2022.09.13 紹介ノウハウ
リファラルマーケティング3つのポイント②:愛着を意識してもらう
顧客の愛着を引き出すことで「紹介」が自然発生する
顧客の愛着度と紹介発生とは、実は密接に結びついています。
そもそもそのサービスが好きでなければ、顧客は紹介してくれません。また、顧客のサービス理解や、そのサービスが合いそうな相手への適切なオススメ行為がなければ、紹介が成立することはありません。
弊社の独自調査によれば、「利用しているサービスを紹介するときに『このサービスは誰に合いそうか』を考えるか」という設問に対して「非常に当てはまる」または「やや当てはまる」と答えた人が紹介経験のある人で61.2%、紹介経験のない人で21.1%でした。
つまり紹介してくれる顧客は、サービスを理解した上で、適切な相手にオススメしている可能性が高い、と言えるでしょう。
※このブログ記事の内容についてより詳しく知りたい方は、『リファラルマーケティング大全』(フォレスト出版、2022年9月17日発売)をご覧ください。
※弊社独自調査レポートより抜粋
紹介を支える「言語化」という行為
紹介をすることで改めてサービスのことを考えたり、誰に合いそうかを考えたりすることに共通するのは「言語化」という行為です。
言語化には頭を使います。「私は何でこの商品が好きなのだろう」などと自発的に考えたり、言葉にしたりする顧客はそう多くありません。顧客は意外と、お気に入りの商品の良さを一言で説明できなかったりします。
一方で紹介という行為は、他人にサービスの良さを伝える必要があるため、必然的に言語化を伴います。
特に身近な人相手だと「この商品が合う人の趣味嗜好や特徴は何だろう」「この商品をAさんに勧めるには何と説明すればいいだろう」など相手にパーソナライズした情報を提供しなくてはなりません。
このような「プレゼン力」のある顧客を「愛着度の高い顧客」と見なすことも出来るでしょうし、逆に紹介を通して言語化を強いられた顧客が改めてサービスの良さを実感する、という流れも生じるでしょう。
言語化が先か愛着が先かは人によって違うかもしれませんが、愛着があるから言語化ができ、言語化することで愛着が増すという好循環があるのは間違いないようです。
コラム:日本でNPSの点数が低い理由
NPS(Net Promoter Score)をご存知かと思います。NPSの詳細はここでは割愛しますが、ざっくりお伝えしますと、NPS測定の際6点以下をつけた人たちはネガティブな「批判者」、7点と8点の人は「中立者」、9点以上の人は「推奨者」とみなされます。
しかし日本人の感覚としては、5点や6点が批判者というのは違和感があるかもしれません。アメリカのSatmetrix社の調査では、日本の顧客は他国に比べてNPSの点数が低いという結果が出ています。 NPSは日本企業にも徐々に浸透しているものの、日本独特の傾向を加味して考えねばなりません。もちろんNPSを継続的に取得することに意味がないわけではありませんが、一方でNPSを補完するものとして「紹介をしてくれる人がどれくらい増えているのか」「継続的に紹介してくれるのか」といった顧客の紹介行動をKPI(重要業績評価指標)として用いることに一定の有効性があると考えています。
>>リファラルとKPIの考え方については、こちらの記事をご参考ください:
「リファラルマーケティング・紹介キャンペーンで見るべきKPIとは何か?」
企業側から積極的に言語化し発信しよう
紹介の前提に「言語化」があり、それによってブランドへの愛着が増すという流れがある。とはいえ気に入っている商品の何が良いのかをはっきり言語化できる人は少数派でしょう。
多くの顧客は「何となく気分が上がる」「何となく好ましい」といったレベルで愛着を持っていると考えられます。
そこで企業側から積極的に言語化することが重要になります。
例えば子どもを通わせている学習塾から「他の保護者さんに紹介してください」と依頼されたとしましょう。子どもの様子を見ていると何となく楽しそうに通っているのだけど、いざその塾の何がいいのかと説明しようと思うと、言葉に詰まるということがあるかもしれません。
これが塾側から「今年も東京大学に10名合格しました」と発信されていれば、言語化の障壁は低くなり、紹介しやすさは増すでしょう。
特に子どもの習い事のような商材では、「結果」で語るのが効果的です。親は自分でそのサービスを受けているわけではないので、授業の良さや子どもたちへのフォロー体制など、実際に教室で起こっていることは実感に乏しい状態です。
紹介が発生するときは、紹介者がゲスト(被紹介者)から感謝されることが想定されるときですから、このままでは紹介は発生しません。
その点、結果のデータがあれば、実感が乏しくても簡単に伝えることができます。
紹介しがいのある状態を企業から演出しよう
また例えば入会枠の空きがないというのも、現時点における1つの結果です。「空きがなくてなかなか入会できないが、紹介者のおかげで入会できた」ということになれば、紹介者が感謝されることは間違いないわけですから、これほど有効なリファラルプログラムはありません。
このように空きがないものをありがたいと思う心理を利用するのであれば、紹介の待ち行列をつくるという手も考えられます。
せっかく紹介した相手に対してすぐに対応できず待たせてしまうと、通常だと紹介者の顧客満足度を大いに下げることにもなります。しかし実際に手続等に時間がかかるサービスもあり、そうそう緊急対応ができないケースがあります。 そのようなケースが頻発するのであれば、それを逆手に取って、例えば紹介の受付は月何名までと決めて、紹介の待ち行列をつくってしまうのです。そうすると「先行して紹介予約をしたほうがいいですよ」といった案内もできます。
入会待ちが当たり前のサービスという評判が立てば、待たされるゲスト側も抵抗がなくなりますし、既存顧客側も優越感がくすぐられ、愛着が増すことでしょう。
上記のようなキャンペーンを手軽に取り入れるならば「先着順紹介キャンペーン」などの見せ方が考えられます。
顧客満足度調査から紹介に誘導しよう
顧客愛着と関連する施策としては、顧客満足度調査の直後に、満足度が高い顧客にだけ紹介告知をする方法があります。
そもそも紹介してくれる顧客は、愛着がある満足度の高い顧客が中心です。顧客満足度調査の結果を見て、満足度の高い人だけに紹介告知をするのは、紹介の質を高める上でも効果的なはずです。
また顧客満足度調査には商品の満足ポイントを意識し言語化させる機能もあります。満足度の高い顧客にサービスの良さを改めて認識してもらい、そのうえで紹介誘導をすることで紹介意欲を高めることが出来ます。(紹介のために言語化ができる(ゲストやシーンが浮かぶ)設問を用意するのも効果的でしょう。)
まとめ:愛着度を高めるには、普段から顧客接点を持ち、その接点を大切にすること!
結局のところ、商材に対して簡単に愛着を持ってもらう方法はありません。
普段はさほどコミュニケーションのないブランドから、突然紹介キャンペーンだと告知を受けても、紹介しようと思う人は少ないでしょう。よほど大きなメリットを感じる特典があれば別かもしれませんが、特典があるから紹介するという人は少数派です。
購入や契約がお付き合いの始まりという考えを持ち、その後も定期的に適切なタイミング(季節の変わり目や顧客の誕生日)で顧客接点を用意し、それぞれの接点を大切にする。こうした誠意のあるコミュニケーションに努めることが、愛着を高めるための王道です。それを愚直に継続することで、いつしかブランドと顧客の距離が縮まり、紹介依頼にも応じてくれるようになるのです。
そして、距離が縮まり愛着を持ってくれた顧客は、紹介をお願いするたびに、ますます愛着を強めてくれるという理想的な循環が生まれるでしょう。
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トピック: 紹介ノウハウ
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