2024.09.13
【独自データ公開!】近年の消費者行動モデルから見る紹介の有効性とは?自社の調査データを「DECAX」を用いて分析
インターネットの普及に伴い、消費者の購買行動はますます複雑化しています。
そんな中、信頼できる友人や家族からの「紹介」が購買決定に与える影響が大きくなりつつあります。
invyが実施した独自調査でも、友人からの紹介の方が他の情報源よりも信頼できるという結果が得られました。
この記事では、弊社独自のアンケート調査結果をもとに、購買行動モデル「DECAX(デキャックス)」を使用して、紹介が「DECAX」の各ステージで、どのような役割を果たすのか?ビジネスにどのように活用できるか?を詳しく解説します。
1.「DECAX」とは?
「DECAX」とは、2015年に電通が提唱した、インターネットが発達した現代において、消費者の意思決定のプロセスに効果的にアプローチするための購買行動モデルです。
インターネットやSNSの普及により、情報は「企業が提供するもの」から「消費者が発見するもの」へと変わりました。DECAXはその消費者行動を反映し、以下の5つのフェーズから構成されています。
Discovery(発見)
消費者がブランドや製品を初めて知る段階。
SNS広告や検索エンジン広告、口コミなどを通じて製品の存在を認識します。
Engage(関係構築)
発見後、消費者がブランドや製品に対する興味を深め、ブログやオウンドメディア、YouTubeなどのメディアやSNSを介して、情報を集める段階。
企業が消費者と積極的に関わり、関係を構築する段階でもあります。
Check(確認)
消費者が関心を持ったブランドや製品について、購入や利用を検討する段階。
ここでは、消費者は口コミやレビュー、比較サイトなどを通じて、製品の価値や信頼性を確認します。
Action(行動)
消費者が実際に購入やサービス利用のアクションを取る段階。
オンラインストアでの購入や、店舗での実際の購入がこれにあたります。
Experience(体験と共有)
消費者が製品やサービスを実際に体験し、次回の購買行動や他者への推薦に直結する段階。
満足した消費者は、SNSや口コミを通じてその体験を共有することが多く、新たなDiscoveryフェーズを生み出す段階でもあります。
このモデルと従来の「AISAS」や「AISCEAS」との異なる点は、「Attention(注目)」ではなく「Discovery(発見)」を最初のステップとする点です。
AISASやAISCEASでは、消費者が最初に広告などで注目を引くことから始まりますが、DECAXでは消費者が自ら情報を発見し、行動を起こす点に焦点を当てています。
この違いが、現代のコンテンツマーケティング時代における消費者行動をより的確に反映しています。
2.自社独自調査公開!「紹介」を用いたDECAXに対応する施策とは?
ここまで消費者行動モデル「DECAX」について解説しました。
では、紹介経由によって商品を購入した消費者はどのような購買行動を起こしているのでしょうか?
ここからは、弊社独自の調査「知人からの商品紹介と購買心理」の結果を基に、DECAXの各段階における企業の対応策について解説します。
2.1 【Discover・Engage】商品選びに疲れた消費者たち
企業が情報発信することで消費者に商品を発見してもらい(Discover)、そこから消費者の製品やサービスに対する関心を深める(Engage)。この2つの段階は、「紹介」という手段を使用することによって、消費者にとってはより自分のニーズに合った発見、企業にとってはより確度の高い消費者との関係構築が実現します。
※
近年、商品の選択肢が増える中で、消費者は商品選びに疲れを感じることが多くなっています。調査によると、「あなたは最近、商品選びに疲れたと感じることはありますか」という質問に対して、約50%の人が「とてもある」「ややある」と回答しています。
このような状況下で、友人から商品を「紹介」してもらうことは、消費者が自分の目的に合った商品をいち早く見つけるための有効な手段です。さらに、友人からの「紹介」は情報の信頼性も確保できるという大きな利点があります。
実際、調査では約67%の消費者が「ネット上の口コミよりも知人からの紹介を信頼する」と回答しています。商品選びに疲れた現代の消費者にとって、知人からの「紹介」は安心して選択を行うための重要な手がかりなのです。
以上のことから、このDiscoverとEngageの2つの段階では、紹介を促進させる取り組みが有効でしょう。
・紹介しやすいキャンペーンの設計
・定期的な告知
特に以上の2点を意識し、消費者にキャンペーンの存在を広く知ってもらい、参加しやすい体制を整えることで効果的にキャンペーンを運用することができます。結果として、意思決定プロセスがスムーズになり、満足度の高い購買体験につながる可能性が高まります。
※
2.2 【Check】知人からの商品紹介に対する反応はポジティブ
Check段階は、消費者の購買決定プロセスの重要な転換点です。ここでの企業の役割は、信頼できる情報を提供し、消費者の不安を取り除くことです。
「ネット上の口コミよりも知人からの紹介を信頼する」と回答した67%の消費者は、その理由として、「直接的な経験や評価があるから」「共通の好みやニーズがあり、自分にも合っている可能性が高いから」などを挙げています。
※
以上の結果から、Check段階では企業は友人への「紹介」を促す施策として、以下の3つが挙げられます。
・商品の詳細情報を分かりやすく伝えること
・他の顧客の声を紹介すること
・実際のユーザーによる体験談を活用すること
加えて、紹介者が商品やサービスを紹介する際の言語化をサポートする施策として、商品・サービスの「おすすめポイント」を提示することも効果的です。
