顧客ロイヤルティとは?顧客ロイヤルティを向上するメリットや方法を解説、相性の良い施策も紹介
デジタル化が加速する現代のビジネス環境において、「顧客ロイヤルティ」は企業の持続的な成長に不可欠な要素となっています。
新規顧客の獲得コストが上昇する中、既存顧客との関係性を強化し、持続的な成長を実現することが求められています。特に、SNSの普及により、顧客の声が瞬時に拡散される時代となり、ロイヤルカスタマーの存在が企業のブランド価値に直接的な影響を与えるようになってきました。
この記事では顧客ロイヤルティ向上の目的やメリット、さらにはロイヤルティ向上の新たな突破口まで、解説いたします。
1. 顧客ロイヤルティとは?
顧客ロイヤルティとは、顧客が特定のブランドや商品、サービスに対して持つ深い愛着や信頼関係のことを指します。それは、顧客の継続的な購買行動や積極的な推奨意向として表れます。
重要なのは、この感情的なつながりが、価格や利便性といった理由にとどまらない判断基準を超えた選択の動機となることです。例えば、自身の電子機器をすべてアップル社の製品に揃えるファンの熱狂的な支持や、特定のコーヒーチェーン店への強い愛着などが典型的な例といえるでしょう。
1.1 顧客ロイヤルティが重視される背景
近年、顧客ロイヤルティが特に注目される背景には、複数の要因が存在します。
第一に、市場環境の成熟化と競争激化により、新規顧客の獲得コストが著しく上昇していることが挙げられます。「1:5の法則」があるように、一般的に新規顧客の獲得コストは既存顧客の維持コストの5倍かかるとされています。そのため、収益性の観点からも既存顧客との関係強化が重要視されています。
加えて、SNSの普及により、ユーザーの声が瞬時に拡散される時代となり、ロイヤル顧客の存在が企業のブランド価値に直接的な影響を与えるようになりました。若い世代を中心に、商品やサービスの品質だけでなく企業としての姿勢や信念に共感できることも、ロイヤルティ形成の重要な要素となっています。
現在は、顧客データの分析技術の進歩により、個々の顧客の行動や嗜好をより深く理解し、パーソナライズされたアプローチが可能になりました。これにより、顧客ロイヤルティの実現可能性が高まり、多くの企業が顧客ロイヤリティ向上の重要な戦略の1つとして、取り組んでいます。
1.2 顧客満足度との違い
一見、似ている2つの言葉ですが、大きな違いがあります。
【顧客満足度】
商品やサービスに対する期待値と実際の体験の差異を測る指標
【顧客ロイヤルティ】
満足度を超えた感情的なつながりや行動的な忠誠心を含む
例えば、あるレストランの料理に満足しても、必ずしもリピート購買や他者への推奨につながるとは限りません。しかし、ロイヤルティの高い顧客は、多少の不満があっても継続的に利用し、積極的に周囲に推奨する傾向があります。
この違いは、マーケティング戦略を立てるする上で重要な視点となります。
2. 顧客ロイヤルティの計測する主な指標
顧客ロイヤルティを測る指標は数多くあります。本記事では、重要な3つの指標を解説します。
満足度調査
顧客満足度調査(CSS:Customer Satisfaction Survey)は、最も基本的な指標の1つです。
サービスや製品に対する評価を5段階や10段階で測定し、定期的な調査により時系列での変化を把握します。
満足度調査では、総合的な満足度に加え、個別の要素(品質、価格、サービス等)についても評価を行うことで、改善点の特定が容易になります。顧客満足度調査を使用する際は、ただ数値の測定して終わるのではなく、その背景にある要因の分析も同時に行いましょう。
NPS(Net Promoter Score)
NPSは「この商品・サービスを知人や同僚に推奨する可能性はどのくらいありますか?」という質問に対する回答を0-10点で評価し、推奨者(9-10点)から批判者(0-6点)を引いた値として算出されます。
この指標は、顧客の推奨意向を数値化することで、ロイヤルティの度合いを客観的に把握することができます。特に、業界平均との比較や経時的な変化の観察が有効です。
NPSを日本で有効活用するには?平均値やメリット、活用時の注意点を理解する>>
LTV(Life Time Value)
顧客生涯価値として、一人の顧客がもたらす長期的な収益を計測します。
購買頻度、平均購買額、継続期間などから算出され、投資対効果の判断材料となります。LTVの分析では、顧客セグメントごとの違いや、ロイヤルティ施策の効果測定も可能です。LTVを分析した後は、LTVが高いユーザーの特徴や行動パターンの分析をすることで、効果的にデータを活用しましょう。
3. 顧客ロイヤルティを高めるメリット
ここまで顧客ロイヤルティの概要について解説していきました。では、顧客ロイヤルティを上げることでどのようなメリットがあるのでしょうか?ここでは3点を解説します。
3.1 顧客単価の向上
ロイヤルティの高い顧客は、プレミアム商品への興味が高く、クロスセルやアップセルの機会が大幅に増加します。これは、ブランドへの信頼関係が構築されることで、価格よりも価値を重視した購買判断を行うようになるためです。例えば、ブランドの化粧品を購入する際、ロイヤル顧客は基礎化粧品に加えて、美容液やエイジングケア製品などの高付加価値商品も積極的に購入する傾向があります。
