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アニメファンを魅了するMAPPAのファンマーケティング戦略

MAPPAのファンマーケティングはなぜ注目されるのか?

株式会社MAPPAを、皆様はご存知でしょうか。MAPPAは、2011年に設立された、アニメや映画等の企画・制作を行なっている会社です。また、アニメ制作だけではなく、アニメの関連グッズ等の販売も行なっています。
 
代表作としては、後述しますが、片渕須直監督の『この世界の片隅に』、またアニメ制作として『うしおととら』や『ユーリ!!! on ICE』、『賭ケグルイ』、近年では『呪術廻戦』や『進撃の巨人 The Final Season』の制作にも携わっています。
 
アニメ制作を中心にしている会社と紹介をすると、BtoBが中心と思われるかもしれません。しかし、アニメ関連のグッズ販売などを通して、BtoCも行なっています。また、アニメ制作に関しては高い技術力が評価されるとともに、ファンの間では原作を忠実に再現し、迫力ある映像にしているという意味において人気も高いのです。つまり、その技術力が評価されることによって、制作会社であるMAPPA自体にファンがつき、またそうしたファンを狙いながら他企業からの依頼がくる、という循環があります。
 
この記事では、そうしたMAPPAの取り組みを、実際の作品とともに紹介していきます。

 

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クラウドファンディングも利用した作品『この世界の片隅に』

MAPPAを語るうえで、『この世界の片隅に』という作品は、欠かせないものと言えるでしょう。『この世界の片隅に』は、原作はこうの史代、映画は片渕須直が監督・脚本をつとめ、2016年に公開されました。
 
この作品を、ファンマーケティングの記事で取り上げるのは、クラウドファンティングが関わっているからです。ただし、制作費のほとんどをクラウドファンディングでまかなった、というわけではありません。

 

1-1. シェアしたくなる体験を返礼品に

クラウドファンディングのページには以下のような記載があります。

劇場用アニメ映画『この世界の片隅に』の公開実現に向けて応援してくださる「制作支援メンバー」を募集しています。この映画は、準備作業に4年を費やし、シナリオ・絵コンテが完成したところまで辿り着きました。集まった資金は、作品をこの先のステップに進めていくためのスタッフの確保や、パイロットフィルムの制作に使わせてください。

こうしたクラウドファンディングの出資者には返礼品として、2160円(税込)のコースでは、支援メンバー証としての缶バッジと、制作過程進捗の報告、また登場人物からのハガキが届きました。5400円(税込)のコースでは、2160円のコースの返礼品にくわえ、片渕監督が中心となった「制作支援メンバーミーティング」において一部先行上映を観ることや、裏話が聞けるように設定されていました。さらに、10800円(税込)以上のコースになるとエンドロールに名前が載るようになります。
返礼品と、作品自体の魅力もあいまって、サポーター数は3374人、金額は目標金額である21,600,000円を大幅に上回る、39,121,920円も集まりました。
これは、当時の映画クラウドファンディング最高額でもあったそうです。
 
また、返礼品ともなった制作過程の進捗報告によって、ファンがその都度映画の情報をSNSや口コミなどで拡散するに至りました。これはクラファンで集まった原作・監督自身のファンに対して、ついシェアしたくなる体験を提供できたことが成功につながったと思います。
結果として、映画は大ヒットしロングラン上映、観客動員数は210万人以上、興行収入は27億円以上にもなりました。
そして、その後には長尺版の公開にもつながりました。

 

1-2. ファンと共同制作という意識の創出

さて、クラウドファンディングによる成功例としても挙げられることの多い映画『この世界の片隅に』。アニメファンは、ファンとしての熱量が高く、グッズなどを多く買うことでも知られています。
そうしたことを踏まえて、『この世界の片隅に』のプロデューサーである真木太郎氏は、映画のヒット後に以下のように語っています。

「アニメや映像業界でお金が集まりやすい作品は、特定の方程式に乗っていて、同じような作品になってしまう。世の中にない作品にはお金が集まりにくいが、実はそれこそがユーザーが見たがっているものではないか」

引用: https://www.itmedia.co.jp/news/articles/1704/14/news066_2.html

配給会社等がなかなか冒険できないものであっても、こうした企画によってその需要が周知されるということもありそうです。
くわえて、クラウドファンディングによって自らの名前がエンドロールに載るということがあれば、出資者、すなわちファンはすすんで作品の情報を出すことにもつながります。そうしたファン心理をくすぐるようにして、制作情報を出すという点も戦略的と評価できます。

 

アニメ『チェンソーマン』(原作:藤本タツキ)

このようにして、作品ではなく、自社のファンを多く集めたとも言えるアニメ業界では異例のMAPPAですが、近年では大手アニメ作品も手がけています。

それらのアニメ作品はもちろんクオリティが高く、ファンの間でも話題となっています。アニメ作品は、原作に漫画があるものがほとんど。そのため、原作をどこまで忠実に再現しているか、また静止画である漫画から映像・動画であるアニメーションにするにあたって、どこまで違和感がないのか、さらにはキャラクターの音声、BGMなどを含めて、原作のファンからはそのクオリティが厳しく評価されます。
先にも述べたように、原作ファンは、作品への熱量が高い傾向にあります。そのため、再現度やクオリティに関しても厳しい目で見ます。

下記は、MAPPAが制作したアニメの一例です。錚々たる作品が並んでいます。

  • 呪術廻戦
  • 進撃の巨人
  • チェンソーマン
  • Days
  • 地獄楽
  • とんでもスキルで異世界放浪メシ

そうした中で、近年注目されているのが、アニメ『チェンソーマン』です。『チェンソーマン』は、藤本タツキによる漫画で、2019年から『週刊ジャンプ』にて連載されていました。この作品をアニメ化するにあたって、MAPPAが100%出資を行なっています。これは、MAPPAにおいて初の試みであると社長の大塚学氏は語っています。
そのため、『チェンソーマン』を題材にした企画やグッズ販売も同時並行的に執り行うことができ、そうした企画等にも高い評価がされています。

MAPPAでは、チェンソーマンのグッズを多数販売していますが、それらの多くは実際のアニメで使われたシーンです。印象的なシーンを販売できる、ということは会社にとっても強く、またファンにとっても魅力的です。
こうした製作だけでなく、「自分が作品のファンだったら…」というマーケティングの基本の当事者意識を持った取り組みが評価され、いまではアニメ作品自体ではなく、制作会社であるMAPPA自体のファンがつくほどになっています。

 

まとめ

以上、この記事では株式会社MAPPAの取り組みをみてきました。
 
映画『この世界の片隅に』という、クラウドファンディングの成功例を紹介しました。クラウドファンディングは、ファンが多くいるということ、需要があるということが明確になるものでもあります。そうしたファンが、SNSや口コミで発信したくなるような情報、返礼品を用意することによって、確かな地盤が作られ、映画はヒットしたと言えるでしょう。
 
もちろん、ヒットしたのはそれだけが理由ではなく、ファンの期待を超える作品を作ることが出来る確かな技術力があってこそ。そうした技術力が評価され、スタジオ自体にファンがつくまでになりました。
また、アニメ『チェンソーマン』では100%出資を行なったことによって、独自のグッズなどを展開できています。印象的と思う場面がグッズになる、ということはファンにとっても嬉しいでしょう。
 
アニメ作品は、ファンの熱量や意識が高いジャンルでもあります。そうしたファンを納得させる、あるいは納得以上のものを提供する技術力と、そうしたファンへ向けた優れたメッセージ性をMAPPAはもっているとまとめることができるのではないでしょうか。


トピック: 紹介キャンペーン事例, ファンマーケティング

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