紹介営業ではどういう特典・インセンティブ設計をすべきか?
紹介営業においてより成果を上げるためには、動機付けとなる特典設計が重要です。サービスやターゲットによっては、特典なんて不要!という場合もありますが、必ずしも特典はお金や金券である必要はありません。
大事なポイントは、「顧客の心をいかに動かすか」です。
そのためにも「特典」という武器をいかに使うかが紹介営業の成功における一つの秘訣になります。
今回は、紹介営業で紹介者・被紹介者・営業に渡す特典(インセンティブ)についてお話させていただきます。
紹介営業において用いられる一般的な特典の種別
他社商材での特典提供
・アマゾンギフトなどの金券
メジャーなところだと、ECなどでの支払いに使えるとアマゾンギフト(amazon)やクオカード、Vプリカギフト(visa加盟店で使える)などです。他にもプレイステーションやニンテンドーなどのゲームプラットフォームで使えるものやApp Store&iTunesで使えるデジタル商品券があります。これらのデジタル商品券は、まず利用機会が多いものほど企業に好まれる傾向にあります。デジタル商品券を企業で利用する場合、購入にあたっての予算管理(ものによっては下限金額を上回る購入が必要)やデジタルコードの在庫管理の仕方を工夫する必要があります。
・物品プレゼント
物品プレゼントだとよくあるのは、抽選キャンペーンでXXXプレゼントというパターンです。紹介アクションに応じて当選の口数が増加するような仕掛けにすることで紹介機会を誘発することも可能です。ただし、その物品が顧客にとって魅力的かつ関連性があるものであることがとても重要です。
すべての人にプレゼント形式の場合だと、その物品の値段ではなくて顧客マッチする提案がうまくいきます。例えば、学習塾などで体験授業参加でアイスクリーププレゼントなどは、顧客心理をついた特典設計であると考えます。
・他社のマイル・外部ポイント
ポイントプログラムが自社でない場合だと、楽天ポイントやLINEポイント、はたまた航空業界のマイルなどを特典として提供する場合もあります。自社ポイントだとそもそものそのポイント自体が何に使えるかが明確でないとそのポイントを欲しいと思わないですし、各社色々あるポイントを個別管理するのは顧客体験としては手間になります。そういったときに利用者が良く使われているポイントなどを把握してポイントバックするのは良いでしょう。
・体験サービス
紹介に応じて、宿泊券や利用券など体験サービスを特典とする場合です。その内容が特別な体験であるほど、顧客にとって魅力的なものとなるでしょう。例えば、船で行く!八丈島旅行チケットプレゼントで自社が提供するカメラなどのサービスを使ってコンテンツづくりをしてねというつながりがあると、とても魅力的に映ります。
自社商材での特典提供
・自社商材の初期費用割引
サブスクリプションサービスなど利用にあたってかかる費用を割り引くモデルは、初回の購入障壁を下げる良い仕組みです。初回の利用を割り引くことで体験を優先して、継続してもらうようなアプローチです。こちらでの大事なポイントは、初回利用が起こることで◯%が継続するというロジックがわかっていることです。
・自社クーポン・自社サービス特別プラン
自社クーポンを利用される企業様では、自社サービスの初回利用をより豊かにする、より良いプランとして提供する場合に利用されるケースが多いです。こちらの場合は、複数回での割引やオプション割引などをすることで初回売上での利益を落とさずに顧客獲得する場合に用いられます。オプションをうまく組み合わせることでよりお得に見せることが可能です。
・自社ポイント
自社ポイントは、ECサイトや会員サイトなどを保有しており、定期的に物品購入が発生される企業様でよくご利用されます。そのポイントを集めることで限定グッズが手に入ったり、割引で商品が買えたりと、利用用途が限定されるものの、そこでしか手に入らないモノなどロイヤルティが高い商材・サービス程有効な施策となっています。例えば、500ポイントでブランドロゴが入ったマスクなど自社グッズと組み合わせることで2回目以降での購買を誘発させることが可能です。
・現金キャッシュバック
現金キャッシュバックでよくあるのが、不動産での紹介など契約金額の◯%を紹介料として支払うものです。より契約金額が高い商材などでの紹介においてよく用いられます。お客さんを紹介してもらったお礼に、紹介料を支払った場合には、原則として、交際費に該当するようです。
(1)情報提供が業務かどうか
不動産の仲介業者のように、紹介をすることが業務となっている業者に支払った紹介料は、交際費には該当しません。しかし、以前に家を建てたお客さんが、友人を紹介した場合のように、一般の人や会社が紹介をしてくれた場合には、いろいろな制約が出てきます。
(2)支払い基準の公表が重要
紹介料の支払いには、事前に契約書を交わしておく必要があります。しかし、紹介プログラムで行う場合には、全ての人と契約書を結ぶことは現実的に不可能です。そのような場合では、事前に、紹介料の支払い条件を公表してばOKです。チラシ等の広告、DM等の文書を出したり、ポスター掲示したりする方法があります。
(3)支払額が妥当であること
紹介料の支払額が、紹介行為の内容に対して、妥当な金額である必要があります。支払い相手によって紹介料の金額が増減したりしないようにする必要があります。支払い条件が、契約額の何%というような場合には端数処理は、調整可能範囲になります。
実際にはどういった特典が選ばれているか?