加えて、彼らは新しい価値提案も受け入れやすく、より高機能な商品や上位モデルへのアップグレードも積極的に検討します。ロイヤル顧客は新製品や季節限定商品発売時には重要な購買層となりえるのです。
このような購買行動は、年間を通じた顧客単価の大きな差となって表れるため、企業の安定的な収益基盤として非常に重要な存在となっています。
3.2 リピート率を高める
ロイヤルティの高い顧客は、競合他社への乗り換えが少ないのも特徴です。例えば、美容室業界では、ロイヤルカスタマーは担当スタイリストとの信頼関係を重視し、他店の割引キャンペーンに流れることは少ない傾向にあります。
信頼関係が構築されることで、競合他社への乗り換えが減少し、安定的な収益基盤を形成できます。さらに、長期的な関係構築により、顧客ニーズの変化や市場トレンドの把握も容易になり、新商品や新サービスの受け入れにも積極的な傾向が見られます。
3.2 良質な口コミの拡大
ロイヤルカスタマーの信頼性の高い口コミも、ブランドの認知拡大につながる大きなメリットの1つです。
SNSの普及により、口コミ影響力は以前より拡大しており、新規顧客獲得の強力なチャネルとなりつつあります。また、ロイヤルカスタマーは商品やサービスの改善点なども建設的に発信する傾向があり、これらは企業の商品開発やサービス改善に活かせる貴重な情報源となっています。
企業の中長期的な成長のために、口コミは欠かせないものとなりました。
4. 顧客ロイヤルティを向上させる方法
ここからは、顧客ロイヤルティを向上させるための方法を解説いていきます。
ただ、顧客ロイヤルティを高める際、「過度な注力」は禁物です。顧客ロイヤルティは重要ですが、過度な注力はビジネスの停滞を招く可能性があります。ロイヤリティを高めた結果、「ロイヤルカスタマーに似た属性の人にだけアプローチして確度を上げよう!」と考えてしまい、顧客の幅が狭まってしまうことがありますので注意をしましょう。
ここを理解したうえで、顧客ロイヤリティの向上するための方法につてい解説を行います。
4.1 顧客の声を理解する
顧客の声を深く理解するためには、定量・定性両面で理解することが必要です。
顧客ロイヤルティ向上の施策を行う前に、まずは指標を用いてロイヤルティを数値化し、アンケート調査・インタビュー・SNS上のフィードバックなどを通して、顧客の声を収集・分析しましょう。
現状の把握を行うことで、商品やサービスの改善ポイントを特定し、顧客満足度を向上させることが可能です。
現在は、AIや機械学習を活用した感情分析により、テキストデータから顧客の感情や意図を読み取る取り組みも広がっています。重要なのは、収集したデータを実際のサービス改善に結びつけることです。
顧客の意見を反映した取り組みは、顧客との信頼関係を強化する上でも非常に効果的のため、顧客ロイヤルティはおのずと向上していきます。
4.2 ターゲット顧客を明確にする
すべての顧客に同じレベルのサービスを提供することは非効率です。
重要なのは、ブランドに最も価値をもたらす顧客層を明確にし、その層に向けて重点的な施策を実施することがです。たとえば、購買頻度が高い顧客やSNSでの影響力が大きい顧客を特定し、これらのセグメントにカスタマイズされたキャンペーンを展開することで、効果的なリソース配分が可能になります。
ターゲットの選定は「RFM分析」が有効です。顧客をセグメント化し、セグメントごとの特性や期待値を把握し、最適なアプローチを設計することで、効率的で効果的なアプローチが実現します。
4.3 ターゲットに向けて効果的な施策の実施
現状の把握と顧客のセグメント化が完了したら、次のステップはターゲット顧客に向けたロイヤルティ向上施策の実施です。
その中でも特に効果的でおすすめなのが、「紹介制度」の活用です。紹介制度は、既存顧客のロイヤルティ向上と新規顧客獲得を同時に実現できる点で非常に有効です。加えて、ロイヤル顧客が友人や家族にブランドを紹介し、購入が決定した場合、紹介者と紹介先双方に特典を提供する仕組みを導入すれば、顧客満足度とブランド愛着の向上が期待できます。
また、SNSや口コミを通じた自然な拡散効果も狙えるため、長期的なビジネス成長を支える強力な施策として、大いに活用する価値があります。
そのほかにも、「アンバサダーマーケティング」など、様々な手法があるため、自社のターゲットに合ったアプローチで実施しましょう。
アンバサダーマーケティングとは?実践ポイントと事例をわかりやすく解説!を読む>>
5.顧客ロイヤルティ×紹介(リファラル)
「顧客ロイヤルティ×紹介(リファラル)」を効果的に活用することで、顧客ロイヤルティ向上の勝ちパターンの構築が可能です。
リファラルマーケティングとは、顧客が他者にブランドを紹介する行動を促すことで、新規顧客を獲得しつつ、既存顧客のロイヤルティも向上させる施策です。
ここでは顧客ロイヤルティを向上させるための強力な手法としてのリファラルマーケティングを成功させるコツを2点解説していきます。
「リファラルマーケティングについて詳しく知りたい方」は以下の記事もオススメです!
