へのアプローチ)を行うことができるかを検討する必要があります。
ただし、顧客母数が増えれば増えるほどCRMツールを利用した施策の効率は上がってくるでしょう。前述のとおり、既存顧客に購入していただくのと新規顧客に購入してもらうのでは5倍以上効率が変わってきます。
4. CRM施策におけるリファラルの位置づけ
4.1 CRMとリファラルの組み合わせが生む相乗効果
質の高いCRM施策を実行している企業はリファラルを行うとよりCRMを効果的に事業成果に活用できますし、リファラル施策を行っている企業はCRM体制の強化をなくしては、施策効果を発揮しきれないまま終わってしまうということも考えられます。
下記でご紹介しているようなCRMとリファラルの2つのループを継続的に回し続けることがCRM施策とリファラル施策の双方において重要となりますし、顧客との良好な関係構築と効果的な集客施策が同時に行われますので、新規顧客を獲得しつつも、顧客が全然離れていかない事業体制を作り上げることが可能です。
リファラルマーケティング成果を試算する際には、CRMの質の高さや顧客満足度の高さが判断材料となることが多いです。
紹介をデジタル化することで、その場ですぐに家族や友達に紹介をすることが可能になりますが、必ずしも全員が紹介キャンペーンを認知したその時に紹介をするとは限りません。
顧客との接点を大切にし、紹介ニーズが発生したタイミングで紹介キャンペーンの存在を思い出してもらえるような仕組みがあるとより高い成果を期待できるでしょう。
4.2 質の高いCRMとリファラル施策で集客を活性化
CRM強化により、顧客との良好な関係を構築することで顧客のサービス利用回数やサービスそのものの改善を行い、顧客に対して新たなサービスを提供することができます。
リファラル施策には、確度の高い顧客をコストを抑えながら効率よく獲得できるというメリットがあります。
しかし、単にリファラル施策を取り入れても紹介が自然発生するというわけではありません。顧客に紹介アクションを促すためには、サービス満足度が高いこと、いかに顧客のニーズを理解しているかが大きく関係しています。
例えば、どのような紹介キャンペーンが顧客に受けるのか、顧客が喜ぶキャンペーン特典は何か、どのSNSツールであれば紹介が気軽にできそうなのかなど、探るべきポイントはたくさんあります。
効果的な顧客数増加に寄与しているリファラル施策ですが、質の高いCRMが自社で整えられていると、より事業インパクトが大きい集客施策となり、事業の中長期的な成長を後押しするものとなります。
5. CRM強化とリファラルを合わせた集客成功事例
5.1 トイサブ!株式会社トラーナ様
「顧客ニーズに沿ったサービスにリファラルを活用」
トイサブ!は、お子様の成長に合わせたおもちゃ・知育玩具を、定期的にお届け・交換する新感覚の定額制レンタルサービスです。
お客様のニーズ(年齢、発達、住環境や既にお持ちのおもちゃ)に合わせて個別にプランニングしてお送りしているという点がリファラル施策の成功ともつながる重要なポイントです。ウェットな人と人とのコミュニケーションを大事にしつつ、20万件以上のおもちゃ満足度データを元に、お送りするおもちゃをプランニングしているため、お客様の満足度も非常に高く、リファラル施策開始から継続してコンスタントなCVを上げていらっしゃいます。
株式会社トラーナ様の事例インタビュー記事はこちら
https://s.creativehope.co.jp/invy/blog/interview_toysub
5.2 学習塾様(県内全6教室、匿名ご希望)
「顧客を引き付けるユニークな特典」
地元の小・中・高校生を対象とした地域密着型の学習塾を展開(県内全6教室)される匿名企業様の事例です。
生徒様そして保護者様からも非常に高い口コミ評価を獲得しており、お客様との接点を大切にされている企業様です。
リファラル施策開始に伴い、教室内外やオンラインとオフラインの双方で10種類以上の方法で告知を行い、お客様とのコミュニケーションから得た声をサービスの質やキャンペーンの向上に活用されています。
また、お子様が喜ぶ特典を設定したいという想いからアイスクリームギフト券を紹介キャンペーンの特典とし、キャンペーン実施がさらにお客様との良好な関係を構築・維持するような仕組みとなっており、講習シーズンをはじめとした集客に効果を実感いただいております。
当学習塾様の事例インタビュー記事はこちら
https://s.creativehope.co.jp/invy/blog/interview_gakushujyuku
6. invyのサービス紹介
私たちは、あくまでinvyのシステムは提供するサービスの一つだととらえています。デジタルマーケティングのコンサルティングを20年以上する中で、重要なのはいかに改善してグロースハックするかだと思っています。
まだ自社のCRM体制が整っていない企業様でもすぐにリファラルマーケティングを開始いただけるプランもご用意しておりますので、貴社のビジネスモデル・ブランドに合わせたリファラルマーケティングの在り方を具体的に検討しましょう。
貴社システムを利用してのリファラルマーケティングのご支援も可能です。お気兼ねなくお問い合わせ頂けましたら幸いです。
より詳しく学ぶためのEbookや映像コンテンツをご用意しています。
リファラルマーケティングをより深く・詳しく学んでいただくためのEbookやコンテンツをご用意しております。気になるタイトルをご選択の上ご活用いただけましたら幸いです。
https://s.creativehope.co.jp/invy/ebook_index
最も読まれている記事
2020.05.27 Hiroo Fujii
お友達紹介キャンペーンをしっかり強化すべき理由
2019.04.01 Hiroo Fujii
累計750,000の紹介を誘発するリファラルマーケツールとは?
大事なポイントはリファラルコミュニケーションのデザイン。オンラインだけでなくオフラインも最適化することで紹介経由の顧客獲得が4倍に。
詳しくはこちら>>2020.05.29 Mio Tomiyori