2.3 【Action】購買を後押しする紹介プログラム
実際の購入に至るAction段階では、消費者は「どこでどうやって買うか」「お金をどう払うか」を決めて、最後の判断をします。
紹介経由のAction段階は、受注率が高く、購入検討時間が短いという特徴があります。これには3つの理由があります。
①友人からの信頼性の高い情報が背中を押してくれるから
②自分のニーズにぴったり合っていることが多いから
③特典が付与される紹介キャンペーンでは、通常よりもお得に商品を手に入れられるから
以上の理由を最大限に活用し、消費者の購入をスムーズに進めるため、企業側はAction段階で以下の3つのポイントを押さえましょう。これにより、紹介経由の購買をより促進することができます。
・シンプルな購入フロー
・様々な支払い方法の用意
・消費者にとって魅力的な特典の用意
この段階での体験は、消費者と企業の良い関係を作るためのカギとなります。ここでは、消費者に「また購入したい」「友人に紹介したい」と思ってもらえるような体験の提供を意識しましょう。
紹介したくなるキャンペーンとは?魅力的な紹介プログラムの条件を詳しく解説>>
2.4 【Experience】知人から紹介された商品への愛着・紹介の連鎖
Experienceは購入した商品・サービスを体験して、その体験をSNSなどでシェアする段階です。
紹介を通して商品を購入した消費者は、初回購入後に継続利用する傾向にあります。
加えて、調査では約53%の消費者が、知人から紹介された商品やサービスを他の知人にも紹介したいと回答していることから、自ら別の友人にその商品を紹介したり、自分の体験をSNS上で共有したりと、新たな「紹介の連鎖」を生み出す傾向もあります。
これらのデータは、知人からの紹介が一過性ではなく、持続的な影響を持つことを示しています。良い商品やサービスは自然と他の人にも紹介され、長期的に使用されます。
この連鎖的な紹介プロセスによって、新たな顧客が商品を発見(Discovery)する機会を増加させ、ブランドの認知度と信頼性・満足度を高めながらよりよいビジネスサイクルを実現します。
※
以上の解説から、知人からの紹介による購買行動は、DECAXと密接に関連しています。信頼できる情報源としての知人の推薦は、商品発見から関心の引き付け、購入、共有、そして継続利用に至るまで、消費者行動に強い影響を与えます。企業はこれらのプロセスを理解し、戦略的に活用することで、効果的なマーケティング活動を展開することができます。
3.紹介キャンペーンを活用した事例紹介
では、紹介と消費者行動モデルDECAXをどのようにしてマーケティング手法に取り入れることができるのでしょうか。
今回は、キッコーマンこころダイニング様の紹介キャンペーンの事例と共に解説を行います。
「発酵のある暮らし」をコンセプトに腸活ごはんやしょうゆもろみ等、調味料の通販事業を展開するキッコーマンこころダイニング様は、紹介キャンペーンを通じて新規顧客を効率的に獲得することを実現しました。
この紹介プログラムの成功を支えた要素は2点あります。
①紹介プロセスが簡単であること
②特典内容が明確で魅力的であること
これらの要素は、DECAXモデルのDiscover、Engage、Actionの3つの段階と密接に関連しています。
「①紹介プロセスが簡単であること」はDiscover・Engage段階で、紹介アクションへとつなげる取り組みとして機能しています。さらに、この段階ではより多くの人に紹介キャンペーンの存在を知ってもらうため、キャンペーンの告知にも力を入れています。例えば、LINE公式アカウントのリッチメニューに「友達紹介」ボタンを設置したり、メールマガジンでの告知を施策として行っています。
キャンペーンの告知にも力を入れています「②特典内容が魅力的であること」はAction段階で、被紹介者の商品・サービスの購入を後押しする取り組みとなっています。
加えて、その他の段階に対するアプローチも行っています。
自社サイトで自社商品を使用したレシピを共有する場を設け、定期的なイベントを開催することで、消費者との関係を深めています(Engage)。これにより、消費者は質の高い商品の検討(Check)や体験の共有(Experience)ができ、企業への信頼性を高めることができます。
以上のように、キッコーマンこころダイニング様はDECAXの各段階で適切な対策を行うことによって、顧客の紹介活動が活発化し、結果的に短期間で多くの新規顧客を獲得することができました。
4.さいごに
ここまで、自社の独自データを用いて、消費者行動モデル「DECAX」を使用して紹介の有効性について分析しました。
「紹介」は、消費者が商品を発見し、そこから体験を共有するまで、信頼性の高い情報や高い受注率、継続利用の促進など、の各ステージで、強力な影響を持ちます。企業はこの紹介の力を活かし、DECAXの各ステージに応じた戦略を立てることで、効果的なマーケティングと持続的な顧客関係の構築が可能となります。
しかし、現時点で「紹介」を通した消費者の購買行動を理解し、アプローチできている企業はごくわずかです。
弊社のリファラルマーケティングクラウドinvy(インビー)では、紹介キャンペーンの設計・企画、紹介ページの作成のご提案、そして運用から改善まで一気通貫で貴社の紹介キャンペーンの成功を全面的にサポートいたします。
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※調査概要 調査名:知人からの商品紹介と購買心理 調査方法:インターネットリサーチ 調査日時:2023年8月7日 回答数:112 |
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