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5.1 定期的なキャンペーン変更で常に「特別感」を出しましょう
どれだけロイヤルカスタマーであっても、特別な理由がなければ行動を起こすのは難しいものです。
そこで効果的なのが、「特別感」を演出するキャンペーン施策です。例えば、紹介してくださるお客様に「期間限定」として紹介キャンペーンのご案内をしてみましょう。「紹介」自体を「期間限定」にする必要はなく、キャンペーン特典を定期的に変更したり、紹介対象のターゲット層を工夫したりすることで、その新鮮さと特別感が紹介のアクションにつながります。
また、被紹介者の心理的ハードルを下げることも重要です。身近な人に商品やサービスを紹介しても、気に入ってもらえるか不安なお客様もいらっしゃるかもしれません。その場合、被紹介者にも特典をお渡し、「紹介した相手が喜んでくれそう」と思ってもらえるよう工夫しましょう。また、あなたの商品・サービスが、価格の高いもの、人を選ぶものであれば、無料体験のプレゼントや初月お値引きなどを得点に設定するのも効果的です。
このような工夫により、紹介アクションの促進と顧客満足の両立を目指すことができます。
5.2「コミュニティ単位」でロイヤルティ向上を狙いましょう
紹介が成功したら、そのつながりを活かして、コミュニティ全体のロイヤルティ向上のサイクル作りに注力しましょう。
意識するポイントは、3つあります。
① 紹介した人・された人に、あなたの商品・サービスを話題にしてもらう…SNS投稿
② 紹介されたお客様には、あなたの商品・サービスへの感想を聞く…口コミ投稿
③ 次の「紹介」へとつながるアクションを用意する…紹介キャンペーン告知
この3つのポイントを意識するだけでかなりの成果が見込めます。もしサイクルが回らないようであれば、顧客ロイヤルティがうまく向上していない可能性を疑い、NPSなどで成果を確認することが必要です。
以上のように、商品やサービスがコミュニティ内で話題に上り始めたら、貴社にあった方法で、「紹介」の勝ちパターンを重ねていきましょう。この一連の流れを活かすことで、顧客ロイヤルティをより強固なものにすることができます。
紹介キャンペーンの成功と「本当の」顧客満足度との深すぎる関係を知る>>
5.3【顧客ロイヤルティ×紹介】の成功事例
ここでは、クラウドストレージサービスの分野で最も成功した事例の1つである、クラウドストレージサービスを提供するDropboxの紹介プログラムの事例を紹介します。このプログラムは、既存ユーザーが友人を紹介すると、紹介者と被紹介者の双方に追加のストレージ容量(500MB)が特典としてプレゼントされる仕組みとなっています。
このプログラムの特徴は、サービスの本質的な価値(ストレージ容量)を特典として提供している点です。
追加容量は両者にとって実用的な価値があり、さらにクラウドストレージの特性上、容量が増えるほどサービスへの依存度が高まります。結果として、紹介された新規ユーザーの多くが有料プランへアップグレードするようになり、ロイヤルユーザーの増加につながっています。また、紹介者もストレージ容量が増えることでサービスの利用価値が高まり、継続的な利用と更なる紹介行動を促進する好循環が生まれました。
このように、リファラルプログラムが適切に設計されれば、ユーザー基盤の拡大と顧客維持を同時に実現できる可能性が広がります。このような成功事例を参考に、自社の特性に合ったプログラムを検討してみてください。
【紹介キャンペーン事例】Dropboxが実現したリファラルプログラム成功の秘訣>>
6. まとめ
顧客ロイヤルティの向上は、持続的な事業成長の鍵となります。しかし、その実現には戦略的なアプローチと継続的な努力が必要です。顧客の声に真摯に耳を傾け、適切なセグメンテーションと効果的な施策の実施により、顧客との強固な信頼関係を構築していくことが重要です。
invyでは、紹介キャンペーンのトータルサポートに加え、顧客ロイヤルティの計測や、管理画面上の分析機能によるターゲットのセグメント化も可能ですので、顧客のランクに合わせたリファラルプログラムの展開を実現します。
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