・自社特典を好む傾向がみられる
下記のグラフは、invyを利用される企業の中でも営業プロセスが存在する企業数10社の特典をグラフ化したものになります。やや自社特典を選ぶ企業が多い傾向があります。特に自社サービスの初期費用割引や自社クーポンなどを提供する企業が、39%ほどと多い傾向にあります。その次に多いのが、アマゾンギフトなどの商品券をギフトとしている企業です。
・自社サービスに関わるものの方が社内承認を得やすい?
調査前は、アマゾンギフトなどの金券や現金キャッシュバックなどが多いのかと思っていたが、近年では特典に業界で規制をかけていることもあり、企業によっても特典として利用できるものを限定しているケースもあります。そういう中でも自社商材の利用をより促進する特典や紹介顧客専用のプランなどを用意したりすることでお得感や限定感を演出することもあります。
そこには、紹介営業を科学する企業だからこそ、紹介経由の場合のみ最安値を提案するなど顧客獲得経路として提案プランをよりリッチにする戦略が見え隠れします。
顧客だけでなく営業への特典(インセンティブ)
・紹介営業に合わせて作りたい営業・社員特典制度
現在、中途採用において、リファラル採用などが活発的に行われるようになっています。その背景には、人材獲得費用の高騰や獲得後の退職リスクなど鑑みると、リファラル採用(社員紹介制度の導入)の方が効率的だからです。こちらの場合は社員からの紹介により入社した社員が出た場合、紹介した社員に対し報奨金を支給します。報奨金の額は企業に依るかと思いますが、10万円から20万円などポストに応じて支払われています。それくらい採用が難しい世の中になっているというのが今の実態です。うーん厳しい!
何が言いたいかというほど、私自身、顧客接客の中で紹介営業も同じようなことが言えるのではないかと思っています。営業スキルが高い方は基本的に顧客のことを考えられ、高品質の対応ができる方多いです。だからこそ評価されていますし、成績も残しているのだと思います。そういった優秀な人材を自社から失わないようにするためにも、紹介制度においては関連する営業スタッフへの特典を返すことを忘れないほうが良いと考えています。
特典は、必ずしも現金である必要はないとは思いますが、そういった一工夫がアナログではなくデジタル管理がされ月次・四半期など成果として情報共有がされることが営業スタッフの皆様にとって喜びにつながるのでないかと思います。
・紹介営業に合わせて図りたい顧客満足度
紹介誘導する前に顧客満足調査やアンケートを実施してみましょう。顧客満足度が高ければその話題から紹介へ誘導できますし、逆に低ければ改善ポイントを引き出せます。紹介と満足度には相関関係が存在しています。
顧客満足をとることでそのコメントや評価に営業改善のエッセンスが詰まっています。特に、顧客満足評価が低いのであれば、その理由を確認することが重要です。
ここについては、「紹介キャンペーンの成功と「本当の」顧客満足度との深すぎる関係」の記事を参照いただけるとより理解が深まると思います。
ともかく特典管理はデジタル化した方が良い
・紹介営業においてその仕組み化が成果を上げるためキー
ここについては、「紹介営業のコツ」の記事を是非ご覧いただきたいですが、具体的にどうしたらテコ入れポイントとしては、まずは紹介制度自体の「仕組み」化です。なぜなら、そもそも改善効果を計測する「仕組み」がなければ、成果が上がったかどうかは評価できないからです。紹介営業をより活性化させるためには営業マン・お客様・本部でつくる紹介営業の仕組み化がとても重要です。
・紹介を促進するためのノウハウとシステムの存在
営業個々人が紹介営業をかけやすいようにまず「仕組み」を作るのは、本部の仕事です。
まずできることは、成果計測のデジタル化です。営業ごとの紹介成果や、紹介特典の受渡しをアナログに手集計・エクセル集計していたところを、デジタルで代替することからスタートです。
先に記載した通り、紹介営業の成果をデジタルで取得したデータの可視化することは、紹介営業を底上げする上で最低限必要な整備です。また特典のお渡しが必要な場合は、デジタルギフトを利用することで、在庫から発送など一連の流れで発生するコストや特典お渡しの手間などをカットする仕組みを作ることも可能です。
すべてを自動化することはなくても、まずはデジタルで「現状を把握できる土台」をつくることが大切なのです。
仕組みを変えるのは今がチャンス。
コロナ禍でも営業成績が上がる企業と上がらない企業。
「なんで、あの競合の営業組織、いつも受注できてるんだろう?」
環境に影響を受けにくい「仕組み化」こそが大事なのです。
コロナ禍をきっかけとしてデジタル活用を本格的にする企業もあれば、いまだにアナログな取り組みをしている企業も少なくありません。パラダイムシフトが進む中で、このきっかけをどう活かすか?は大事な見極めポイントです。
紹介営業についての参考記事やサービスをご用意しています。是非ご活用ください。
おすすめ★Ebook「最新の紹介営業 紹介と顧客体験をデザインする」
「紹介営業のコツ|コロナ禍だからこそ、「仕組み」から変えてみよう」
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